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4章

67 三人だけの婚儀※

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 セフェムはキレンさんに側仕え騎士の役割を教えてやると言われて捕まり、ガリウスはバンさんさん含め文官に囲まれていて、僕は泣き続けるイベールを抱えて宮に着きました。アリスさんは馬車の御者を客室に泊めるそうで忙しそうに行ってしまいます。

 宮ではティンとフェンナさんが待っていてくれ、泣き続けるイベールをティンに抱っこしてもらいました。すると泣き止んで赤い瞳を開いたのです。

「ティン、お仕事と勉強の傍ら、イベールと遊んでくださいね」

 イベールを抱っこしたティンは、宝物でも見るかのように頷きました。

「主様、良い実を捥がれましたこと、心よりお喜び申し上げます。アリスさんからイベール様のお話しを聞いて、お部屋を温めておきました」

 加速成長で身体は成長していますが、月齢として未熟体なイベールの為に、居間には魔法石の石鉢があります。それが暖かいのです。マナを使い冷暖の魔法陣を触れ、起動する置き型冷暖房器みたいな物です。ドワフにも王の部屋で見かけました。

「こんな高価なものを……」

「セリアン国王妃様からの贈り物の魔法具です。暖かさが足りなくなれば、魔法石を少し足しますが」

 馬車三台分の贈り物をフェンナは全て居間に入れて整頓し、必要な物を出してくれています。

 これって少々とはいえ起動にマナが必要な奴ですよね。常にマナが枯渇気味な僕には使えないのです。

「主様、このような備品はわたくしども仕える者が管理いたします。お祝いのお返事や贈り物などは明日に。さあ、イベール様のおむつを替えます」

 フェンナが手際良くおむつを替えて、汚れた布を水を張った木桶に入れていきます。

「主様、お湯をどうぞ」

 ティンが湯を沸かしてくれて、僕は浅く張ってもらった湯に浸かります。

 晩ご飯の前に湯に入るなんてと思っていたら、湯から出てタオルで身体を拭いているとすごくいい匂いがしました。羽織着を着て居間に入ると、スープ皿にスパイスの効いたスープがよそわれています。

「主様から以前聞きましたカレースープですわ」

 僕は辛い物が好きで、この世界のスパイスを手にしていたのです。なかなか作る機会がなく、そんな時にフェンナにカレーの話をしました。カレースープなら作れるだろうと話していたのです。豆スープも割とスパイスが効いていますから、カレーに使うスパイスが手に入ればと思っていたところ、胃腸強心の薬草がクミンであることに気付いて、フェンナにお願いしていたのでした。
「お肉もほろほろで……うん、クミンとターメリックがいいです。コリアンダーとカルダモンもちょうどいいです。チリペッパーを追加しても……おや」

 チリペッパーはお好きにと、テーブルに荒く刻んだ乾燥チリペッパーの木箱が置かれています。

「カレースープは胃腸の薬餌にも使えます。食欲のない時や疲れている時にはぴったりですよ」

「ティンには少し辛いようでした」

「蜂蜜を混ぜるといいですよ。ただし蜂蜜はしっかり歩ける子の年くらいからになります」

 フェンナが

「かしこまりました」

と頷きます。少ししたらイベールの離乳食もフェンナにお願いしなくてはなりません。蜂蜜に含まれるボツリヌス菌の芽胞が人外の僕らにどう影響するか分かりませんけれど。

 居間には天蓋付きベビーベッドが置かれていてそれは王からだそうで、イベールはそこで眠っています。横にはティンがついていました。

「ティン、生まれたばかりですし、そんなに張り付かなくても大丈夫ですよ」

 それでもティンは魅入られたようにずっと見ています。たまにぷすぷす鼻を鳴らして立ち耳をひくつかせる仕草は、狼の子だからでしょうか?顔は確かに僕に似ています。身体付きも細く小さくて……心配です!あの馬鹿狼にもう一二発……。
「加速成長は落実防止の手段だと聞いたことがあります。主様、心配をなさらないでください」

「はい、大切に育てれば大丈夫ですよね。僕はお恥ずかしながら子を育てたことはなくて、フェンナが頼りです」

 フェンナは食事を片付けて微笑みます。

「もちろんでございます。主様、夜のお召しの際はイベール様を離れでお預かり致しますので、もう一台頂いた幼児寝台を離れに置くことをお許しください。魔法石鉢の予備をお預かりします」

 お召しの際……ですか。僕が真っ赤になっていますと、フェンナがセリアンの婚儀の服を持って来ました。それを寝室で着せてくれながら

「アリスさんから王の指示を受けております。イベール様はわたくしとティンで夜お預かりします」

と寝室に閉じ込められてしまいました。ガリウス、本気だったのですね。この格好で抱きたいだなんて……。どうしたものかと窓際に座っています。考えることが多すぎて。レーダー伯領の行方不明者や奴隷商問題もあり、ギガス国の復興もあります。

 すると窓の下の僕専用の扉が金色に光ります。

「ガリウス?」

 こちらの宮に来るのではなく、王宮にお呼びですか?何かあったのかと慌てて扉を開けて、ガリウスの寝室に飛び込みました。月明かりに浮かぶ人影に驚きます。

「セフェム……ガリウス!」

 セフェムは婚儀と同じしなやかな薄絹の衣装で、ガリウスも同じく青の衣装を着ていました。透けるベストからは引き締まる筋肉のが浮き出て、サルエルは腰履きです。

「後れ毛がいな、ターク」

 ポニーテールに耳飾りの僕は、ガリウスに抱き上げられました。

「どうしたんですか、その姿は?」

「セリアンで婚儀をしたと聞いてな、俺も婚儀がしたくなった。タイタンには婚儀がないからな、セリアン式の正装でしようと思うのだ」

 ガリウスとあの婚儀……ですか?ガリウスの陰茎は大きすぎて、そんなに簡単には挿入できないですよ。

 僕が躊躇うとセフェムが寝台に座り、僕を胡座の中に抱き寄せました。

「ターク耳を出しているのも可愛い。愛いな、愛い」

「女の子みたいで……嫌です……」

「タクのここも可愛いぞ。敏感でツンとして」

 透け感のある短いベストの中の両乳首を背後から揉まれて、僕は暴れます。

「んっう!婚儀儀式でしょう!こんなことはしませんでした」

 暴れた僕の緩いサルエルを脱がすと、ガリウスの指が塗り薬をたっぷりつけて入ってきます。

「ん……」

 セフェムに左右の膝の裏を掴まれて脚を広げられ、ガリウスの目元が艶めいているのが分かりました。

「余り……見ないでください……恥ずかしい……」

 僕の虚弱な身体は未成熟のまま成長を終えていて、髭も陰毛も腋毛すら生えていないのです。ソニン様やロキのような大人の魅力がない僕は、ガリウスの眼差しが、恥ずかしくてたまりません。

「どこもかしこも小さくて……愛い。俺のイチモツを喰むここは大きく拡がるが……」

 目の前で二本に増やされた指が肛門を広げ腸液が溢れ出すほど解してから、ガリウスがサルエルを下げます。

「ガリィ」

「ああ」

 ガリウスが長く太い陰茎の亀頭冠を中心に塗り薬を塗っているのを見ていますと、背後からぷちゅ……とセフェムの長く細い陰茎が入って来ます。

「なっ……どうして!んっ……」

「三人だけの婚儀だ」

 前立腺辺りでセフェムが精子を含まない体液を出したのが分かります。セフェムの放つ体液は熱いのです。腸内に滲み入るように熱さが広がり、その後セフェムは長い陰茎を奥まで押し込んで行き、僕は大腸全てぐるりと回るセフェムの長い陰茎を受け入れました。

「は……あっ……」

「いいぜ、ガリィ」

 セフェムの陰茎が挿入されている状態でガリウスの陰茎が肛門に入り込んで来たのです。いつもより苦しい感じがします。

「あっ……あっ……あぐっ……っ!」

 ぐぷんっと広げられた奥底から更に深く結腸口を通り越え、本来曲がる腸がガリウスの太さに拡がり伸びて真っ直ぐになっています。

「ぐわっ……俺のモンが潰れちまう」

「きついな、ターク、大丈夫か?ターク?」

 僕は目の前がちかちかして、ガリウスの陰茎が鳩尾まで入り込むのが、苦しくて気持ち良くて口が開きっぱなしで、唾液が唇から溢れています。まだガリウスの下生えが僕の肛門付近に触れません。まだ……長い……前よりも。

「は、はひっ……なん……ですか?」

 僕を挟んだセフェムが、

「婚儀の指輪はどこにつける?」

と聞いて来ました。

 僕は朦朧として、

「ふわ……左手薬指」

と呟きました。背後から手を掴まれ、左指に冷たい感覚が走ります。
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