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3章

60 宿り木の木の下で※

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 ソニン様が気にしていた地域がレーダー伯領ですね。岩塩が減ったから厳しいのでしょうか。

 レーダー伯の名前が出た時のフェンナの様子も気になります。王城に戻りたいですね。

 お茶をしてかれこれ一時間以上になりますが、ガリウスとロキとクラリさんが来ないのです。もしかすると最後まで刈り取りをするつもりかも知れません。

「ガリウスを探して来ますね」

 僕はティンに椅子から降ろしてもらいました。

「主様、僕も」

「ティンはフェンナと荷造りをしてください。宮に帰りますよ」

「かしこまりました」

 ティンに扉まで送ってもらい外に出ました。目の前の麦畑にはいませんね。

 家の周りを歩きますとロキと同じ黒髪の子供たちを見たので兄弟だと思い思わず声を掛けました。すると、

「ろき、まぐわってる」

「きのうらー」

「「ねー」」

 まぐわってる……?木の裏?宿り木ですか?村長などの地域をまとめる人にも宿り木は与えられます。

 僕が宿り木を探していますと、水車小屋がありました。麦を打つ杵がつけられている水車が回転しギーギーと鈍い音がしてトンと杵打つ音が繰り返される場所があります。脇に立派な宿り木があり、そこにクラリさんがいました。

「クラリさん、ロキを知りませんか?」

 クラリさんは僕を見ると慌てて両手を広げましたが、僕はクラリさんの横を抜けて、宿り木の裏へ行きました。

 ロキが水車小屋に両手を這わして背を反らしています。サルエルが足元でたぐなり、背後にガリウスがいました。腰を打ち付ける仕草から野合しているのが分かります。僕はむうっとして二人だけの世界になっているロキとガリウスを見ました。

 ガリウスの太く長い陰茎が亀頭を残して出てはまるで杵の音に合わせるかのように、ロキの肛門を貫きます。ぶぢゅんっと湿った音がするのは、もう何度も精液を放っているからでしょう。宿り木に実がついちゃいそうです。付きますね、付くでしょう!もうっ!

 僕はクラリさんが背後から僕をおろおろしながら見ているのを理解しつつ、僕に触れてはならないためどう追い払おうか考えていて忍び寄る隙をついて、ロキの足元に忍び込みました。

 僕はガリウスに突かれて僕に気づかないロキのぶらぶらしている陰嚢を掴むと下に引っ張ります。

「んぎっ!タ、タークッ!」

「いい加減にしなさい。王と妃が野合なんて!」

 僕はむうっとしながら、ロキの陰嚢をぐいぐい引っ張りました。僕がいろいろ考えている間に二人で!二人だけで!

「あ、あ、やめっ、ターク、金玉引っ張るな!新しい扉が開いちゃうっ!あふっ!あああーーーんっ!!」

とロキが叫びながらとぷ、とぷっ……と半勃ちの陰茎から射精しました。ねっとりした粘液状のロキの精液が僕の頭の上から降ってきて、ガリウスが動きを止めてロキの肩を掴んでびくりびくりと腰を振ると息を付きます。

「ロキに誘われて……すまん」

「ターク、頭から顔まで顔射……ふぎっ!」

 僕が陰嚢をまた引っ張ると、裏筋に残っていた精液がぽとぽと落ちて、精液まみれのすごい臭いの中、ロキを睨みました。

「ロ~~~キッ!!!」




 ガリウスに抱っこされ湯につけられて、ロキの小さい弟の服を貸してもらい、大きな三人を床に正座させました。

「小さい子供がいる中で何というはしたないことを!王様と獣人妃様なんですよ!それを止めない側付きとか、ありえないでしょう!」

 僕が居間でお説教をしていると、ロキの小さい兄弟が入ってきました。

「ろき、あーん、もっとー、ちんぽでかーい、いったよー」

「おっきー、おっきー、くちはいらなーい、きもちいー」

 子供たちの声にロキは褐色の顔を真っ赤にして項垂れていますが、

「や、や、野合なんて、ふ、ふつーだしぃ」

 なんてぼやいています。

「騎士だった時代はそれでもよかったと思いますが、今は違うでしょう?」

 僕はロキの頭を撫でました。

「ロキがガリウスを大好きなのはよく分かります。僕だってガリウスのことが大好きで愛していますから。でも、やっぱりガリウスのことを考えないと」

「ガリウスのこと?」

「野合好きで陰茎が太くて大きくてなんて粗野な王様イメージが定着します!僕はガリウスについて、優しく包容力のある王様イメージを定着させたいのです」

「充分、包容力あるじゃん」

 ロキが僕に言うので、

「どこがです?」

と聞きますと、

「獣人妃を甘やかして言いなりに野合してくれたところ」

なんて、しれっと言い返したので、僕はロキのこめかみを拳でぐりぐりと揉みました。

「いでででででーーーっ!やめでーいだだだだっ!!」

 ころんと身体を丸めてこめかみを押さえて悶絶するロキの横で正座するガリウスを睨みますと、

「すまない」

と深々と僕に頭を下げました。クラリさんはこめつきバッタか水飲み鳥みたいに僕に平伏しています。

 イブさんとリウムさんがいる前で八割以上やきもちのお説教をしていましたら、イブさんが泣きながら僕の前に臣下の礼を取りました。

「うち一番の馬鹿がこんなに素直に……小人様に忠誠を誓います。あたし、側仕え騎士になりたい!」

 勘弁してください。後宮で殴り合いの親子喧嘩が勃発しちゃいます。

 丁寧にお断りして、ラオウに乗りました。僕はガリウスの左腕に抱っこされて、ロキはガリウスの前にいます。ティンとフェンナはクラリさんが馭者をしている王城の馬車に乗って帰ります。

「ロキ、ティンとフェンナをありがとうございました」

 前に座るロキに言いますと、ロキが振り向いて笑いました。

「いーって、いーって。なんかあ。ターク、お前性格変わった?ガリウス、呼び捨てだしさ」

 僕は思わず笑ってしまいました。

「いろいろあり過ぎて……なんかもう、受け入れてしまおうかと」

 小人族の僕のこだわりや弱さ、三回分の知恵や知識や考え方、全部を引っくるめて僕なんだなあと思うのです。

 目の前には麦畑が広がり、豊作の金色が夕日に照らされています。

「綺麗ですね、この国は」

 僕はガリウスの太くて安心できる腕に身体をもたれかけました。

 王宮に行くとなんとロキとガリウスの小さな瘤実が付いていて、ガリウスはいきなり子沢山になりそうです。

 ロキはまた泣きながらガリウスにしがみついていて、今日は僕、ガリウスと一緒にいられませんね。僕はガリウスと長い長いキスをして、宮に戻りました。
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