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3章

57 神殿禁忌魔法陣※

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 僕はセフェムにギガスでのことを話しました。するとセフェムは

「俺も死に戻りしてるぜ。王族は願いを叶えてもらう為に、ガルド神に実を捧げるんだ」

と僕に言いました。

「え!セフェムが?」

 僕が起き上がろうとすると、ぽふんと尻尾で寝台に戻されました。

「タク、神殿の禁忌魔法陣を知っているか?」

 僕は首を横に振りました。

「犠牲って魔法陣だ。神官長のマナを全て、それから王族の実を一つガルド神に捧げて願う。セリアンはギガスと長年戦いが続いていて疲弊していた。だから父王は俺を犠牲の贄にしたんだって、じいが言っていた。じいは神官長だったがガルド神にマナを全て捧げたから神官長を降りて俺の世話役になった」

 そんな魔法陣があったなんて……。

「神託にある六月の小人と成人までに会わないと俺は死に戻りするらしく、一度目はお前に会わなかった。で、ガルド神の怒りを受け呪いでこうなった」

 セフェムは今は包皮に包まれる陰茎を指差しました。

「蛇みたいに長いだろ。ガルド神の戯れだろうが、死に戻りの俺的には、一回目の人生で優しかった兄貴達のからかいや蔑みが嫌で嫌で。城壁城に篭ったのもそのせいだ。じいが小人族に神託の話をしに行ったら、六月の小人はタイタンに嫁に出したって言われて帰って来てさ、俺、タイタンの王都の周り、結構うろうろしてたんだ」

「まさか……森に出る魔獣って」

 セフェムがキューンと鼻を鳴らします。あ、そうだったんですね。セフェムの尻尾をぎゅーっと握りました。

「ひっ!敏感なんだからやめろよ。悪かったって。あの日は発情期でいつもなら部屋に篭るのに、お前の香りに惹かれて出たんだ」

 僕が公共事業で門にいたからですね。王城ではガリウスの王のマナが僕らを包んでいます。だから僕はセフェムに気づかれなかったのでしょうか?

「禁忌魔法陣の犠牲はガルド神に願い出た願いを必ず叶えなければならない。死に戻りするたびに呪いは酷くなる。ギガス王の目は、ガルド神によほど不興を買った呪いだとじいは言っていた。タクは神官長を目指していたのに、禁忌魔法陣を知らなかったのか?」

「僕はマナが少ないので、使えない魔法陣ですから教えられなかったのでしょう」

「なるほどな。タクが禁忌魔法陣を使うとマナ切れで死ぬぞ」

 本当にそうだと思います。でも、ギガス王の死に戻りは禁忌魔法陣ではなく、前王の宿り木の扱いのせいでした。人の命を育む宿り木に人の命を吸わせて枯れないようにするなんて……ガルド神はかなり怒り心頭でしたでしょう。

 次に僕自身の話をしました。僕が違う世界から転生して生まれて、三つの前世の記憶を持っていることに対しセフェムは、

「すごいな、タクは」

と僕の頬を舐めます。何も気にしていないようでした。

「知識も経験もたくさんある。それをこの世界で広めない?どうして隠すんだ?つまらないだろ。自分をもっと出してわがままにしてろよ。……で、今日はなんで寂しいんだ?」

 なんて言うので、僕はセフェムの肉球を揉みながらもやもやと呟きます。

「ガリウスがソニン様の隷属陣を解除してガリウスの名前が入ったバングルを渡しているんです。ソニン様は僕の洗脳と忘却の魔法陣を解いてくれた恩人です。でもガリウスがいっぱい和合するのは……嫌なんです。僕はガリウスの一番がいいんです。ガリウスを独り占めしたい僕と、それはダメだよって言う僕がいて、僕は……」

 肉球をもみもみしていたらすごく眠くなって来ました。

「そんな時は俺が横にいてやる。俺はお前の番いだぞ」

「だって……セフェムはいつもいない……から……」

 眠くて眠くて……。

「そうだよなあ。妖精妃は腕輪かあ……タクは何が欲しいんだ?前の人生で何もらうのが嬉しかった?」

 もらう?結婚するとですか?セフェム、眠たくてすみませんが……。

「結婚したら……左手の薬指に指輪を……僕は結婚したことないので……」

 そこからは覚えていません。僕はセフェムの尻尾を掴んで眠ってしまいました。




 朝起きるとガリウスが横にいて、セフェムはいませんでした。ガリウスが来てからセフェムは加速魔法陣を使用して帰ったと聞きました。

「寂しかったのか」

 セフェムが来てしまうほどに、と、言っているようでした。

「……寂しかったです、ガリウス」

 僕はガリウスの顎にキスをしました。僕は忘却陣の時に僕の心を解放してしまいました。だからかたまに押さえが効かなくて、かなりわがままになってしまうのです。

「済まぬ。しかしソニンはそなたの心遣いを喜んでいた」

 ソニン様の肛門を一晩中擦り続けた陰茎を僕はぎゅうっと握りました。

「心狭いのは分かっています。僕は……今からでも抱いて欲しいです」

 僕がそう言って寝台から離れると、ガリウスに掬い上げられました。

「ガリウス?」

「では、抱こう」

「え、ええ?」

 僕の羽織着をめくると肛門に指を這わせます。指には香油を絡めていて、僕は一昨日前にたくさん和合した肛門がゆるゆると開いて行くのを感じました。

「朝の申し送りが……」

「無体はせぬ」

 ガリウスは陰茎を半分も入れずに、僕は開いた両足首を掴まれて揺らされます。

「え、あ、あ!」

 前立腺を潰さんばかりに擦られて強烈な刺激に僕は逃げようとしましたが全く無駄で、ガリウスは浅いところばかり捏ねるのです。

「やっ……やだっ……奥にっ!」

「ここは嫌いか?」

 追い詰められるような感覚がします。亀頭が下腹を強く押し上げ、前立腺が潰されて、

「刺激がつよっ……んんん~~っ!」

 息を詰めながら僕は精液を散らしました。それでもまだ前立腺だけを虐めてくるガリウスに、

「もうっ……今出たからっ……」

「俺がまだだっ……」

 だったら奥へと思ったのに、ガリウスは前立腺の部分で亀頭を止めて擦るのです。お腹が熱くて痺れて……ぎゅうっと陰茎を締めました。

「ぅんんん~~~っ!」

 カッと熱くなり背中からびりびりとした何かが頭の中に走りました。精液を出さないドライオーガズムに達した僕の締め付けと同時にガリウスが精液を出して、僕は滲み入るような熱い体液に背を反らせます。

 少しずつ熱が引いていき、ガリウスが陰茎を抜くのに肛門裏で揺らしています。張り出した亀頭冠で擦られるのか気持ち良くて、お尻の中の括約筋がひくついてしまうのです。

「ターク、夜にまた和合しよう。時間切れだな、キレンが探しに来ている」

 僕が肛門に力を入れてガリウスの大きな亀頭を出すと、二人で少し笑いました。キレンさんが宮に来る前に外の温泉に入ると、キレンさんに見つかってしまいました。

「今日は妖精妃さんの宮だったよな、ガリウス」

 僕とガリウスがお湯に浸かっていますと、腕を組んだキレンさんが口元を怒りと笑いが満ちたように歪ませています。

「宮を渡った」

 ガリウスは悪びれずにキレンさんからタオルを貰いました。
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