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1章 

21 王様の宿り木※

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 お昼ご飯を食べ終わった後、アリスさんが迎えに来てくれました。アリスさんの手には宿題があります。アリスさんとティンは一緒に勉強をしています。ティンがアリスさんに教えるのです。

「一週間分の学びです。あとで見てもらえますか?」

「はい。あれ?キレンさんは?」

「あやつは文字の読み書きは向かないと早い段階で辞めてしまいました。すみません」

 うーん、残念です。僕はアリスさんの宿題を今の机に置いて、宮を出ます。もう既に皆さんが小さい宿り木のところにいました。

 僕の宮から一番近いところに根付いていた宿り木は小さくて頼りなく感じます。

「ソニン様、神癒を宿り木にお願いしたいのですが」

 ソニン様は今までの羽織着ではなくワンピースのような服に胸下で金の太いベルトをしています。身体に布線をつけてはならないと言う前々王様からの強迫観念から解き放たれたのでしょう。細身の長身によく似合っています。

「ええ、ターク様。ガリウス様、よろしいでしょうか?」

 王様が頷きました。日陰の鉢植えに植えられていた宿り木は僕の背丈程しかありません。

「では……」

 ソニン様が指先を地面に示します。金のマナが溢れて魔法陣を描き出します。描き終わるとそれを宿り木に移動させます。その瞬間、僕は誰にも見られないよう指を動かしました。

 ソニン様が指差しして大地に魔法陣が輝きます。その中心には宿り木があるのです。ソニン様が両手を開き宿り木に翳しました。

「魔法陣展開、神……待って!」

 ソニン様のマナがパッと散り、ソニン様が宿り木の前に膝をつきます。

「まあ……こんなところに隠れていたのですね……ガリウス様、ほらご覧になって」

 ソニン様が宿り木の数枚ある葉をめくりました。小梅のような小さな実が隠れています。

「ガリウス様、わたくしたちの子供はとても恥ずかしがり屋さんのようですわ」

 ソニン様がそっと触れると小さな実が薄桃色に染まります。そんな風に色が変化するのは、その実が二人の子である証拠なのです。

「ソニンちゃんとガリウスの実かあ。なんだよー」

 ロキが不満そうにソニン様の横にしゃがみ込んで実に触れます。すると白い滑らかな実が薄桃色に色づきました。

「あれ?色が変わる。俺の子か?ターク、お前も触れてみろよ」

 いやいや、僕は王様に嫁いでまだ十日程度ですよ。僕はロキに促されて実に触れました。実が薄桃色になります。

「王……この実は王と三人の妃様のお子様のようです」

 アリスさんの言葉にソニン様が両手で口元を押さえます。

「わたくしターク様のような可愛らしい子が良いと思います」

「タークみたいな頭のいい奴がいいな」

 いや、僕は……。小人族では醜い僕ですが、他の種族では可愛らしいのだそうです。僕も鏡を見ましたが、記憶の限り六歳位の外国人の可愛い男の子なんです。

「誰に似ても可愛いですよ。でもやっぱり一番似て欲しいのは、王様です」

 僕は大事で大切な王様の宿り木を守るために、錬成しました。宿り木の上に煉瓦でコの字の囲いを作りました。明かり取りの窓を入れて完成した祠の煉瓦は祈りの塔の煉瓦ですが、浄化してあり茶色の焼き色に戻りました。

「余の……実か?」

 王様が跪いて小さな小さな実に触れます。もちろん実は色が変わりました。王様は目頭を押さえて涙を堪えているようでした。

 半年前、戦場にいた王様は、いち下級貴族の子供でした。日々剣をふるい、場末の娼館で商売女性とウサを晴らすこともあったと聞きます。乱暴な性交はその名残だったのかもしれません。あちらの方々はしっかり準備をされていますし。

 知りもしない兄の死と共に、まるで取り替え品のように王城に連れて行かれ王様を押し付けられ、妃をあてがわれました。それでもその運命を飲み込み、腐ることなく淡々と日々をこなしていく生真面目さ。僕を娶り王であることを身体に定着させ、読み書きを覚え妃を慈しみ愛しんだ努力をガルド神が見ていないわけがありません。王様が妃を妃が王様を対等に受け入れたから実が宿ったのでしょう。

「ガリウス、やったな!」

 王様を支えるために戦場の一線から退いたキレンさんがアリスさんと肩を組んで、王様の肩を叩いています。僕としては実があろうがなかろうが、王様自身が『王』になって欲しいのですよ。

「アリスさん、お願いがあります。ロキとソニン様も」

 僕はにこりと笑いました。





「ターク、抱っこしてやる」

 ロキが僕をひょいと抱っこしてくれました。ソニン様も僕も羽織着です。ロキは腰巻きだけでした。

「こんなことをして大丈夫でしょうか」

 ソニン様がロキの横で呟きます。ソニン様は今宵も綺麗です。とても良い香りがします。

「大丈夫ですよ。アリスさんから許可を貰いましたし」

 僕はソニン様の手を取ります。指が長くて綺麗です。王様はさぞ満足出来るでしょう。

 王宮に入るとアリスさんが待っていてくれました。

「王は寝室にいらっしゃいます」

 はい、そうですよね。ありがとうございます。お休みなさいです。多分明日の朝おはようございますです。

 ノックもせずそおっと王様の寝室に入りました。王様はランプの灯りを頼りに書き物をしています。僕が出している宿題でしょう。今は文の書き付けに進化しています。あまりに真剣なので、ソニン様とロキが声を掛けあぐねていますので、僕が声を掛けました。

「王様、こんばんは。妃三名で、王様を労いにきました」

 王様は一瞬何事かと目を細めます。手元の紙を書物を隠し、扉の中に滑り込んだ僕らに向きました。僕らの夜這いですよ。

 ソニン様が王様の両手をそっと持って、寝台に誘導します。ロキが僕を寝台に降ろしてくれて、王様があぐらをかいて座りますと、ロキとソニン様が左右に座りました。

「王様はじっとしていてくださいね。妃三人でご奉仕します」

 ソニン様が寝台に横になり

「失礼します」

 綺麗な金の長くて真っ直ぐな髪を色香漂わせて掻き上げて、王様の陰茎に指を這わせます。すぐに王様の陰茎は勃起します。ソニン様と反対側でロキも指を這わせ、亀頭を口に入れました。

「……うっ」

 僕は王様の後ろに回り伸び上がると王様の耳に囁きます。

「いつも僕らに気を使ってくださる王様への労いです。身を委ねてくださいね」

 僕は王様の耳朶を甘噛みして王様の乳首を摘みます。息を詰める王様に僕は嬉しくなってしまいました。

 陰茎を舐め合い裏筋や会陰に指を這わせるロキとソニン様の艶めかしい様子に、王様の陰茎からぷくりと雫が溢れます。僕は王様のお腹によじ登って亀頭の尿道口に唇を付けました。薄甘い精液が出てきます。見ためはカルピス、味はネクターです。僕が両手で亀頭を揉みながら舌先を入れたりしています。

「ぐっ……ううっ……!」

 王様の呻き声と共に精液が溢れ出して僕は喉を鳴らして飲み込みます。とろりとしたネクターのような濃い味が喉を越え身体に染み渡りました。

「ふふ……」

 僕は美味しい味につい笑ってしまい、ロキとソニン様に目を向けられてしまいました。

「あっ……ガリウス様っ」

「ガリウスっ……」

 王様の両手がソニン様とロキの陰茎を掴み扱いていきます。僕を腹に置いたまま、二人と口付けを交わし大きな舌を絡め合い二人と唾液を分け合っていました。

「あ、あ……わたくしっ……」

 快楽に弱いソニン様が射精して、僕は王様のお腹から降りてソニン様の滑らかな細めの亀頭に口を付けました。王様よりは薄甘い精液が溢れ出しました。味はさっぱりしていますが甘いのです。少なめの精液を飲み干して、呻くロキの浅黒い屹立に唇を付けました。味は少し苦味があります。青臭いと感じるくらいです。

「あ、あ、あ、イくっ。ああ……っ!」

 トプトプと溢れ出した精液は飲めなくて口から溢れました。ロキの精液は苦いのです。

「ターク、どうだ?」

 王様は僕の考えを見抜いていたのですね。僕は王様に笑いかけました。

「ソニン様は甘かったです。ロキは苦いです」

 精液の味比べです。王様の精液はクセになる程美味しく、ソニン様は甘かったのですが、ロキは青臭くて苦いのです。王家の血が濃い方が精液に力があり、僕の身体に力を与えてくれるのでしょう。

「タークは?」

「はい?」

 トロンとした表情のロキが僕に抱きついて来ました。

「嫌で……ひゃあっ!あ、あ、あ、うう~~っ!」

 王様の手が僕の陰茎を嬲り、僕はロキに抱き上げられながら抵抗できず、少しばかり精液を出してしまいました。ソニン様が微笑んでいます。恥ずかしいです。

「ターク様は本当にお可愛いです」

 ソニン様に抱きしめられてしまいました。もう、僕の方が年上ですよ。

「余は本当に良い妃を得た。余は幸せ者だ」

 ロキもソニン様も王様の精を貰うわけにはいきません。王様の精は二人には催淫効果があるからです。左右で王様に添い寝し、僕は王様のお腹の上です。王様の寝台は大きくで四人でも余裕です。

「実が大きく太るといいですね」

 この日は四人で仲良く眠りにつきました。
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