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1章 

6 初夜の三日目※

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 僕は王様の大きな耳をやわやわと触れて頬に指を這わしました。そのまま唇に触れて、唇を塞ぐというか唇をつけました。

「性感帯を探りながら相手を触ります」

「何が楽しい?」

「相手の反応ですよ。自分の手や舌が相手を感じさせるいわば征服感です」

「ほう」

 征服という言葉に王様は反応します。王様の口は大きくて舌を入れても届きません。王様が舌を伸ばしてくれて僕は王様の舌を軽く噛んだりして性感帯を煽りつつ乳房はないので乳首を摘みました。

「うっ……むう……」

「乳房は下からすくいあげ、乳輪を含んで乳首を舐めます」

 ちゅう……と吸うと、王様の陰茎が勃起して来ます。感じている証拠ですね。

「脇腹からおへそも性感帯の一つですので舐めたりキスをしてもいいですよ。女性器へのタッチングはデリケートに。感じるところに唇をつけてもいいです。そして指に香油をつけてゆるゆると広げ寛げます」

 とりあえず女性器はないので肛門を指で軽くなぞり、陰茎の切っ先にちゅうと唇をつけます。舌を這わせると口の中には入りきらない亀頭の先だけを舐めます。すると王様が呻いて僕の頭を押さえました。

「ぐぅっ、ううーーっ!」

 口の中に生温かい大量の精液が入りました。これは……嚥下するしかないですよね。口の中の粘液質の精液を喉に流し込みますと、意外に甘く臭いもせずえぐみや癖もないので驚きました。

「なんだ……なんなのだ、これは」

「足の指や脇の下など性感帯を探りながらじわじわ攻め立てて、挿入する方が快感を得られます。どうです?ソニン様も喜ばれますよ」

 真っ赤になっている王様に、二番目の人生で女性遍歴のある僕がよく使っていた言葉を耳打ちしますと、さらに真っ赤になり

「妃よ、側仕え騎士を呼べ」

と言われたので僕は羽織着だけを着て扉を少し開け声をかけると、眠そうな側仕え騎士さんが宮へ入ってきます。僕は浴室で水を浴びて母がしつらえてくれた服を着て出て来ました。

「浴室は水か?」

「はい」

「それでいい」

 王様は浴室に浅く溜まる水で身体を流したようで、側仕え騎士さんが戻ってくると、側付きのあの使者さんが入って来ます。王様に服を着せると、王様に袋を手渡しました。

「三妃よ、今宵は渡らぬ。一妃に向かう。今朝の『教え』を持って初夜を終わらせる」

 寝台にずしりと重く感じる袋が置かれています。

「少し足した。側仕え騎士、側付き、料理人、給仕を妃が好む者を選べ」

 そう言い残されますと王様は宮を出て行かれました。僕はドワフの国にいた時より元気で、活力があり余っているので、もらったお金で僕自身へのご褒美を考えました。和室は材料が足りないため諦めますが、浴室は諦められません。

「ターク、無事かー?」

 隣の第二妃宮からロキの声が聞こえて来ますが、僕は鞄からお手製のダウンジングロッドを手にして僕の宮の庭を禹歩の如く歩きました。水脈や金脈があれば左右に開くダウンジングロッドは古代は棒倒しから始まり、ロッド以外にもペンジュラムなどがあります。実際に三番目の時代にも使われているのです。豆知識ですけれど。

「ターク、こっち来いよー。あーさーめーしー!」

 すみません、今はもうちょっと……あ、見つけました。意外にも今の浴室に近いところですね。では、浴室はそのままにして、露天風呂にしましょう。

「さて……」

 ロキが欠伸をしながら出てきます。その前で僕は空中魔法陣を描きました。

「錬成っ!」

 地面が揺れて目隠しの岩場が出来上がります。岩組みの下から源泉が上がって来てぼこぼこと湯を噴き出し、まごうことなし、源泉掛け流しの温泉が出来ました。温度は四十度。まあまあの温度です。目隠しの樹木を植えなくてはいけません。

「すっげえ……!」

 まだまだです。近くに水脈もあります。ソニン様の庭には小川が流れています。僕の庭にも合っていいでしょう。

「錬成っ!」

 地下から迫り上げた目隠し岩の隅から水が上がってきます。源泉とは別の水脈を引き上げましたから、王城の井戸には影響しないでしょう。水路を調整して煮炊き場の近くへ持ってきました。そこから二の宮と三の宮の間を通り池を作りましょう。ロキがひょいと跨げる程度の小川は、水を汲むのにはちょうどいいです。雨天には池に水が溜まり地に染み渡るでしょう。

「ふう……」

 湧き上がるような力を少しばかり使いスッキリしました。まだまだ溢れているのです。こんな大掛かりな魔法陣は何日も掛かるのにどういうわけでしょうか。

「ロキ、おはようございます。この小川と池の水はロキも使ってください。王城の井戸までは少し遠いですから」

「お、おう。外風呂かあ……すげえな」

 ぺろ……と指をつけて舐めると少し塩味がします。ナトリウム炭酸水素塩泉ですかね。リトマス試験紙なんかあると楽しそうです。

「食前にひと風呂します?血行が良くなりますよ」

 なんて誘いますとロキはすぐさま巻きスカートをはだけて、下着を身につけていない素肌を晒して湯に入ろうとします。

「掛け湯をしてからですよ。石敷きの部分で。錬成っ!」

 近場の木を錬成して、木の湯桶を作りロキに手渡しました。ロキと僕が入ってもまだ広い温泉ですが、どうやら無意識に王様も一緒に入れるように作ったみたいですね。

「ふー……極楽、極楽」

「タークって、たまにじい様みたいだな」

 う……死んだ時は全て『おじいさん』でしたから、三番目の時も若い頃のあだ名は『若年寄り』でしたしね。それにしても久しぶりの温泉……露天風呂は気持ち良すぎてたまりません。掛け流しですが、ちゃんと岩から染み込み溢れることはありません。我ながら素晴らしい出来でした。

「今朝も無事ってことは、今晩が初夜最後だな。本当に大丈夫か?俺は最初の時はズタズタ切れて気を失って医者が来たし、男を受け入れ慣れているソニンですら悲鳴を上げて苦しんだモノだぜ?」

 たしかに陰茎の根本まで挿入されるときは注意しなくてはなりませんね。まだまだ亀頭だけですし、不感症宣言で王様は凹んでいますから、しばらくは大丈夫でしょう。

「今宵はソニン様の宮にお渡りになるそうです」

「ソニンの?教えてやらないと準備が」

「やめておきましょう」

「ソニンが壊れちまう。あいつのブツを受けるには、半日くらい尻の穴を緩めないとダメだ」

「三日と開けず性交しているのですから、大丈夫ですよ。開き蕩けるよう肉体と精神を解放させるのは、挿入する方の力量です。でも……心配ですね。ロキ、覗きに行きましょう」

 僕はざばりと立ち上がって握り拳を作りました。
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