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バース性の突然変異でカーストから突き落とされたΩ。伝説のホストに会いに行ったらスパダリαの現役No,1に見初められ成り上がり人生を歩みます。
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バース性の突然変異でアルファからオメガになった。
高校卒業間際の悲劇。
無自覚にフェロモンを撒き散らし、アルファ達から襲われた。
ただアルファに抱かれる為に学校へ行っているようなものだったが、とても親には言えなかった。
突然オメガになった噂は学校中に広まり、常に誰かから狙われる。
休み時間になるたび、トイレや、準備室に連れ込まれ、やりたい放題やられた。
学年でもトップクラスの成績に、カーストも一軍だった人生から転落した瞬間だった。
心も体も傷付いたオメガは卒業後、大都会で『伝説』と呼ばれるホストに会いにいく。
その人も突然変異でオメガになった。
それでも『絶対アルファ主義』のホスト界のトップに登り詰めた。
たまたまTVの取材で取り上げられていたのを見て知ったというだけだが、この人に会えば、自分の人生を変えられるかもしれないと思った。
運良く面接に漕ぎ着け、その人の店で働けることとなる。
生で見る伝説の人は、とてもオメガとは思えない圧倒的なオーラを放っていた。
アルファだと言われたら信じてしまいそうな程、自信に満ち溢れている。
今は番を持ち、現役を退き経営に回っていた。
代わりに、現在のNo.1を教育係に宛てると紹介される。
No.1も同じような美しさを持つ人で、僅かな隙も感じさせない。
この目で見られたら一瞬で虜になってしまう。
オメガはNo.1を見た瞬間、ヒートを起こしてしまった。
しかし慣れた手つきで抑制剤を注射され、落ち着く。
「オメガの姫もいるからね。別に珍しいことじゃない」
ホストは慣れているが、客のアルファに狙われると危ないから、キャストは全員、抑制剤を持っていると説明した。
少しも襲おうとしない態度にまず驚きを隠せない。
「いろんなバース性が混在している。オメガだっていて当然なんだ。あんたも、オメガだからって自分を諦める必要はない。トップを目指してる奴だけが生き残れる。ここはそういう世界だ」
伝説のホストの言葉に完全に救われた。
ヒートを自覚した瞬間、高校の時のトラウマが蘇り、我を失いそうになった。
オメガの社会的地位を、体で思い知らされたあの時……。
アルファだった頃は自分も自信に満ちていた。
それを気に入らないと思う生徒もいると知っていたが、そんな奴は相手にしなかった。
自分がオメガになったと判明した途端、今までの鬱憤を晴らすかのように捌け口にされた。
卒業までの数ヶ月、あれほどの地獄はオメガをどん底に引き摺り落とすに十分な期間だった。
でもここは今までとは全く違う何かを感じる。
自分の居場所を作るならここがいいと思った。
しかし意欲的に働き始めたはいいが、キャストの殆どはアルファ。
これが予想以上に辛い。
今までの抑制剤ではとても対応できず、かなりキツイ薬に頼る毎日。
No.1のお陰でお酒を避けられていたのは救いだったが、多忙な日々と薬の所為で食欲は激減。
不眠にも悩まされるようになる。
それでも体調管理もできないやつとは思われたくない。
少しでも早くトップに近付きたい一心で、毎晩店に立った。
やっと定休日の前日、No.1に呼び出された。
「明日休みだから泊まりに来い」との誘い。
断る理由もなくついていく。
No.1のマンションは豪華で広くて、シンプルにまとめられたインテリアが一切の生活感を出さない、まさに『成功者』という部屋だった。
ソファーに座り落ち着きなく部屋を見渡していると、No.1が料理を振る舞ってくれた。
「最近、食欲なかっただろ?」
「なんで分かったんですか?」
「毎日見てるから大体のことは分かるよ」
そう言って隣に腰を下ろす。
「無理してるだろ?」
「……してません」
「今のままじゃトップに立つ前に君が崩れてしまう」
「ホストを辞めろと言うんですか?」
折角見つけたと思った居場所。まだ半年も経っていない。
ここを失ったら、この先どうすればいいのか。膝に置いた拳を握りしめる。
オメガとしての限界を突きつけられたような気持ちになった。
しかし、No.1はそうではないと言った。
「私生活でも頼ってほしくて言ったんだけどな」
「どう言うことですか?」
「僕が君の恋人になれば、もっと弱い薬に変えられるだろ?」
そこまで気を使わせてしまっているのかと、ショックを受けた。
「すみません、自己管理不足で。もっと気を付けます」
「そうじゃないよ。君は多分、性に対するトラウマがあるんだろう?」
ここまで体調を崩す前に、大体のオメガは性欲を自分なりの方法で発散させる。
ここまでキツイ薬を使ってまでそれを避けるのは、それなりの理由があると思ったとNo.1は言った。
「何もかも、お見通しですね」
オメガは高校時代の出来事を話した。
自分を襲うアルファたちの顔が忘れられない。
自慰ですら、それを思い出して殆ど出来ない。
その行為に対して、恐怖心しか抱けないことを話した。
No.1は「自分なら、本当のセックスを教えてあげられる」と言った。
「本当の……?」
「そうだよ。君は、自分は幸せになれないって思っている。でもね、幸せになってはいけない人なんて、この世にはいないんだ。たったの一人もね」
No.1の力強い眼差しから逃れられない。
この人が言うことが、全て正しいとさえ思えてくる。
「でも、男のオメガが幸せになれるなんて、きっと稀です。それこそ、運命の番でも現れれば違うのかもしれませんけど」
「君は『運命』を、ただ待ってるだけでいるつもり?」
「どういう……ことですか……」
「僕は待つなんてしない。君を好きだと思った。ならば自ら動いて君を落として見せる」
面と向かって好きだと言われたのは初めてだ。
それだけでドキドキしてしまう。
「自分のどこに、そんな要素があったのか分かりません」
「自己肯定感が低いんだね。もっと褒めてあげてもいいくらい、毎日頑張ってるじゃないか。どんなに忙しくても体調が悪くても、弱音一つ吐かない。逃げ出さない。その辺のアルファより、余程意識が高いよ。君は必ずテッペンに登り詰めろ。僕はここで待ってる。でも、その支えになるのも僕であって欲しい」
気付かないうちに握られた手が温かい。
他人から触られるのが嫌だったはずなのに、不思議と安心できる。
「自分だけが支えられるなんて、いつかは先輩の負担にしかならないです」
「僕は今でも十分、君に支えられているんだけどな」
「先輩酔ってるんですよ」
「一滴も飲んでない。正気だよ。本音を話してる」
頭ではダメだと思いながらも、体が熱くなるのを抑えられない。
薬の効きは日々悪くなる一方で、このままだとNo.1の前でヒートを起こし兼ねない。
帰らなければ。迷惑をかける前に。
なのに考えれば考えるほど、この人から離れたくないと言わんばかりに動くことを拒否する体。
「恋人のキスを教えてあげる」
頬に柔らかく触れた後、同じように唇に触れた。
「嫌じゃない?」
「嫌……じゃないです」
「じゃあ、もう少し続けるね」
徐々に深くなる口付け。自分が変になってしまいそうな気がした。
それでもやめて欲しくない。
「僕が君の運命になる」
その言葉を信じたくなった。
思えば初めて会ったあの瞬間から、惹かれていたのは自分の方だったと気付く。
この瞳に心を奪われていた。
この気持ちが憧れではなかったと、今になって自覚してしまった。
「先輩が、好きです」
No.1は頬笑み、本当の行為を全て教えてくれた。
初めてオメガになって良かったと感じた。
その後、先輩が現役の間はNo.1にはなれなかったけどNo.2の座に登り詰めた俺は、先輩の卒業後無事No.1に輝いた。
【オメガのNo.1誕生】として、一番大きな看板を立ててもらった。
「先輩のおかげです」
「君が頑張った証だよ。僕は、支えになっただけ」
看板の前で記念撮影をする。
頸には、くっきりと先輩の歯型が刻まれていた。
おしまい
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無自覚にフェロモンを撒き散らし、アルファ達から襲われた。
ただアルファに抱かれる為に学校へ行っているようなものだったが、とても親には言えなかった。
突然オメガになった噂は学校中に広まり、常に誰かから狙われる。
休み時間になるたび、トイレや、準備室に連れ込まれ、やりたい放題やられた。
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心も体も傷付いたオメガは卒業後、大都会で『伝説』と呼ばれるホストに会いにいく。
その人も突然変異でオメガになった。
それでも『絶対アルファ主義』のホスト界のトップに登り詰めた。
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運良く面接に漕ぎ着け、その人の店で働けることとなる。
生で見る伝説の人は、とてもオメガとは思えない圧倒的なオーラを放っていた。
アルファだと言われたら信じてしまいそうな程、自信に満ち溢れている。
今は番を持ち、現役を退き経営に回っていた。
代わりに、現在のNo.1を教育係に宛てると紹介される。
No.1も同じような美しさを持つ人で、僅かな隙も感じさせない。
この目で見られたら一瞬で虜になってしまう。
オメガはNo.1を見た瞬間、ヒートを起こしてしまった。
しかし慣れた手つきで抑制剤を注射され、落ち着く。
「オメガの姫もいるからね。別に珍しいことじゃない」
ホストは慣れているが、客のアルファに狙われると危ないから、キャストは全員、抑制剤を持っていると説明した。
少しも襲おうとしない態度にまず驚きを隠せない。
「いろんなバース性が混在している。オメガだっていて当然なんだ。あんたも、オメガだからって自分を諦める必要はない。トップを目指してる奴だけが生き残れる。ここはそういう世界だ」
伝説のホストの言葉に完全に救われた。
ヒートを自覚した瞬間、高校の時のトラウマが蘇り、我を失いそうになった。
オメガの社会的地位を、体で思い知らされたあの時……。
アルファだった頃は自分も自信に満ちていた。
それを気に入らないと思う生徒もいると知っていたが、そんな奴は相手にしなかった。
自分がオメガになったと判明した途端、今までの鬱憤を晴らすかのように捌け口にされた。
卒業までの数ヶ月、あれほどの地獄はオメガをどん底に引き摺り落とすに十分な期間だった。
でもここは今までとは全く違う何かを感じる。
自分の居場所を作るならここがいいと思った。
しかし意欲的に働き始めたはいいが、キャストの殆どはアルファ。
これが予想以上に辛い。
今までの抑制剤ではとても対応できず、かなりキツイ薬に頼る毎日。
No.1のお陰でお酒を避けられていたのは救いだったが、多忙な日々と薬の所為で食欲は激減。
不眠にも悩まされるようになる。
それでも体調管理もできないやつとは思われたくない。
少しでも早くトップに近付きたい一心で、毎晩店に立った。
やっと定休日の前日、No.1に呼び出された。
「明日休みだから泊まりに来い」との誘い。
断る理由もなくついていく。
No.1のマンションは豪華で広くて、シンプルにまとめられたインテリアが一切の生活感を出さない、まさに『成功者』という部屋だった。
ソファーに座り落ち着きなく部屋を見渡していると、No.1が料理を振る舞ってくれた。
「最近、食欲なかっただろ?」
「なんで分かったんですか?」
「毎日見てるから大体のことは分かるよ」
そう言って隣に腰を下ろす。
「無理してるだろ?」
「……してません」
「今のままじゃトップに立つ前に君が崩れてしまう」
「ホストを辞めろと言うんですか?」
折角見つけたと思った居場所。まだ半年も経っていない。
ここを失ったら、この先どうすればいいのか。膝に置いた拳を握りしめる。
オメガとしての限界を突きつけられたような気持ちになった。
しかし、No.1はそうではないと言った。
「私生活でも頼ってほしくて言ったんだけどな」
「どう言うことですか?」
「僕が君の恋人になれば、もっと弱い薬に変えられるだろ?」
そこまで気を使わせてしまっているのかと、ショックを受けた。
「すみません、自己管理不足で。もっと気を付けます」
「そうじゃないよ。君は多分、性に対するトラウマがあるんだろう?」
ここまで体調を崩す前に、大体のオメガは性欲を自分なりの方法で発散させる。
ここまでキツイ薬を使ってまでそれを避けるのは、それなりの理由があると思ったとNo.1は言った。
「何もかも、お見通しですね」
オメガは高校時代の出来事を話した。
自分を襲うアルファたちの顔が忘れられない。
自慰ですら、それを思い出して殆ど出来ない。
その行為に対して、恐怖心しか抱けないことを話した。
No.1は「自分なら、本当のセックスを教えてあげられる」と言った。
「本当の……?」
「そうだよ。君は、自分は幸せになれないって思っている。でもね、幸せになってはいけない人なんて、この世にはいないんだ。たったの一人もね」
No.1の力強い眼差しから逃れられない。
この人が言うことが、全て正しいとさえ思えてくる。
「でも、男のオメガが幸せになれるなんて、きっと稀です。それこそ、運命の番でも現れれば違うのかもしれませんけど」
「君は『運命』を、ただ待ってるだけでいるつもり?」
「どういう……ことですか……」
「僕は待つなんてしない。君を好きだと思った。ならば自ら動いて君を落として見せる」
面と向かって好きだと言われたのは初めてだ。
それだけでドキドキしてしまう。
「自分のどこに、そんな要素があったのか分かりません」
「自己肯定感が低いんだね。もっと褒めてあげてもいいくらい、毎日頑張ってるじゃないか。どんなに忙しくても体調が悪くても、弱音一つ吐かない。逃げ出さない。その辺のアルファより、余程意識が高いよ。君は必ずテッペンに登り詰めろ。僕はここで待ってる。でも、その支えになるのも僕であって欲しい」
気付かないうちに握られた手が温かい。
他人から触られるのが嫌だったはずなのに、不思議と安心できる。
「自分だけが支えられるなんて、いつかは先輩の負担にしかならないです」
「僕は今でも十分、君に支えられているんだけどな」
「先輩酔ってるんですよ」
「一滴も飲んでない。正気だよ。本音を話してる」
頭ではダメだと思いながらも、体が熱くなるのを抑えられない。
薬の効きは日々悪くなる一方で、このままだとNo.1の前でヒートを起こし兼ねない。
帰らなければ。迷惑をかける前に。
なのに考えれば考えるほど、この人から離れたくないと言わんばかりに動くことを拒否する体。
「恋人のキスを教えてあげる」
頬に柔らかく触れた後、同じように唇に触れた。
「嫌じゃない?」
「嫌……じゃないです」
「じゃあ、もう少し続けるね」
徐々に深くなる口付け。自分が変になってしまいそうな気がした。
それでもやめて欲しくない。
「僕が君の運命になる」
その言葉を信じたくなった。
思えば初めて会ったあの瞬間から、惹かれていたのは自分の方だったと気付く。
この瞳に心を奪われていた。
この気持ちが憧れではなかったと、今になって自覚してしまった。
「先輩が、好きです」
No.1は頬笑み、本当の行為を全て教えてくれた。
初めてオメガになって良かったと感じた。
その後、先輩が現役の間はNo.1にはなれなかったけどNo.2の座に登り詰めた俺は、先輩の卒業後無事No.1に輝いた。
【オメガのNo.1誕生】として、一番大きな看板を立ててもらった。
「先輩のおかげです」
「君が頑張った証だよ。僕は、支えになっただけ」
看板の前で記念撮影をする。
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