BLツイノベ短編集

亜沙美多郎

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異世界に召喚された神子は、呪われた光の神に身を捧げる

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 異世界に神子として召喚された。

 そこは永遠に夜が続いている世界。
 光の神が、闇の神の呪いより神木の中に閉じ込められていた。

 草木は枯れ、人々は精神を病み争いが絶えない。光の神を救えるのは選ばれし神子のみ。

 魔術師により召喚されたのは、今、自殺を試みる直前の俺だった。

 神子として、森の奥地に連れていかれる。

 木や草が腐敗して異臭を漂わせていた。

 そこに一本の巨大な植物が威圧的に聳えている。内側から僅かに光が漏れていた。

 光の神はその神木の中にいると魔術師は言った。
 早く助けなければ、光が消えてしまう。
 そうなれば、この世界にもう朝は来ないと……。

 神子は光の神に身を捧げる覚悟を決めた。
 もし真の神子でなかった場合、この神木の栄養として吸収される。
 しかし日本で自ら命を絶とうとしていた。もしそうなっても、悔いはない。

 魔術師は怪しげな呪文を唱え始めた。
 すると、触手が伸びてきて神子を雁字搦めにし、神木の中へ引きずり込んだのだ。

 光の神を救うには神子の体液が必要とされる。
 触手は神子の服の中へと侵入するし、巧みに蠢き、繰り返し絶頂に突き上げられた。
 飛沫させた体液は全て触手により吸い取られる。

 いつの間にか服は剥ぎ取られ、何本もの触手により快楽の海へと沈められた。
 吐精しても終わる気配もない。
 ひたすら精液を吸い取られ、意識を失っては取り戻し、快楽に抗えずに絶頂へと達する。

 そんな時間が何日続いただろうか。

 完全に意識を失い、次に目が覚めた時、眩い光に包み込まれていた。
 今度こそ、息絶えたと思ったが、そうではなかった。
 目の前には、美しい光をまとった男性がいる。気付けばその人の腕に包み込まれていた。

「もしかして、光の神?」
「その通りだ。そなたのお蔭で力を取り戻したのだ」
 死ぬ前に神様から感謝されるとは。
 善いことをしたと思った。

 前世であのまま身投げしていれば、後悔したかもしれない。こんな自分にも誰かの役に立てたのが嬉しい。
 そう伝えると、突然光の神から口付けられた。

「そなたを死なせるはずがない。これからも、私にその力を与え続け、共に生きてくれ」
 たった一度の口付けで精気が蘇る。

「それならば、触手なんて嫌です。光の神に、直接、力を与えたい」
「勿論、そのつもりだ」

 そうして、この世界に再び朝が訪れ、自然が蘇り、二人は生涯幸せに暮らした。


 おしまい。



(疲れ摩羅~の真面目バージョンだなぁと、あとから気付きました・笑)
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