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ダウナー系アルファと再会して番になるまで
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同窓会で始まった王様ゲーム。
「二番と六番、後日デートして写真撮る!」
そんなよく分からない命令のターゲットになったのが、俺と、高校の時から『ダウナー系』と言われていたアルファ……で、元恋人だった。
俺はオメガとはいえ遅咲きのタイプで、発情期も最近やっと始まった。
あの頃は自分から告白したものの、結局自然消滅で二人の関係は終わった。
「連絡先、変わってる?」
「変わってない」
「また連絡する」
「あぁ」
そんな短い会話だけでその場は終了。
本当にデートなんて実現するのか? とも思いつつ一応メッセージを送ると、一応返ってくる。
単的な言葉も相変わらずで、気持ちが読めない。あの頃も何を考えてるのか分からずに、不安ばかりが大きくなっていった。
体の関係どころか、キスさえしないままの半年。
耐えられずに距離を置き始めたのも自分からだった。
それでも『去る者追わず』でアッサリと二人の関係はおわりをつげた。
きっとフェロモンも出さないオメガには、興味も湧かないのだろう。
高校を卒業してからは連絡もしたことがなかった。
ようやく発情期の始まった自分は、これで少しはアルファから振り向いてもらえるかもなんて、ヒートに苦しみながらも嬉しく感じていた。
新しい恋をしようと、前向きになれた矢先の 再会。
デートの約束は一応したものの、当日はきっと元恋人は来ないだろうと思っていた。
「え、来たんだ」
「間違ってた?」
「違くて。来ないと思ってたから」
「なんで?」
表情一つ変えずに言う。さすがはダウナー系。さっぱり感情が読めない。
「なんでもない」と流すと、映画を観に行った。
「映画始まる前に写真撮っていい?」
「あぁ」
ツーショットの写真を撮る。
「もっと楽しそうな顔できないわけ?」
なんて冗談も通じない。
小さくため息を溢すと、時間が丁度いいというだけで決めた恋愛映画が始まった。
何も喋らなくてもいい事だけは、映画を選んで正解だったと思う。
デートなのに手も繋がない。
そんなアルファ側の腕だけが緊張している。
こんなにも意識してるのも自分だけだ。
「今日はありがとうな。じゃあ元気で」
映画が終わるとすぐに別れを告げた。
やはり返事すら返ってこない。
元恋人といると、自分の魅力のなさを突き付けられているように感じる。
「俺って、そんなに魅力ないかな」
唇を噛み締める。
会うべきじゃなかったのかもしれない。
早足で駅に向かう。
あんなやつを忘れられなかったのは、未練じゃなくてトラウマなんだ、きっと……。
自分に言い聞かせても無駄だった。
改めて会ってみて、やっぱり好きだと自覚してしまった。
あんなにも塩対応なのに、本能で元恋人を求めてしまう。
「あーぁ、二度目の失恋つらっ」
自嘲した時、突然後ろから抱きしめられた。
「何?」
「フェロモン、出てる」
元恋人が耳元で息切れしている。
「映画観てる時から気付いてた。すぐに隠れられる場所を探してたら、いなくなってるからビックリして、慌てて追いかけた」
こんなにも喋る元恋人は初めてだ。
さっきスマホに集中して返事をしなかったのはその為だったと気付く。
そういえば、そろそろ発情期に入る頃だったかもしれない。
まだ発情期に慣れないから忘れていた。
「抑制剤飲んでるし大丈夫。二駅だけだし、帰るよ」
「ダメ、危ないから」
元恋人は自分のジャケットで包み込み、少しでもフェロモンが散布されないように配慮してくれた。
元恋人の匂いに、体がズクンと反応した。
(なんだこれは。こんなの、今までなった事ない)
元恋人の匂いに完全に当てられている。
真っ直ぐ歩こうとしても足がおぼつかない。
とうとう抱え上げられ近くのホテルに移動した。
「ごめん、こんな場所しかなくて」
「いや、ありがとう」
ぎこちない会話をしても、落ち着く気配はなく、ヒートは酷くなる一方。
アルファが欲しくて仕方がない。
でもそんな事言えない。
これ以上迷惑をかけられない。
「風呂場行くから」と立ち上がると「俺にやらせて?」と言ってベッドに押し倒された。
「なんで? 俺の事嫌いなんでしょ?」
「嫌いなんて言った事ない」
「好きとも言われた事ないけど」
「だって、お前が俺の事意識してくれなかったから」
「は?そんなわけな」
「今は黙って」
目は口ほどに物を言ってくれない。
無表情のまま、キスで口を塞がれた。
展開に頭が追いつかない。それでもヒートは増していく。
「抱いてくれるの?」と、冗談まじりに言う。
「まだそんな余裕あるの?」と呟いた後、平然とした様子で「この時を待ってた」と言った。
「この時って何?」
「お前が、俺に欲情する時」
元恋人は付き合っていた当時、自分に発情されないことを悩んでいたと言った。
だんだんと距離を置かれていると気付き、一度は諦めた。
でも再開するとやっぱりダメだった。
「それ、俺も一緒」
「なんで、離れて行ったの?」
元恋人から逆に質問される。
「俺には興味ないのかと思ってた。恋人らしい事、何もしれくれなかったし、まだ発情期も来てなかったから、ヒートもしないオメガなんて嫌いなのかなって、思って」
「好きに決まってるじゃん。ずっと、ずっと好きだった。発情期が来るまで待つつもりだった」
オメガはヒートを起こさないと濡れないから、辛いだろうと思い手を出さなかったらしい。
「そんなの、勝手なエゴだろ! その時言って欲しかった」
「ごめん。これからはちゃんと言うから」
「俺もごめん。ヒート辛い」
もう喋れそうにないほどのヒートは初めてだ。
それからは夢中でお互いを求めた。
この三年間を埋めるように。
元恋人は何度も繰り返し「好きだ」と言う。
「恥ずかしいからやめろ」と言っても「伝えられなかった三年分言う」と言って、また好きだと言った。
二人で何度も絶頂に達し、ヒートが収まると「もう一回やり直したい」と元恋人から言われた。
自分の感情を読まれるのが苦手で、自然と無表情になってしまっていた。
でもこれからは、自分の気持ちをしっかり伝えていくから。と言って微笑んだ。
その笑顔があまりにも優しくて、思わず「俺も好き」なんて、柄にもないことを口走ってしまったんだ。
再び恋人になったアルファは「このまま番になりたい。自分以外の人にお前の匂い嗅がれたくない」なんて言い出す。
「そんなキャラだっけ?」
「今までは我慢してただけ。本当は独占欲の塊」
喋りながらもキスをやめない。
「いいよ、番になろ。俺もお前以外じゃ無理だし」
「本気で言ってる?」
「本気じゃないと言えないよ」
こうして二人は無事、番になりました。
おしまい。
「二番と六番、後日デートして写真撮る!」
そんなよく分からない命令のターゲットになったのが、俺と、高校の時から『ダウナー系』と言われていたアルファ……で、元恋人だった。
俺はオメガとはいえ遅咲きのタイプで、発情期も最近やっと始まった。
あの頃は自分から告白したものの、結局自然消滅で二人の関係は終わった。
「連絡先、変わってる?」
「変わってない」
「また連絡する」
「あぁ」
そんな短い会話だけでその場は終了。
本当にデートなんて実現するのか? とも思いつつ一応メッセージを送ると、一応返ってくる。
単的な言葉も相変わらずで、気持ちが読めない。あの頃も何を考えてるのか分からずに、不安ばかりが大きくなっていった。
体の関係どころか、キスさえしないままの半年。
耐えられずに距離を置き始めたのも自分からだった。
それでも『去る者追わず』でアッサリと二人の関係はおわりをつげた。
きっとフェロモンも出さないオメガには、興味も湧かないのだろう。
高校を卒業してからは連絡もしたことがなかった。
ようやく発情期の始まった自分は、これで少しはアルファから振り向いてもらえるかもなんて、ヒートに苦しみながらも嬉しく感じていた。
新しい恋をしようと、前向きになれた矢先の 再会。
デートの約束は一応したものの、当日はきっと元恋人は来ないだろうと思っていた。
「え、来たんだ」
「間違ってた?」
「違くて。来ないと思ってたから」
「なんで?」
表情一つ変えずに言う。さすがはダウナー系。さっぱり感情が読めない。
「なんでもない」と流すと、映画を観に行った。
「映画始まる前に写真撮っていい?」
「あぁ」
ツーショットの写真を撮る。
「もっと楽しそうな顔できないわけ?」
なんて冗談も通じない。
小さくため息を溢すと、時間が丁度いいというだけで決めた恋愛映画が始まった。
何も喋らなくてもいい事だけは、映画を選んで正解だったと思う。
デートなのに手も繋がない。
そんなアルファ側の腕だけが緊張している。
こんなにも意識してるのも自分だけだ。
「今日はありがとうな。じゃあ元気で」
映画が終わるとすぐに別れを告げた。
やはり返事すら返ってこない。
元恋人といると、自分の魅力のなさを突き付けられているように感じる。
「俺って、そんなに魅力ないかな」
唇を噛み締める。
会うべきじゃなかったのかもしれない。
早足で駅に向かう。
あんなやつを忘れられなかったのは、未練じゃなくてトラウマなんだ、きっと……。
自分に言い聞かせても無駄だった。
改めて会ってみて、やっぱり好きだと自覚してしまった。
あんなにも塩対応なのに、本能で元恋人を求めてしまう。
「あーぁ、二度目の失恋つらっ」
自嘲した時、突然後ろから抱きしめられた。
「何?」
「フェロモン、出てる」
元恋人が耳元で息切れしている。
「映画観てる時から気付いてた。すぐに隠れられる場所を探してたら、いなくなってるからビックリして、慌てて追いかけた」
こんなにも喋る元恋人は初めてだ。
さっきスマホに集中して返事をしなかったのはその為だったと気付く。
そういえば、そろそろ発情期に入る頃だったかもしれない。
まだ発情期に慣れないから忘れていた。
「抑制剤飲んでるし大丈夫。二駅だけだし、帰るよ」
「ダメ、危ないから」
元恋人は自分のジャケットで包み込み、少しでもフェロモンが散布されないように配慮してくれた。
元恋人の匂いに、体がズクンと反応した。
(なんだこれは。こんなの、今までなった事ない)
元恋人の匂いに完全に当てられている。
真っ直ぐ歩こうとしても足がおぼつかない。
とうとう抱え上げられ近くのホテルに移動した。
「ごめん、こんな場所しかなくて」
「いや、ありがとう」
ぎこちない会話をしても、落ち着く気配はなく、ヒートは酷くなる一方。
アルファが欲しくて仕方がない。
でもそんな事言えない。
これ以上迷惑をかけられない。
「風呂場行くから」と立ち上がると「俺にやらせて?」と言ってベッドに押し倒された。
「なんで? 俺の事嫌いなんでしょ?」
「嫌いなんて言った事ない」
「好きとも言われた事ないけど」
「だって、お前が俺の事意識してくれなかったから」
「は?そんなわけな」
「今は黙って」
目は口ほどに物を言ってくれない。
無表情のまま、キスで口を塞がれた。
展開に頭が追いつかない。それでもヒートは増していく。
「抱いてくれるの?」と、冗談まじりに言う。
「まだそんな余裕あるの?」と呟いた後、平然とした様子で「この時を待ってた」と言った。
「この時って何?」
「お前が、俺に欲情する時」
元恋人は付き合っていた当時、自分に発情されないことを悩んでいたと言った。
だんだんと距離を置かれていると気付き、一度は諦めた。
でも再開するとやっぱりダメだった。
「それ、俺も一緒」
「なんで、離れて行ったの?」
元恋人から逆に質問される。
「俺には興味ないのかと思ってた。恋人らしい事、何もしれくれなかったし、まだ発情期も来てなかったから、ヒートもしないオメガなんて嫌いなのかなって、思って」
「好きに決まってるじゃん。ずっと、ずっと好きだった。発情期が来るまで待つつもりだった」
オメガはヒートを起こさないと濡れないから、辛いだろうと思い手を出さなかったらしい。
「そんなの、勝手なエゴだろ! その時言って欲しかった」
「ごめん。これからはちゃんと言うから」
「俺もごめん。ヒート辛い」
もう喋れそうにないほどのヒートは初めてだ。
それからは夢中でお互いを求めた。
この三年間を埋めるように。
元恋人は何度も繰り返し「好きだ」と言う。
「恥ずかしいからやめろ」と言っても「伝えられなかった三年分言う」と言って、また好きだと言った。
二人で何度も絶頂に達し、ヒートが収まると「もう一回やり直したい」と元恋人から言われた。
自分の感情を読まれるのが苦手で、自然と無表情になってしまっていた。
でもこれからは、自分の気持ちをしっかり伝えていくから。と言って微笑んだ。
その笑顔があまりにも優しくて、思わず「俺も好き」なんて、柄にもないことを口走ってしまったんだ。
再び恋人になったアルファは「このまま番になりたい。自分以外の人にお前の匂い嗅がれたくない」なんて言い出す。
「そんなキャラだっけ?」
「今までは我慢してただけ。本当は独占欲の塊」
喋りながらもキスをやめない。
「いいよ、番になろ。俺もお前以外じゃ無理だし」
「本気で言ってる?」
「本気じゃないと言えないよ」
こうして二人は無事、番になりました。
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