6 / 33
大阪出張でわんこ系の新人αに絆されるお話。
しおりを挟む 「ふえぇ、…」
ふと唐突に、ヒナの声が聞こえてくる。
すぐに俺は、顔を振り向いた。
すると彼女は、表情をくしゃくしゃにしながら、声を殺して泣いているようだ。目の前で起きた事に、ショックを受けてしまっているようだ。
「くっ。…」
と俺は苦々しげに呟くと、歯をギリリと強く食い縛った。なんとか呼吸を整えて冷静さを保つ様に努めながら、ゆっくりと語りかけだす。
「ヒナ。」
「な、何?」
「すまない。…俺も油断していた。だから、大変な事に。…」
「う、ううん。」
対してヒナも嗚咽を漏らしつつも、弱々しく返事をしており、次第に話に耳を傾けていた。
「…今、ダフネが蛇達と戦っている。…このまま俺達は森の奥に向かえば、安全な場所に逃げ切れるだろうし。…あの女の強さなら、キリエも助けてくれるかもしれない。…」
「……ぐすっ、…。」
「でも、…その場合、全てが終わるまで、ただ黙って何もしないままだ。…これは俺の我が儘かもしれないけど、…黙って待っているなんて出来ない。」
と、俺は最後に伝えると話を締めくくった。さらに再び彼女の様子を伺う。
やがて一拍の間の後に、ーー
「…あたし。…………あたしも、リエちゃんと、……また皆と、アイス食べたい。…」
と、ヒナは小さな声で呟く。ついでに袖で涙を拭いだしたら、此方に顔を向けてきた。
そうして互いに視線を交わらせると、頷いていた。同じ意思を感じている。
俺は意を決すると自ずと立ち上り、思考を巡らせて考えを纏める。
ほぼ同時に、ヒナも姿勢を変えながら此方の首に腕を回してしっかりと抱きつく。所謂は、おんぶする状態となる。
そのまま俺達は小声で話をしていき、互いに作戦を伝えて擦り合わせた。ようやくして話が終わるや否や、遺跡の方に向かって走りだして行った。
ふと唐突に、ヒナの声が聞こえてくる。
すぐに俺は、顔を振り向いた。
すると彼女は、表情をくしゃくしゃにしながら、声を殺して泣いているようだ。目の前で起きた事に、ショックを受けてしまっているようだ。
「くっ。…」
と俺は苦々しげに呟くと、歯をギリリと強く食い縛った。なんとか呼吸を整えて冷静さを保つ様に努めながら、ゆっくりと語りかけだす。
「ヒナ。」
「な、何?」
「すまない。…俺も油断していた。だから、大変な事に。…」
「う、ううん。」
対してヒナも嗚咽を漏らしつつも、弱々しく返事をしており、次第に話に耳を傾けていた。
「…今、ダフネが蛇達と戦っている。…このまま俺達は森の奥に向かえば、安全な場所に逃げ切れるだろうし。…あの女の強さなら、キリエも助けてくれるかもしれない。…」
「……ぐすっ、…。」
「でも、…その場合、全てが終わるまで、ただ黙って何もしないままだ。…これは俺の我が儘かもしれないけど、…黙って待っているなんて出来ない。」
と、俺は最後に伝えると話を締めくくった。さらに再び彼女の様子を伺う。
やがて一拍の間の後に、ーー
「…あたし。…………あたしも、リエちゃんと、……また皆と、アイス食べたい。…」
と、ヒナは小さな声で呟く。ついでに袖で涙を拭いだしたら、此方に顔を向けてきた。
そうして互いに視線を交わらせると、頷いていた。同じ意思を感じている。
俺は意を決すると自ずと立ち上り、思考を巡らせて考えを纏める。
ほぼ同時に、ヒナも姿勢を変えながら此方の首に腕を回してしっかりと抱きつく。所謂は、おんぶする状態となる。
そのまま俺達は小声で話をしていき、互いに作戦を伝えて擦り合わせた。ようやくして話が終わるや否や、遺跡の方に向かって走りだして行った。
25
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。


僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載


別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる