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本編
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侯爵令嬢との縁談が進んでいた矢先の出会いだったと言った。
「お父様もエリアの性格を分かっているからこそ、縁談は断ってきたんだけどキャンベル侯爵家だけは一歩も引かなくて……。エリアも困っていたんだ」
「その……キャンベルさんってそんなに嫌な女の人? ですのか?」
「ああ、エリアも僕もグイグイ迫ってくる人は苦手なんだ。まさにそんなタイプの方でね」
仕事での付き合いもあるし、なかなか穏便に断りもできず、困っていたのだそうだ。
「それで、エリアは自分に番ができたら流石に諦めてくれるだろうって、僕だけには漏らしていた。だから、マヒロさんとの出会いはエリアにとっても願ったり叶ったりの状況だったんだ。番を見つけるのはほぼ賭けだったから、あれだけの人が集まった中で、マヒロさんのフェロモンの香りが届いた瞬間の衝撃は相当なものだったって言ってたよ」
そんなに強烈な匂いを発していたのかと思うと、やや恥ずかしい。
でも、あの香水や料理の匂い、そして人の熱気の中で、俺だけのフェロモンを見つけ出してくれたのは正直嬉しいと思った。
「エリア様、発情した俺に少しも触れなかったです。Ωのフェロモンに当てられないように訓練をしているのですのね? 仕事とはいえ、すごいなって……思って……」
「え? 訓練? どんな?」
リアム様がキョトンとした表情になる。
「訓練、してるって……エリア様が……。仕事上、Ωとも関わるからって……」
あれ? 確かにそう言ってたよな?
記憶に自信がなくなってきたぞ……。
「そんな訓練はしたことないよ。僕たち騎士団はΩの人と関わることもある。だから一般のαよりも強い薬は飲んでいる。薬の耐性は人よりも強いかもしれないけど……。それでもΩのフェロモンの耐性をつけるなんて無理な話だ。本能的なものをコントロールなんてできない」
「じゃあ、エリア様は……?」
「エリアはΩの人と関わるなんてゼロに等しいから、僕ほど強い抑制剤さえ普段は飲んでない。パーティーの時は流石に僕のを飲んでもらっているけど……。きっと、マヒロさんに信頼して欲しくって、必死に我慢したんだと思うよ」
アンジュさんと顔を見合わせて驚いていた。
あんなにも平然とした態度は、実は演技だったのか!?
「……とてもそんな風には見えなかった……」
「その話は僕も初めて聞いたから、正直驚いた。あのエリアのことだから、力付くで奪ったのかと……実は少し思っていたんだ」
だって、出会ってたった一ヶ月で番になって帰ってくるなんて想像できる? とリアム様は言う。
エリア様は強引なところもあったものの、今にして思えば俺の意見も尊重してくれていたような……気がする。その戦略に俺がまんまとハマってしまったと言うわけだ。
リアム様とアンジュさんは出会ってからお付き合いに至るまで三ヶ月はかかったそうだ。それから婚約までに約一年。それでも結婚を決めるには早すぎるかもしれないと、悩んでいたらしい。
「でもエリアがマヒロさんと出会ってから、たった一ヶ月で番になって帰ってきて、判断力にも行動力にも感心してしまったよ。僕はまだまだだなって反省した」
そんなところは、尊敬しなくて良いですぞ……リアム様。
「お父様もエリアの性格を分かっているからこそ、縁談は断ってきたんだけどキャンベル侯爵家だけは一歩も引かなくて……。エリアも困っていたんだ」
「その……キャンベルさんってそんなに嫌な女の人? ですのか?」
「ああ、エリアも僕もグイグイ迫ってくる人は苦手なんだ。まさにそんなタイプの方でね」
仕事での付き合いもあるし、なかなか穏便に断りもできず、困っていたのだそうだ。
「それで、エリアは自分に番ができたら流石に諦めてくれるだろうって、僕だけには漏らしていた。だから、マヒロさんとの出会いはエリアにとっても願ったり叶ったりの状況だったんだ。番を見つけるのはほぼ賭けだったから、あれだけの人が集まった中で、マヒロさんのフェロモンの香りが届いた瞬間の衝撃は相当なものだったって言ってたよ」
そんなに強烈な匂いを発していたのかと思うと、やや恥ずかしい。
でも、あの香水や料理の匂い、そして人の熱気の中で、俺だけのフェロモンを見つけ出してくれたのは正直嬉しいと思った。
「エリア様、発情した俺に少しも触れなかったです。Ωのフェロモンに当てられないように訓練をしているのですのね? 仕事とはいえ、すごいなって……思って……」
「え? 訓練? どんな?」
リアム様がキョトンとした表情になる。
「訓練、してるって……エリア様が……。仕事上、Ωとも関わるからって……」
あれ? 確かにそう言ってたよな?
記憶に自信がなくなってきたぞ……。
「そんな訓練はしたことないよ。僕たち騎士団はΩの人と関わることもある。だから一般のαよりも強い薬は飲んでいる。薬の耐性は人よりも強いかもしれないけど……。それでもΩのフェロモンの耐性をつけるなんて無理な話だ。本能的なものをコントロールなんてできない」
「じゃあ、エリア様は……?」
「エリアはΩの人と関わるなんてゼロに等しいから、僕ほど強い抑制剤さえ普段は飲んでない。パーティーの時は流石に僕のを飲んでもらっているけど……。きっと、マヒロさんに信頼して欲しくって、必死に我慢したんだと思うよ」
アンジュさんと顔を見合わせて驚いていた。
あんなにも平然とした態度は、実は演技だったのか!?
「……とてもそんな風には見えなかった……」
「その話は僕も初めて聞いたから、正直驚いた。あのエリアのことだから、力付くで奪ったのかと……実は少し思っていたんだ」
だって、出会ってたった一ヶ月で番になって帰ってくるなんて想像できる? とリアム様は言う。
エリア様は強引なところもあったものの、今にして思えば俺の意見も尊重してくれていたような……気がする。その戦略に俺がまんまとハマってしまったと言うわけだ。
リアム様とアンジュさんは出会ってからお付き合いに至るまで三ヶ月はかかったそうだ。それから婚約までに約一年。それでも結婚を決めるには早すぎるかもしれないと、悩んでいたらしい。
「でもエリアがマヒロさんと出会ってから、たった一ヶ月で番になって帰ってきて、判断力にも行動力にも感心してしまったよ。僕はまだまだだなって反省した」
そんなところは、尊敬しなくて良いですぞ……リアム様。
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