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本編
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「エリアと結婚したい侯爵令嬢や伯爵令嬢が何人かいてね。でもエリアはそれが納得いかない」
「そりゃそうだろう。あんなの、地位や名誉だけが目当ての結婚だと目に見えている。そんな結婚生活に何の意味がある? 私は自分の決めた人と番になる。それがいけないことだとは思っていない」
「確かにそうだけど……。お父様が頭を抱えていたよ」
リアム様がクスクスと笑いながら言う。
「え? もう俺の話をしたの?」
昨日の晩酌の時にでも話したのだろうが、俺があんな状態で報告する精神力の強さに脱帽してしまう。
しかしエリア様は至って普通だとしか捉えていない。
「そりゃ、昨日一番に話してある。マヒロの気持ちが落ち着くまで、会うのは待ってくれと頼んであるから、そこは心配しなくていい」
いやいや、そういう問題ではないような気が……。
「ふふ……。マヒロさんも焦るよね。番になった人がラミレス公爵家の後継者だったんだもんね」
「公爵家の後継者ーー!!??」
「ほう? 公爵と言われれば、さすがのマヒロでも理解できるかい?」
エリア様から聞かれて、そう言われてみると、公爵だの何だの言われてもよくは分からないことを思い出した。
「いや……ハッキリとは分からないですけれども、とっても偉い人だって想像はつくです」
「ハハッ! そうか。まあ、その程度分かっていれば良い」
エリア様が豪快に笑った。
「俺はマヒロの身分を気にしない所も気に入っているのだ。誰もがこの地位を狙って近寄ってくる。それは『私だから』近寄るのではない。『公爵家だから』私のところへ来るのだ。そんな人に興味など湧くものか」
エリア様は、その確約された将来故、人間の汚い部分を沢山見て来たのだろう。
「でも、その……エリア様のお父様は、俺に対して怒っていないのですかな?」
「それは問題ない」
「何故そう言い切れますか?」
「エリアの頑固は子供の頃から変わらないんだ。番を連れてきたと言われて、確かに全員驚いたけど、エリアらしいと思えば納得がいく」
そんなラフな考え方でいいのだろうか……。
しかも、こんなどこの馬の骨かも分からないΩがいきなり番になって、のこのことやって来たというのに……。挨拶もせずに一晩中エリア様の部屋に篭って過ごしてしまった。
その上、この状況……。きっと今日はリアム様やアンジュさんにも時間を作って来てもらったんだろう。
そう考えると、何も知らなかったとは言え、俺自身もカナリ迷惑をかけているように感じられる。
「マヒロ、私はマヒロと出会えた奇跡を大切にしたいのだ。あんな欲剥き出しの令嬢たちなど、顔も見たくない。お父様も何と言って断ろうかと悩んでいるのだ」
「だから、俺と番になるのを急いでいたましたのですか?」
「それもある。特に会いたくない侯爵令嬢がいてね」
エリア様はリアム様に目配せを送ると、リアム様も困ったように微笑んだ。
「あの方は、僕も……いやですね……」
頬を人指で掻く。そんなにも嫌いな人がいるのか。しかも二人ともが嫌いなら、大体の人が嫌いなんじゃないのか?
二人の顔を順番に見ていると、エリア様が俺を突然抱きしめた。
「一番の理由は、マヒロを他の人に横取りされたくなかったからだ。一刻も早く自宅に連れて来たかった」
「でもエリアも誤解を招く行動をとったからね! マヒロさんにしっかり謝罪するんだよ?」
リアム様がズバリと言う。
散々振り回された気もするが、エリア様から耳元で「すまない」と言われてしまうと、まあ、いいか……と思ってしまう。
俺も、エリア様の頑固に順応になってしまった気がした。
「そりゃそうだろう。あんなの、地位や名誉だけが目当ての結婚だと目に見えている。そんな結婚生活に何の意味がある? 私は自分の決めた人と番になる。それがいけないことだとは思っていない」
「確かにそうだけど……。お父様が頭を抱えていたよ」
リアム様がクスクスと笑いながら言う。
「え? もう俺の話をしたの?」
昨日の晩酌の時にでも話したのだろうが、俺があんな状態で報告する精神力の強さに脱帽してしまう。
しかしエリア様は至って普通だとしか捉えていない。
「そりゃ、昨日一番に話してある。マヒロの気持ちが落ち着くまで、会うのは待ってくれと頼んであるから、そこは心配しなくていい」
いやいや、そういう問題ではないような気が……。
「ふふ……。マヒロさんも焦るよね。番になった人がラミレス公爵家の後継者だったんだもんね」
「公爵家の後継者ーー!!??」
「ほう? 公爵と言われれば、さすがのマヒロでも理解できるかい?」
エリア様から聞かれて、そう言われてみると、公爵だの何だの言われてもよくは分からないことを思い出した。
「いや……ハッキリとは分からないですけれども、とっても偉い人だって想像はつくです」
「ハハッ! そうか。まあ、その程度分かっていれば良い」
エリア様が豪快に笑った。
「俺はマヒロの身分を気にしない所も気に入っているのだ。誰もがこの地位を狙って近寄ってくる。それは『私だから』近寄るのではない。『公爵家だから』私のところへ来るのだ。そんな人に興味など湧くものか」
エリア様は、その確約された将来故、人間の汚い部分を沢山見て来たのだろう。
「でも、その……エリア様のお父様は、俺に対して怒っていないのですかな?」
「それは問題ない」
「何故そう言い切れますか?」
「エリアの頑固は子供の頃から変わらないんだ。番を連れてきたと言われて、確かに全員驚いたけど、エリアらしいと思えば納得がいく」
そんなラフな考え方でいいのだろうか……。
しかも、こんなどこの馬の骨かも分からないΩがいきなり番になって、のこのことやって来たというのに……。挨拶もせずに一晩中エリア様の部屋に篭って過ごしてしまった。
その上、この状況……。きっと今日はリアム様やアンジュさんにも時間を作って来てもらったんだろう。
そう考えると、何も知らなかったとは言え、俺自身もカナリ迷惑をかけているように感じられる。
「マヒロ、私はマヒロと出会えた奇跡を大切にしたいのだ。あんな欲剥き出しの令嬢たちなど、顔も見たくない。お父様も何と言って断ろうかと悩んでいるのだ」
「だから、俺と番になるのを急いでいたましたのですか?」
「それもある。特に会いたくない侯爵令嬢がいてね」
エリア様はリアム様に目配せを送ると、リアム様も困ったように微笑んだ。
「あの方は、僕も……いやですね……」
頬を人指で掻く。そんなにも嫌いな人がいるのか。しかも二人ともが嫌いなら、大体の人が嫌いなんじゃないのか?
二人の顔を順番に見ていると、エリア様が俺を突然抱きしめた。
「一番の理由は、マヒロを他の人に横取りされたくなかったからだ。一刻も早く自宅に連れて来たかった」
「でもエリアも誤解を招く行動をとったからね! マヒロさんにしっかり謝罪するんだよ?」
リアム様がズバリと言う。
散々振り回された気もするが、エリア様から耳元で「すまない」と言われてしまうと、まあ、いいか……と思ってしまう。
俺も、エリア様の頑固に順応になってしまった気がした。
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