【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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本編

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 驚いたのはその後だ。

 アンジュさんの隣には、もう一人、リアム様にソックリな男性が立っていたのだ。

 ソックリなんていうものじゃない。『全く同じ』と言っても過言ではない。

「本当は昨日、仕事の後でマヒロに紹介するはずだったのだが……。マヒロは昨日、ガーデンで彼を見たのだろうと思った。今日確認すると、確かに昨日二人はガーデンにいたそうだ」

 リアム様が、同じ容姿で軍服を着た男性の隣に移動した。

「だ……誰? なんで、アンジュさんまで一緒にいるの?」

「初めまして。アンジュと昨日お茶をしたと聞いているよ」

 その男性は柔らかく微笑んだ。リアム様と全く同じ顔なのに、雰囲気が違う。こっちの男の方が、随分と優しく朗らかなオーラを纏っている。

「そうですの。昨日、私からお誘いしましたのよ」

 アンジュさんもその男にニッコリと微笑んだ。

「アンジュは僕の婚約者なんだ」

 アンジュさんの肩を抱く。

「え、はい……あの、それで……あなたは誰なのですかい?」

 いくきなり婚約者だと紹介されても、そうですか、とも言えない。何も状況が理解できていない。

「彼は、私の双子の弟で……」

「双子っっ!?」

「そうだ。そして、彼が本物のリアム・・・・・・なのだ」

「本物の……リアム様?……」

「改めまして、リアム・ラミレスと申します。騎士団長を務めております」

 丁寧にお辞儀をしてくれた。

 リアム様が双子で、このソックリな人が弟で、本物のリアム様で……?

「じゃあ、俺が番になったのは……?」

「私、兄のエリアだ。パーティーには、リアムに扮装ふんそうして私が出向いていた」

「………………何故わざわざ扮装してまで……」

 パーティーに来たいなら、普通にくればいいじゃないか。

「そもそもは、僕が行かなきゃいけないんだけど、アンジュと婚約しているし……。 でも騎士団員との付き合いも蔑ろにはしたくなし……悩んでいたんだ。それを聞いたエリアが代わりに行くって言ってくれてね」

 申し訳なさそうに、本物のリアム様が説明した。

「別にそれは構わない。私もいい息抜きになっていた」

 まあ、確かに良い息抜きになっていただろうね。なんて、パーティーの時を思い出した。


「アンジュとの婚約を、まだおおやけにしていないんだ。今はいつ発表するかを話し合ってるところでね」

「だから、昨日も私からは何も言えませんでした。それがマヒロさんを誤解させることになってしまい、申し訳ありません」

 アンジュさんが頭を下げた。

「や、アンジュさん! 謝らないでください!! 俺が、何も知らなかったばっかりに!」

「マヒロは悪くない。まだこの国に来て日も浅い。何も知らなくて当然なのだ。私の説明だけよりも、こうして直接会った方が分かりやすいだろうと思って、昨日席を設けていたのだが、話を混乱させてしまった」

 エリア様も謝罪する。

 俺はこの状況にどう向き合えば良いのか分からない。

「マヒロさん、どうかエリアを責めないでください。僕を想ってしてくれていたことなのです。僕たちが入れ替わっていたのはこの三人以外には知りません」

「あ、はい……」

 確かにここまで似ていると、誰も入れ替わっているなんて気づかないだろう。声まで似ている。少しの間喋れば違和感は感じるものの、確信的に違うとまではバレないはずだ。

 整理して考えると、昨日ガーデンで見たのは本物のリアム様で、リアム様はアンジュさんと婚約をしていて、それをまだ周りには隠しているからパーティーにはエリア様が行っていた。

 そして俺を見つけて番になった……。

「マヒロ、誤解は解けたかな?」

「まあ……一応は……」

「すまない。ここまで隠していたのは悪かったと思っている。それでも……身分を隠してでも君をここに迎え入れたかったのだ」

 ……もう、ここまでになってくると、エリア様らしい。なんて思えてくるから不思議だ。

 それに、本物のリアム様にまでこんな風に言われてしまえば、許さないなんて言えない。

「まさかエリアが本当に番を見つけてくるとは、驚いたけどね」

 リアム様が失笑している。

「私も急いでいたのだ。マヒロを逃せば、あの侯爵令嬢たちと会わねばいけなくなる」

「……侯爵令嬢?」






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