【完結】利害が一致したクラスメイトと契約番になりましたが、好きなアルファが忘れられません。

亜沙美多郎

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 海星の息遣いが荒くなっていく。普段の穏やかな表情は消え、伊央を見つめる潤んだ眸は高校生とは思えないほど大人びている。
 初めて見る海星の顔に、伊央は恍惚とした眼差しを送った。
 体温が上昇していく。海星がアルファ性を抑えるのをやめた途端、伊央のヒートは加速していく。
 今まではきっと強い抑制剤を飲んで、伊央がヒートを起こさないよう気遣ってくれていたのだろう。今まで感じたことのないアルファ性にオメガの本能が抗えるはずもなく、心拍数は上がる一方で、孔からはオメガの液が急速に分泌されていく。
 海星のベッドのシーツは瞬く間にしとどに濡れた。
 
 伊央の唇を吸っていた海星は、「口を開けて」と言わんばかりに分厚い舌で伊央の唇を舐めとる。どう応えていいか分からないでいると、「口、開けられる?」と優しく囁いてくれた。頷いて、僅かに開いた隙間から、海星の舌が滑り込んできた。
「ふっ、ぅん……」
 口腔に這入った舌が伊央の小さな口を占領すると、上手く息継ぎが出来ない伊央は苦しさに悶える。

「ごめん。俺、夢中になっちゃって」
「んん、あの……こういうの、初めてで……やり方が分からないんだ」
 叶翔との時は、伊央はヒートを起こしてすぐに意識を失ってしまった。オメガの本能に支配され、気がついた時には保健室のベッドの上だった。最後まで抱かれたと言う事後報告だけは受けたが、こうして自らの意識がはっきりとある時にキスをするのは初めてなのだ。

 海星は「怖がらせたよな」と反省していたが、怖いわけではなかった。
 それよりも、自分が未熟なばかりに、キスでさえ海星に満足させられないのが情けないと思っていた。それを海星に伝えると、一言「かわいい」と呟き、伊央を抱きしめた。

 下腹部には、すでに昂った海星の中心が当たっている。その存在感に伊央はぞくりと肩が戦慄く。海星は伊央の劣情を煽るように、雄のそれを押し付けた。
「時間はあるから、なるべくゆっくりする。もし、俺が暴走しそうになったら遠慮なく止めて」
「う、うん……」

 海星は何も言わないが、きっとこういう経験は過去にもあったのだろうと伊央は思った。それをショックだとも思わない。中学生の頃からモテただろうなとは前から感じていたし、そういう相手がいてもおかしくない。
 むしろそんな海星が、自分のような地味なオメガに反応してくれているのが嬉しいのだ。

 今度はゆっくりと舌を挿れる。くちゅりと鳴る水音がやけに鮮明に聞こえ、海星の舌が口腔で蠢くのを感じていた。
 海星の手が伊央の頬を撫で、耳朶を弄り、首筋を這う。
「あっ」と、甘い声が漏れると、下腹部に当たっている海星の中心がピクリと反応する。

 キスを続けていた海星の顔が離れると、伊央の着ていたシャツのボタンを外し、前をはだけさせる。そこから白肌が現れ、綺麗なピンク色の乳首が現れた。
 恥じらう伊央に、海星はまた「かわいい」と言い、両手で愛撫する。胸の小さな蕾に海星の指が擦れるたび、体が勝手に反応してしまう。

 がっつかれても困るが、こんなにも丁寧にされても、全てを見られている気分になって羞恥心が掻き乱される。思わず顔を背けると、海星は鎖骨を啄み、上肢にキスを落としていく。
 そして胸の突起にチュッと音を立てて口付けた。

「ひゃっ、ぁん、これ……恥ずかしい」
 自分じゃないような声が出るのも恥ずかしいし、何をされても感じてしまうのも、なんだか淫乱にでもなったように思ってしまう。海星には前の発情期に自慰を手伝ってもらい、十分恥ずかしい姿を晒している。それでも、こんなにまじまじと身体と向き合うのは、もっと自我を失ってからにしてほしい。

 見られていると思っただけで、大きな暖かい手で撫でられただけで、絶頂に達してしまいそうなほどの快感だった。

 海星はそんな伊央の性感帯を熟知しているかのように、腋や臍、胸を責めてくる。手で、舌で、鼻先で。アルファのフェロモンで包み込み、燻られているオメガの本能を確実に着火させるように、ゆっくりと、ゆっくりと煽っていくのだった。
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