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第四章
44、可愛らしい人
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「待ってください、今……今は……んぁぁああ」
同時に絶頂に達し、抱きしめてくれるものだと思い込んでいたが、そうはならなかった。
吐精をしたばかりのエリペールの男根は少しも萎えておらず、僕の中でその存在を示す。
「まだ、足りないだろう? もっと私を欲しがりたまえ」
孔の奥で、オメガの液とエリペールの白濁が撹拌され、注挿を繰り返す度にグチュグチュリと掻き混ぜられる。
結合部は泡立ち、混ざり合った液が垂れ、さっき潮吹きで濡らしたばかりのシーツへと流れていく。
「中で痙攣を起こしている。キツく締め付けて、離したくないと言っているようだ」
「ん、ぁ……はぁ、ん……離れたくないです。まだヒートが治りません。エリペール様を求めて熱を保っているのです」
白濁は絶えず流れ出しているのに、神経が麻痺しているのか自覚はなかった。
触れられてもない屹立が、突かれるリズムで揺れている。
エリペールの匂いが身体中を埋め尽くしていく。
自分以外の匂いをつけるなと言う意味が、今になって分かった気がした。
バルテルシー街から帰ってきた時は、パトリスの匂いや、街のいろんな匂いが付いていた。
(パトリスがベータだとはブリューノから聞いて知っていた———あまりの嫉妬に見かねて、ブリューノから『パトリスはベータだ』と教えたが、エリペールの嫉妬にバース性は関係なかった———そもそもエリペールは、学生時代に僕が初めてパトリスの研究室を訪れた日の衝撃を忘れられないでいる。一緒に研究室を訪れた時の匂いを覚えていて、どうやら帰宅した僕からその匂いを感じ取ったようだ)
エリペールの気にしすぎだと思っていたが、こうして体内から全身にアルファの匂いが染み渡ってくると、この体には自分とエリペールしか存在していないと実感できる。
きっと彼はこのことを言いたかったのだ。
組み敷いて上から見下ろすエリペールに腕を伸ばす。
「キス……キス、したい……」
自分から求めても良いのだろうか。
それならば、今、キスがしたい。抱きしめて欲しい。頭を撫でて欲しい。
潤んだ眸で見詰め、小刻みに息を吐く。
エリペールは僕を抱き上げ、繋がったまま胡座をかくと同時に唇を奪った。
「舌を出して」
艶っぽい声で囁かれ、ゾクリと肩を戦慄かせた。
チロリと小さな舌を出す。エリペールは掬うように絡ませ、そのまま口腔へと侵入させた。
蹂躙され、何処にも力が入らないが、エリペールがしっかりと抱きしめてくれているから安心して体を委ねられた。
口中で蠢く舌が激しく絡み合う。
肌が密着し、頬は紅潮する。
「んっ、ん……ふぅ……んん……」
息苦しいほど、下腹にきゅっと力が入る。
男根を咥えている肉洞が締まると、エリペールもくっと眉根に皺を寄せた。
上から跨っていて、少しでも腰の力を抜けば自分の体重だけで最奥のもっと奥まで這入ってしまう。
そうならないために必死に腰を浮かせているのに、エリペールが両側からぐっと押し付け熱塊を捩じ込む。
「んんんん~~!! はっ、ぁああ!! だめ……そこは……っくぅ、ん……」
「マリユス、キスに集中したまえ」
「でも、奥が……んぁぁっっ」
ビクビクと痙攣して力むが、吐精は伴わない。なのに感度は更に鋭敏になり、絶えず絶頂を味わい続ける。
「はっ、んん……また、くる……ふぅぅ、んん」
「何度でも達してくれ、マリユス」
蠢動を繰り返すエリペールの頭にしがみつくと、エリペールは鎖骨の辺りにじゅうっと吸い付いて鬱血の痕を付けた。
「や、だめ……もう、ぁっ、あっんんん」
下から力強く突き上げられ、二人同時に白濁を噴出させた。
ぐったりとエリペールに凭れると、優しく丁寧にベッドへ寝かせてくれた。
少しの間、繋がったままキスを続ける。
お互いを食べ合うような啄むキスは、くすぐったくて気持ちいい。
どちらからともなく笑いが溢れ、もう一度深く口付けた。
しばらくの休憩を挟み、エリペールに抱えられて湯浴みへと向かう。
ゆったりと温まりながら、ようやく今日一日の話ができた。
エリペールは時折鼻でくすぐって話を流れを折る。
「エリペール様、聞いていますか?」
「あぁ、聞いている。続けてくれ」
しかし再び話し始めると今度は頬にキスを落としていく。
むぅっと顰めっ面を向けると悪戯っ子のような笑みを浮かべるのだった。
公爵家のアルファに、可愛らしいなどと思ってもいいのだろうか。
何にせよ、この人が限りなく愛おしい人なのには違いないのだ。
湯浴みから出ると、今度は抱きしめ合って眠りについた。
同時に絶頂に達し、抱きしめてくれるものだと思い込んでいたが、そうはならなかった。
吐精をしたばかりのエリペールの男根は少しも萎えておらず、僕の中でその存在を示す。
「まだ、足りないだろう? もっと私を欲しがりたまえ」
孔の奥で、オメガの液とエリペールの白濁が撹拌され、注挿を繰り返す度にグチュグチュリと掻き混ぜられる。
結合部は泡立ち、混ざり合った液が垂れ、さっき潮吹きで濡らしたばかりのシーツへと流れていく。
「中で痙攣を起こしている。キツく締め付けて、離したくないと言っているようだ」
「ん、ぁ……はぁ、ん……離れたくないです。まだヒートが治りません。エリペール様を求めて熱を保っているのです」
白濁は絶えず流れ出しているのに、神経が麻痺しているのか自覚はなかった。
触れられてもない屹立が、突かれるリズムで揺れている。
エリペールの匂いが身体中を埋め尽くしていく。
自分以外の匂いをつけるなと言う意味が、今になって分かった気がした。
バルテルシー街から帰ってきた時は、パトリスの匂いや、街のいろんな匂いが付いていた。
(パトリスがベータだとはブリューノから聞いて知っていた———あまりの嫉妬に見かねて、ブリューノから『パトリスはベータだ』と教えたが、エリペールの嫉妬にバース性は関係なかった———そもそもエリペールは、学生時代に僕が初めてパトリスの研究室を訪れた日の衝撃を忘れられないでいる。一緒に研究室を訪れた時の匂いを覚えていて、どうやら帰宅した僕からその匂いを感じ取ったようだ)
エリペールの気にしすぎだと思っていたが、こうして体内から全身にアルファの匂いが染み渡ってくると、この体には自分とエリペールしか存在していないと実感できる。
きっと彼はこのことを言いたかったのだ。
組み敷いて上から見下ろすエリペールに腕を伸ばす。
「キス……キス、したい……」
自分から求めても良いのだろうか。
それならば、今、キスがしたい。抱きしめて欲しい。頭を撫でて欲しい。
潤んだ眸で見詰め、小刻みに息を吐く。
エリペールは僕を抱き上げ、繋がったまま胡座をかくと同時に唇を奪った。
「舌を出して」
艶っぽい声で囁かれ、ゾクリと肩を戦慄かせた。
チロリと小さな舌を出す。エリペールは掬うように絡ませ、そのまま口腔へと侵入させた。
蹂躙され、何処にも力が入らないが、エリペールがしっかりと抱きしめてくれているから安心して体を委ねられた。
口中で蠢く舌が激しく絡み合う。
肌が密着し、頬は紅潮する。
「んっ、ん……ふぅ……んん……」
息苦しいほど、下腹にきゅっと力が入る。
男根を咥えている肉洞が締まると、エリペールもくっと眉根に皺を寄せた。
上から跨っていて、少しでも腰の力を抜けば自分の体重だけで最奥のもっと奥まで這入ってしまう。
そうならないために必死に腰を浮かせているのに、エリペールが両側からぐっと押し付け熱塊を捩じ込む。
「んんんん~~!! はっ、ぁああ!! だめ……そこは……っくぅ、ん……」
「マリユス、キスに集中したまえ」
「でも、奥が……んぁぁっっ」
ビクビクと痙攣して力むが、吐精は伴わない。なのに感度は更に鋭敏になり、絶えず絶頂を味わい続ける。
「はっ、んん……また、くる……ふぅぅ、んん」
「何度でも達してくれ、マリユス」
蠢動を繰り返すエリペールの頭にしがみつくと、エリペールは鎖骨の辺りにじゅうっと吸い付いて鬱血の痕を付けた。
「や、だめ……もう、ぁっ、あっんんん」
下から力強く突き上げられ、二人同時に白濁を噴出させた。
ぐったりとエリペールに凭れると、優しく丁寧にベッドへ寝かせてくれた。
少しの間、繋がったままキスを続ける。
お互いを食べ合うような啄むキスは、くすぐったくて気持ちいい。
どちらからともなく笑いが溢れ、もう一度深く口付けた。
しばらくの休憩を挟み、エリペールに抱えられて湯浴みへと向かう。
ゆったりと温まりながら、ようやく今日一日の話ができた。
エリペールは時折鼻でくすぐって話を流れを折る。
「エリペール様、聞いていますか?」
「あぁ、聞いている。続けてくれ」
しかし再び話し始めると今度は頬にキスを落としていく。
むぅっと顰めっ面を向けると悪戯っ子のような笑みを浮かべるのだった。
公爵家のアルファに、可愛らしいなどと思ってもいいのだろうか。
何にせよ、この人が限りなく愛おしい人なのには違いないのだ。
湯浴みから出ると、今度は抱きしめ合って眠りについた。
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