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sideルネ
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「殿下、今一番して欲しいことを言ってください」
「私が質問しているのに、何故貴様が質問で返してくるのだ」
先に自分の質問に答えろと言うと、ディミトリがルネのして欲しいことをするのが、自分の答えだと言う。
「訳が分からない。何故私が今して欲しいことを言うと、それが答えになるのだ」
「セックスは、仕事でするもんじゃありません。その行為をすれば気持ちよくはなるでしょう。しかし、互いに想い合わなければ体を重ねる意味はない。殿下は仕事だから抱けと仰いましたが、自分はそう思ってはいません。今、殿下を抱いているのは、もっと貴方を知りたいからです。だから殿下が自分に求めるものを教えてください。本当のセックスをしましょう」
「っ!! ———ディミトリ……」
冷えた心が溶けていくように温かい。父上もまた、なんて人を連れてきてしまったのだ。
これまで常に気丈に振る舞って生きてきた。自分の前から消えていくパートナーたちに、いちいち恋情を抱いてはいけないと自分に言い聞かせてきた。モアメドとロジェと出会って、ようやく少しは心を許せるようになったが、それでもどこかで一線を引いている自分がいる。
自分の闇で彼らを傷付けるのが怖いからだ。それと同じ感情をディミトリにも抱き始めていた。なのに、ディミトリはその一線を容易く乗り越えてルネの心に入り込んだ。
「本当の……セックス……」
「そうです。それが愛ですよ。きっと今まで満たされなかったのは、殿下がパートナーに心を開いていなかったからではありませんか? 不敬な事を言っているのは十分承知していますが、モアメドとロジェの話を聞いて、ずっと考えていました。それで……殿下が満たされない理由を考えると、そうなのかもしれないと思いました」
「不敬など思わなくて良い。確かに、一理あるだろう。私は、何人ものパートナーに逃げられたり生き絶えたりさせてしまった。だから本気で好きになるのをやめた。いつかは終わりが来るのであれば、自分の傷は最小限にしたい」
「殿下、好きになるのをやめることなんて出来ません。どうしても自分の気持ちが抑えられなくなるのです。恋愛とは、そういうものです」
ディミトリにも、そういう相手がいたのかもしれない。抱かれながら、その相手を想像しようとしただけで胸がちくりと痛む。いい大人なんだから、恋人の一人や二人いてもおかしくない。いや、この容姿で騎士だったのだから、経験豊富であっても納得がいく。それでも……それでもルネの前では過去の恋愛事情は隠して欲しい。
「しかし……ディミトリに初めて抱かれた後で私は熟睡できた。それはどう説明する」
「自分は……最初から殿下を綺麗だと思っていましたから……」
「どういう、意味だ……」
ディミトリの言葉に、高鳴る胸を抑えられない。このタイミングで「愛している」など言われてしまえば、嘘だろうと信じてしまう。けれどもディミトリはその言葉は使わなかった。
「仕事じゃなくても、殿下は十分愛されています。それを信じても良いのではないかと思います。自分も……」
「ディミトリも?」
「貴方の一部でありたい」
「———放て」
ルネの言葉に、ディミトリは一気に激しく腰を揺らし始めた。
「もっと奥に……一番奥に放ってくれ」
ディミトリの腰に両脚を絡め、身体が離れないように抱え込む。内壁を擦りながら蠕動するディミトリの男根に、全身が痙攣を起こすほど感じた。
律動が苛烈を極め、いよいよ絶頂の時を迎える。ルネはディミトリに「一緒に達したい」と哀願する。
「自分もそうしたいです」とディミトリが腰を振る。
「あ。ぁあ、ふぅ……んん……欲しい、ディミトリの体液を全て注いでくれ」
「全部受け取ってください。殿下……」
「んぁぁあああっ~~~!!!」
ディミトリが強く腰を打ちつけると同時に、ルネの中に白濁を迸らせる。昼間と同じくらいたっぷりと注がれ、腹の奥が温かくなるのを感じる。ディミトリは何度か腰を痙攣させ、全ての白濁をルネの中に飛沫した。
二人の荒い呼吸が交わる距離にいる。自然と唇を求めてしまう。ディミトリは吐精が終わっても繋がったままいてくれた。こうするとルネが落ち着くと、もう学習している。
「貴様は不思議なやつだ」
「光栄です」
「褒めているのかは私にも判断できないぞ」
「自分にとっては褒め言葉ですよ。そういうことにしておいて下さい」
「ふふ……」
「笑うと、少し幼くなりますね」
「う、五月蝿い。今のは褒めているとは捉えられない」
「申し訳ありません。殿下を抱いていると、可愛らしいと思ってしまうのです。ふとした表情や仕草が、自分の劣情を唆って夢中にさせていると自覚して下さい」
「そ……そんなこと、言われても……。もう寝る。寝室へ連れて行け」
「かしこまりました」
ルネは頬を赤らめ、ディミトリに抱きつく。深夜から朝方にかけて、ずっと抱き合っていた。薄明の空が朝の訪れを知らせている。ディミトリはルネを抱き上げると、寝室へと戻り、そのままルネを抱きしめて眠った。
「私が質問しているのに、何故貴様が質問で返してくるのだ」
先に自分の質問に答えろと言うと、ディミトリがルネのして欲しいことをするのが、自分の答えだと言う。
「訳が分からない。何故私が今して欲しいことを言うと、それが答えになるのだ」
「セックスは、仕事でするもんじゃありません。その行為をすれば気持ちよくはなるでしょう。しかし、互いに想い合わなければ体を重ねる意味はない。殿下は仕事だから抱けと仰いましたが、自分はそう思ってはいません。今、殿下を抱いているのは、もっと貴方を知りたいからです。だから殿下が自分に求めるものを教えてください。本当のセックスをしましょう」
「っ!! ———ディミトリ……」
冷えた心が溶けていくように温かい。父上もまた、なんて人を連れてきてしまったのだ。
これまで常に気丈に振る舞って生きてきた。自分の前から消えていくパートナーたちに、いちいち恋情を抱いてはいけないと自分に言い聞かせてきた。モアメドとロジェと出会って、ようやく少しは心を許せるようになったが、それでもどこかで一線を引いている自分がいる。
自分の闇で彼らを傷付けるのが怖いからだ。それと同じ感情をディミトリにも抱き始めていた。なのに、ディミトリはその一線を容易く乗り越えてルネの心に入り込んだ。
「本当の……セックス……」
「そうです。それが愛ですよ。きっと今まで満たされなかったのは、殿下がパートナーに心を開いていなかったからではありませんか? 不敬な事を言っているのは十分承知していますが、モアメドとロジェの話を聞いて、ずっと考えていました。それで……殿下が満たされない理由を考えると、そうなのかもしれないと思いました」
「不敬など思わなくて良い。確かに、一理あるだろう。私は、何人ものパートナーに逃げられたり生き絶えたりさせてしまった。だから本気で好きになるのをやめた。いつかは終わりが来るのであれば、自分の傷は最小限にしたい」
「殿下、好きになるのをやめることなんて出来ません。どうしても自分の気持ちが抑えられなくなるのです。恋愛とは、そういうものです」
ディミトリにも、そういう相手がいたのかもしれない。抱かれながら、その相手を想像しようとしただけで胸がちくりと痛む。いい大人なんだから、恋人の一人や二人いてもおかしくない。いや、この容姿で騎士だったのだから、経験豊富であっても納得がいく。それでも……それでもルネの前では過去の恋愛事情は隠して欲しい。
「しかし……ディミトリに初めて抱かれた後で私は熟睡できた。それはどう説明する」
「自分は……最初から殿下を綺麗だと思っていましたから……」
「どういう、意味だ……」
ディミトリの言葉に、高鳴る胸を抑えられない。このタイミングで「愛している」など言われてしまえば、嘘だろうと信じてしまう。けれどもディミトリはその言葉は使わなかった。
「仕事じゃなくても、殿下は十分愛されています。それを信じても良いのではないかと思います。自分も……」
「ディミトリも?」
「貴方の一部でありたい」
「———放て」
ルネの言葉に、ディミトリは一気に激しく腰を揺らし始めた。
「もっと奥に……一番奥に放ってくれ」
ディミトリの腰に両脚を絡め、身体が離れないように抱え込む。内壁を擦りながら蠕動するディミトリの男根に、全身が痙攣を起こすほど感じた。
律動が苛烈を極め、いよいよ絶頂の時を迎える。ルネはディミトリに「一緒に達したい」と哀願する。
「自分もそうしたいです」とディミトリが腰を振る。
「あ。ぁあ、ふぅ……んん……欲しい、ディミトリの体液を全て注いでくれ」
「全部受け取ってください。殿下……」
「んぁぁあああっ~~~!!!」
ディミトリが強く腰を打ちつけると同時に、ルネの中に白濁を迸らせる。昼間と同じくらいたっぷりと注がれ、腹の奥が温かくなるのを感じる。ディミトリは何度か腰を痙攣させ、全ての白濁をルネの中に飛沫した。
二人の荒い呼吸が交わる距離にいる。自然と唇を求めてしまう。ディミトリは吐精が終わっても繋がったままいてくれた。こうするとルネが落ち着くと、もう学習している。
「貴様は不思議なやつだ」
「光栄です」
「褒めているのかは私にも判断できないぞ」
「自分にとっては褒め言葉ですよ。そういうことにしておいて下さい」
「ふふ……」
「笑うと、少し幼くなりますね」
「う、五月蝿い。今のは褒めているとは捉えられない」
「申し訳ありません。殿下を抱いていると、可愛らしいと思ってしまうのです。ふとした表情や仕草が、自分の劣情を唆って夢中にさせていると自覚して下さい」
「そ……そんなこと、言われても……。もう寝る。寝室へ連れて行け」
「かしこまりました」
ルネは頬を赤らめ、ディミトリに抱きつく。深夜から朝方にかけて、ずっと抱き合っていた。薄明の空が朝の訪れを知らせている。ディミトリはルネを抱き上げると、寝室へと戻り、そのままルネを抱きしめて眠った。
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