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25、それぞれの想い②
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アクリスは科学者として働きながら、吸血族のことも調べていたのだとジョバンニは話した。
「確かに、あんたたちの隠れ家よりも大学の研究室は設備も整っているし、資料にも困らないだろう。ルカが毒を盛られた頃、アクリスは大学の研究所に入り浸っているようだ」
「それも、吸血族の研究で?」
「正しくはルカの……だな。ルカの染色体が特殊だとは、ルカを産んだガットの事例から判明したらしい。そこから更に研究を進めていく……その矢先に、ルカの毒事件が起こった。アクリスは前から密かに計画していた殺し屋計画を、直ちに実行に移した。あんたを守るためにな。愛するガットはなくなってしまった。だからこそ、ルカには生きてて欲しいんだろうよ」
ルカには難しい話は分からない。
染色体? なんだそれは。それがルカにどんな繋がりが合うと言うのか。
「アクリスの研究で僕の染色体? の、何かが証明されれば、僕はどうなってしまうの?」
「それはアクリスに聞かないと分からない。俺だって特に生物学に詳しいわけじゃない。次にアクリスに会う時、一緒に来るか?」
「アクリスに会えるの!?」
「勿論だ。俺から話をつけてやる」
ジョバンニとアクリスは、会っていない間も、お互いの近況報告や情報交換を含めて連絡を取り合っているのだそうだ。
ルカはアクリスに会えると言われ、歓喜した。
実は本当の父親だったと判明した。本当の息子として会いたい。しかし、戸惑う気持ちがないわけでもない。
折角アクリスが助けてくれたのに、外の世界を見るように、新しい出会いを沢山して欲しいと、ジョバンニに託してくれた。
それなのに、今のルカがどうだろうか。
一人で外も出歩けず、ずっと部屋で篭りきりだ。こんな事実を知ると、きっとアクリスはガッカリするだろう。
次に会える機会があるなら、成長した自分を見てほしい。
「どうした? 何を考えてる?」
「いや、何でもありません。アクリスには会わなくて大丈夫です」
「そうなのか? ルカがそう言うなら別に構わないが……」
どこか肩透かしを喰らったような顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。
雑誌だけ持っていてもいいか、とルカが尋ねると、勿論だと言ってくれた。
久しぶりにジョバンニと向き合ってご飯を食べた。話は弾んだり弾まなかったりする。
基本的にジョバンニから何かを質問され、ルカがそれに答える……という流れになる。
ネーロはジョバンニの足元から離れない。ジョバンニは食事の途中でもネーロを膝に乗せ、片手で背中を撫でながら食事を続ける。
ネーロときたら、ここぞとばかりにジョバンニを独り占めするつもりのようだ。猫はなんとも気楽で羨ましいと、ルカは思った。
自分もこんなふうに思いのままに行動できればいいのに。
そうすれば、もっとジョバンニとの距離も縮まる気がする。
(って、なんでジョバンニさんを意識してるんだろ)
捻くれた性格の自分に、愛想尽かさず優しく接してくれるジョバンニ。
本当はもっと素直に接したいと思っているのだ。こんなタイミングで気付いてしまった。
アクリスのことは好きだったが、それはジョバンニへの気持ちとは少し違っている。本当の父親だと言われ、妙に納得してしまった。アクリスへ感じる安心感は、父親だと言われればしっくりくる。
かといって、ジョバンニに対して感じ始めたこのモヤモヤした気持ちがどういうものなのか、ルカには分からなかった。
「確かに、あんたたちの隠れ家よりも大学の研究室は設備も整っているし、資料にも困らないだろう。ルカが毒を盛られた頃、アクリスは大学の研究所に入り浸っているようだ」
「それも、吸血族の研究で?」
「正しくはルカの……だな。ルカの染色体が特殊だとは、ルカを産んだガットの事例から判明したらしい。そこから更に研究を進めていく……その矢先に、ルカの毒事件が起こった。アクリスは前から密かに計画していた殺し屋計画を、直ちに実行に移した。あんたを守るためにな。愛するガットはなくなってしまった。だからこそ、ルカには生きてて欲しいんだろうよ」
ルカには難しい話は分からない。
染色体? なんだそれは。それがルカにどんな繋がりが合うと言うのか。
「アクリスの研究で僕の染色体? の、何かが証明されれば、僕はどうなってしまうの?」
「それはアクリスに聞かないと分からない。俺だって特に生物学に詳しいわけじゃない。次にアクリスに会う時、一緒に来るか?」
「アクリスに会えるの!?」
「勿論だ。俺から話をつけてやる」
ジョバンニとアクリスは、会っていない間も、お互いの近況報告や情報交換を含めて連絡を取り合っているのだそうだ。
ルカはアクリスに会えると言われ、歓喜した。
実は本当の父親だったと判明した。本当の息子として会いたい。しかし、戸惑う気持ちがないわけでもない。
折角アクリスが助けてくれたのに、外の世界を見るように、新しい出会いを沢山して欲しいと、ジョバンニに託してくれた。
それなのに、今のルカがどうだろうか。
一人で外も出歩けず、ずっと部屋で篭りきりだ。こんな事実を知ると、きっとアクリスはガッカリするだろう。
次に会える機会があるなら、成長した自分を見てほしい。
「どうした? 何を考えてる?」
「いや、何でもありません。アクリスには会わなくて大丈夫です」
「そうなのか? ルカがそう言うなら別に構わないが……」
どこか肩透かしを喰らったような顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。
雑誌だけ持っていてもいいか、とルカが尋ねると、勿論だと言ってくれた。
久しぶりにジョバンニと向き合ってご飯を食べた。話は弾んだり弾まなかったりする。
基本的にジョバンニから何かを質問され、ルカがそれに答える……という流れになる。
ネーロはジョバンニの足元から離れない。ジョバンニは食事の途中でもネーロを膝に乗せ、片手で背中を撫でながら食事を続ける。
ネーロときたら、ここぞとばかりにジョバンニを独り占めするつもりのようだ。猫はなんとも気楽で羨ましいと、ルカは思った。
自分もこんなふうに思いのままに行動できればいいのに。
そうすれば、もっとジョバンニとの距離も縮まる気がする。
(って、なんでジョバンニさんを意識してるんだろ)
捻くれた性格の自分に、愛想尽かさず優しく接してくれるジョバンニ。
本当はもっと素直に接したいと思っているのだ。こんなタイミングで気付いてしまった。
アクリスのことは好きだったが、それはジョバンニへの気持ちとは少し違っている。本当の父親だと言われ、妙に納得してしまった。アクリスへ感じる安心感は、父親だと言われればしっくりくる。
かといって、ジョバンニに対して感じ始めたこのモヤモヤした気持ちがどういうものなのか、ルカには分からなかった。
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