【完結】子孫を残せない無能の吸血鬼は助けてくれた殺し屋に恋をする

亜沙美多郎

文字の大きさ
上 下
8 / 47

8、裏切り②

しおりを挟む
 特に体調を崩すこともなく、午後から再び部屋を訪れたモルセーゴに抱かれた。
 モルセーゴは元の無口に戻っていた。何も喋らないまま、三度果てるまでガットNo.一〇三を抱き潰した。

 食事の際に感じた嬉しい感情はなかったことにした。
 そのくらいモルセーゴとの性行は相性が悪い。我慢をし過ぎて、背後から突かれながら吐き気を覚える。
 しかしそんなことはモルセーゴには関係のない話だ。気づかないフリなどではなく、本当に興味もないと言わんばかりに腰を突き上げる。
 やっと果てたと思いきや、また腰が揺れ始める。

 もう、懲り懲りだ。と毎回思っているが、その気持ちとは裏腹に、モルセーゴの担当の日が多くなっていた。それは勘違いなんかではなく、本当のことだった。
 こんなにもモルセーゴの日が続くわけがない。
 数ヶ月前までは、三人がほぼ均等に回っていた。それが今ではクロウかモルセーゴのどちらかの日が続き、アクリスは極たまにしか来ない。

 せめて食事の時間くらいはアクリスとの時間を過ごしたい。
 しかし、こんなにもアクリスが来ないと言うことは、もしかすると嫌われてしまったのかも知れないとも考えた。

 何か口走ってしまったのだろうか。それとも、アクリスにはしてはいけないことをしてしまったのか。それを考えたところで時間の無駄なのも分かっている。
 次にアクリスが来てくれた時には、思い切って来なかった理由を尋ねてみようと思った。
 他の二人から嫌われていても良いが、アクリスにだけは嫌われたくない。
 もし自分に悪い部分があるのなら、ちゃんと言って欲しいと言おう。

 しかしその次の日も、次の日も、部屋に来るのはモルセーゴかクロウだった。
 食欲は出ないままだが、残せば暴力を振るうクロウ。威圧的に完食するまで監視し、食事を下げないモルセーゴ。
 ガットどっちもNo.一〇三にとっては心苦しい時間であった。

 モルセーゴは食事を終える度に、しばらくの間No.一〇三を観察した。
 それを不思議には思うものの何故ジッと見ているのか、その理由を聞くことは許されない。

 日に日に、クロウとモルセーゴの苛立ちが増しているのだけは感じられる。
 そのモルセーゴがついに怒りを爆発させたのは、アクリスが殆ど来なくなってから一ヶ月ほど経った頃だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

エデンの住処

社菘
BL
親の再婚で義兄弟になった弟と、ある日二人で過ちを犯した。 それ以来逃げるように実家を出た椿由利は実家や弟との接触を避けて8年が経ち、モデルとして自立した道を進んでいた。 ある雑誌の専属モデルに抜擢された由利は今をときめく若手の売れっ子カメラマン・YURIと出会い、最悪な過去が蘇る。 『彼』と出会ったことで由利の楽園は脅かされ、地獄へと変わると思ったのだが……。 「兄さん、僕のオメガになって」 由利とYURI、義兄と義弟。 重すぎる義弟の愛に振り回される由利の運命の行く末は―― 執着系義弟α×不憫系義兄α 義弟の愛は、楽園にも似た俺の住処になるのだろうか? ◎表紙は装丁cafe様より︎︎𓂃⟡.·

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...