66 / 75
本編
64
しおりを挟む
輝惺様がアルファの性を解放した瞬間、心臓が大きく跳ねた。
頭に中が輝惺様で支配される。
輝惺様以外、考えられなくなる。
身体が熱い。
血液が、流れる速度を早めたような感覚に陥った。
(これが、オメガの血……)
初めて味わう感覚に、正気をなくしてしまいそうで怖い。
呼吸がどんどん荒くなっていく。
苦しい。こんなに苦しいのは初めてだ。
ただこの苦しさは、呼吸が荒いからだけではない。体の奥から溢れ出る欲求が爆破しそうな、自分の奥深いところで湧き上がるマグマを感じているから……。
輝惺様が僕を見つめている。
いつもは柔らかく優しい視線を送ってくれるのに、今は何か違う。
徐々に近づいてくる視線から目が逸らせない。
輝惺様の細くて長い指が頬にソッと触れた。
「如月……」
耳元で呼ばれたかと思うと、目尻にフワリと体温を感じた。
あまりの緊張に、口付けられたと気付くまで時間がかかった。
「……甘い香り……」
香りを確かめるように、頸に鼻を擦り付けた。
ビクンっと体が反応する。甘い香りは更に輝惺様のアルファの性を刺激する。
僕は、発情していた。
輝惺様が僕の存在を確かめるように、抱きしめる。
「如月……やっと出会えた。私の『運命の番』!!」
抱きしめる腕が震えている。
輝惺様が歓喜にわなないている。
(僕、輝惺様の番だったの?)
まさか信じられない。なんて普段なら思うけど、今回はそうはならない。
自分の熱が上がっていくのを無視などできるわけがない。
今、目の前にいるこの人が、欲しくて欲しくてたまらない。
輝惺様が更に腕に力を込めた。僕のフェロモンがまた強くなったようだ。
「甘い……。こんなにも甘いのか……」
少し体を離すと、潤んだ瞳でお互いを見つめ合う。
「輝惺様……。僕……僕……」
話したいことが上手くまとまらない。
『好きです』。その一言すら、意識が朦朧として伝えられない。
ただ『欲しい』という感情だけが後から後からとめどなく溢れてくるのだ。
「如月、私と番ってくれるかい?」
「はい、喜んで……」
「もう、自分を抑えられそうにないのだ。もし、嫌だと感じ時は遠慮なく言ってくれ」
嫌なんてことがあるものか。
全てを受け入れたい。
輝惺様の全てが欲しい。
ソッと触れるだけの口付けを交わす。
それだけでも、嬉しさで涙が溢れてきた。
輝惺様の唇が僕に触れる度に、痺れるほどの悦びが全身を駆け巡る。
頬を支えている白くて温かい肌が、ゆっくりと首筋を滑り、肩へと降りた。
着物の襟から、輝惺様の手が侵入する。
「大丈夫、力を抜いて」
片手で支えられながら、仰向けに寝かされた。
優しい口付けは、徐々に熱を帯びていく。
これまでの触れるだけではない、もっと深い口付けだ。
僕はもう既に正気を失っている。
本能のままに、輝惺様を受け入れた。
頭に中が輝惺様で支配される。
輝惺様以外、考えられなくなる。
身体が熱い。
血液が、流れる速度を早めたような感覚に陥った。
(これが、オメガの血……)
初めて味わう感覚に、正気をなくしてしまいそうで怖い。
呼吸がどんどん荒くなっていく。
苦しい。こんなに苦しいのは初めてだ。
ただこの苦しさは、呼吸が荒いからだけではない。体の奥から溢れ出る欲求が爆破しそうな、自分の奥深いところで湧き上がるマグマを感じているから……。
輝惺様が僕を見つめている。
いつもは柔らかく優しい視線を送ってくれるのに、今は何か違う。
徐々に近づいてくる視線から目が逸らせない。
輝惺様の細くて長い指が頬にソッと触れた。
「如月……」
耳元で呼ばれたかと思うと、目尻にフワリと体温を感じた。
あまりの緊張に、口付けられたと気付くまで時間がかかった。
「……甘い香り……」
香りを確かめるように、頸に鼻を擦り付けた。
ビクンっと体が反応する。甘い香りは更に輝惺様のアルファの性を刺激する。
僕は、発情していた。
輝惺様が僕の存在を確かめるように、抱きしめる。
「如月……やっと出会えた。私の『運命の番』!!」
抱きしめる腕が震えている。
輝惺様が歓喜にわなないている。
(僕、輝惺様の番だったの?)
まさか信じられない。なんて普段なら思うけど、今回はそうはならない。
自分の熱が上がっていくのを無視などできるわけがない。
今、目の前にいるこの人が、欲しくて欲しくてたまらない。
輝惺様が更に腕に力を込めた。僕のフェロモンがまた強くなったようだ。
「甘い……。こんなにも甘いのか……」
少し体を離すと、潤んだ瞳でお互いを見つめ合う。
「輝惺様……。僕……僕……」
話したいことが上手くまとまらない。
『好きです』。その一言すら、意識が朦朧として伝えられない。
ただ『欲しい』という感情だけが後から後からとめどなく溢れてくるのだ。
「如月、私と番ってくれるかい?」
「はい、喜んで……」
「もう、自分を抑えられそうにないのだ。もし、嫌だと感じ時は遠慮なく言ってくれ」
嫌なんてことがあるものか。
全てを受け入れたい。
輝惺様の全てが欲しい。
ソッと触れるだけの口付けを交わす。
それだけでも、嬉しさで涙が溢れてきた。
輝惺様の唇が僕に触れる度に、痺れるほどの悦びが全身を駆け巡る。
頬を支えている白くて温かい肌が、ゆっくりと首筋を滑り、肩へと降りた。
着物の襟から、輝惺様の手が侵入する。
「大丈夫、力を抜いて」
片手で支えられながら、仰向けに寝かされた。
優しい口付けは、徐々に熱を帯びていく。
これまでの触れるだけではない、もっと深い口付けだ。
僕はもう既に正気を失っている。
本能のままに、輝惺様を受け入れた。
2
お気に入りに追加
427
あなたにおすすめの小説
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】
きど
BL
愛されていないのに形だけの番になるのは、ごめんだ。
オメガの王族でもアルファと番えば王位継承を認めているエステート王国。
そこの第一王子でオメガのヴィルムには長年思い続けている相手がいる。それは幼馴染で王位継承権を得るための番候補でもあるアルファのアーシュレイ・フィリアス。
アーシュレイは、自分を王太子にするために、番になろうとしてると勘違いしているヴィルムは、アーシュレイを拒絶し続ける。しかし、発情期の度にアーシュレイに抱かれる幻想をみてしまい思いに蓋をし続けることが難しくなっていた。
そんな時に大国のアルファの王族から番になる打診が来て、アーシュレイを諦めるためにそれを受けようとしたら、とうとうアーシュレイが痺れを切らして…。
二人の想いは無事通じ合うのか。
現在、スピンオフ作品の
ヤンデレベータ×性悪アルファを連載中
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。

ベータですが、運命の番だと迫られています
モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。
運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。
執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか?
ベータがオメガになることはありません。
“運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり
※ムーンライトノベルズでも投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる