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番外編 シオンのエデンのその後……。
運命の番 (最後にこぼれ話を……)
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「……エデン、ここ触って?」
シオンに促され、自分の頸に手をやる。
「うっ……痛かったはずだよ。こんなにクッキリと……」
「イヤ?」
「嫌なわけあるものか!! ふふ……。幸せだ!!」
「エデン!! 俺も幸せだよ!!」
エデンの二十歳の誕生日に番になろうと約束していた。
十歳の時のバース性の検査で、エデンはオメガと診断された。
そしてその二年後、今度はシオンがアルファと診断された。
それまでは兄弟のような関係だった二人の関係性が変わり始めたのも、この頃からである。
元々仲の良かった二人が『恋愛』という意味で意識し始めるのに、そう時間はかからなかった。
それに、エデンは何となく自分はオメガで、シオンはアルファのような気がしていたのだ。
子供の頃からずっとシオンが守ってくれていたからかもしれない。
エデンは自分がそんなに積極的な性格ではないし、社交性もシオンの方が優れているのを冷静に分析していた。
それに、シオンを支えるのが、自分に合っていると。
だから兄とはいえ、自分は支える立場でいたいと願っていた。
オメガと診断された時も、落ち込むことはなかった。
身近にいる月亜やミッチェルを見て来たから。
いつだって二人はエデンの理想だった。
「エデン! もう一回やろう!!」
「シオン……そんなストレートに言われると、ムードも何もないじゃないか」
「だって、エデンが好きなの!! もっと繋がっていたい」
「大型犬みたいだね」
いつの間にか身長も体格もシオンに追い越されていた。
真っ黒な髪と瞳は今でも変わらない。
子供の頃は華奢な自分をコンプレックスだと言っていたが、成長期に入ってからの変貌ぶりは皆が驚いた。
今ではエデンの方が月亜のようなスリムなスタイルをしている。
「大型犬じゃないよ! 紋だって虎だし!!」
シオンは自分の紋に虎が出現したのを、とても喜んでいる。
ハワードのトーテムの紋の中でも、虎が大のお気に入りだったのだ。
その虎が今、自分の体に刻まれているのが誇らしいと毎日言っている。
「とてもカッコいいし、似合ってる」
「エデンの蝶も、本当に綺麗だ」
シオンの手が伸びてきた。
エデンの体には、蝶の群れが出現した。
下腹部から飛び立つように描かれている紋には、オーディン家の誰もがため息を溢すほど美しい。
シオンはエデンを包み込んで話し始めた。
「俺たちが兄弟じゃないって知った時、本当に驚いたんだ」
「シオンはまだ幼かったからね。僕もハッキリとは思い出せないけど、バース性の診断が出た時、お父様がこっそり教えてくれていたんだ」
「そうなの? じゃあ知らなかったのは俺だけ? そんなのズルい!!」
「シオンはきっとそれを知ってしまうと、責任感で俺を番にするって言い出しかねないって思ったから。シオンが自分の番う相手を自分の意思で決めるまでは、隠しておいてくださいって僕から頼んでいた」
シオンはそれを聞くなり、勢いよく立ち上がった。
「そんなの!! 俺は子供の頃からエデンを守るって言ってたよ!?」
「子供の頃から、僕に恋愛感情を抱いていたわけじゃないでしょ?」
「……もの心が付いた時には、もうエデンが好きだったよ」
あまりにも真剣に言うものだから、エデンは呆気に取られてシオンを見上げた。
そんな子供の頃から、自分一筋だったとは……。
ただの兄弟愛だと言えばさらに興奮しかねないと思い、「ありがとう」とだけ返しておいた。
「あのさ、シオン。……裸で、仁王立ちはやめてね」
「ああ、ごめんごめん。つい……」
二人で並んでベッドに横たわる。
子供の頃から、エデンが右側だと決まっている。
明日、みんなに番になった報告しようと話し合った。
「ねぇ、エデン。改めて、誕生日おめでとう」
———完———
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
SSではシオンとエデンが番になったところをお届けしました♪
カマルはきっと自分の予想が当たったと、得意気になることでしょう。
エデンは事あるごとに月亜に相談するので、月亜は全てを知っていましたけどね。
今後、オーディン家の益々の繁栄をお祈り申し上げます♡
追記。
続編終了後、カマルと月亜の間にはアルファの女の子が誕生しています。
シオンに促され、自分の頸に手をやる。
「うっ……痛かったはずだよ。こんなにクッキリと……」
「イヤ?」
「嫌なわけあるものか!! ふふ……。幸せだ!!」
「エデン!! 俺も幸せだよ!!」
エデンの二十歳の誕生日に番になろうと約束していた。
十歳の時のバース性の検査で、エデンはオメガと診断された。
そしてその二年後、今度はシオンがアルファと診断された。
それまでは兄弟のような関係だった二人の関係性が変わり始めたのも、この頃からである。
元々仲の良かった二人が『恋愛』という意味で意識し始めるのに、そう時間はかからなかった。
それに、エデンは何となく自分はオメガで、シオンはアルファのような気がしていたのだ。
子供の頃からずっとシオンが守ってくれていたからかもしれない。
エデンは自分がそんなに積極的な性格ではないし、社交性もシオンの方が優れているのを冷静に分析していた。
それに、シオンを支えるのが、自分に合っていると。
だから兄とはいえ、自分は支える立場でいたいと願っていた。
オメガと診断された時も、落ち込むことはなかった。
身近にいる月亜やミッチェルを見て来たから。
いつだって二人はエデンの理想だった。
「エデン! もう一回やろう!!」
「シオン……そんなストレートに言われると、ムードも何もないじゃないか」
「だって、エデンが好きなの!! もっと繋がっていたい」
「大型犬みたいだね」
いつの間にか身長も体格もシオンに追い越されていた。
真っ黒な髪と瞳は今でも変わらない。
子供の頃は華奢な自分をコンプレックスだと言っていたが、成長期に入ってからの変貌ぶりは皆が驚いた。
今ではエデンの方が月亜のようなスリムなスタイルをしている。
「大型犬じゃないよ! 紋だって虎だし!!」
シオンは自分の紋に虎が出現したのを、とても喜んでいる。
ハワードのトーテムの紋の中でも、虎が大のお気に入りだったのだ。
その虎が今、自分の体に刻まれているのが誇らしいと毎日言っている。
「とてもカッコいいし、似合ってる」
「エデンの蝶も、本当に綺麗だ」
シオンの手が伸びてきた。
エデンの体には、蝶の群れが出現した。
下腹部から飛び立つように描かれている紋には、オーディン家の誰もがため息を溢すほど美しい。
シオンはエデンを包み込んで話し始めた。
「俺たちが兄弟じゃないって知った時、本当に驚いたんだ」
「シオンはまだ幼かったからね。僕もハッキリとは思い出せないけど、バース性の診断が出た時、お父様がこっそり教えてくれていたんだ」
「そうなの? じゃあ知らなかったのは俺だけ? そんなのズルい!!」
「シオンはきっとそれを知ってしまうと、責任感で俺を番にするって言い出しかねないって思ったから。シオンが自分の番う相手を自分の意思で決めるまでは、隠しておいてくださいって僕から頼んでいた」
シオンはそれを聞くなり、勢いよく立ち上がった。
「そんなの!! 俺は子供の頃からエデンを守るって言ってたよ!?」
「子供の頃から、僕に恋愛感情を抱いていたわけじゃないでしょ?」
「……もの心が付いた時には、もうエデンが好きだったよ」
あまりにも真剣に言うものだから、エデンは呆気に取られてシオンを見上げた。
そんな子供の頃から、自分一筋だったとは……。
ただの兄弟愛だと言えばさらに興奮しかねないと思い、「ありがとう」とだけ返しておいた。
「あのさ、シオン。……裸で、仁王立ちはやめてね」
「ああ、ごめんごめん。つい……」
二人で並んでベッドに横たわる。
子供の頃から、エデンが右側だと決まっている。
明日、みんなに番になった報告しようと話し合った。
「ねぇ、エデン。改めて、誕生日おめでとう」
———完———
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
SSではシオンとエデンが番になったところをお届けしました♪
カマルはきっと自分の予想が当たったと、得意気になることでしょう。
エデンは事あるごとに月亜に相談するので、月亜は全てを知っていましたけどね。
今後、オーディン家の益々の繁栄をお祈り申し上げます♡
追記。
続編終了後、カマルと月亜の間にはアルファの女の子が誕生しています。
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カマルやルアと一緒に紋の出現を喜んで頂けて、私も嬉しいです( o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ )
シオンとエデンのSSまで読んで頂き感謝です♡♡本編からずっとダークだったので、この二人だけは楽しくお届けしました(笑)
続編お疲れ様でした。ためて一気に読んだのですが、こちらも読み応えがありました(*´˘`*)♡
SSも書いて頂けるとの事、それも楽しみにしています♪
ウミガメさん🐢🐢
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