103 / 104
続編 カマルとルアの子育て編
【完結】飛躍
しおりを挟む
二匹の龍が、デュセロア王国の空を舞う。
観客からは、盛大な歓声が湧き上がっている。
今日は、デュセロア王国とプラテネスが統合させる記念日だ。
どちらの国もお祭り騒ぎ。
街中どこも賑わっている。
午前中、プラテネスでパレードを行った月亜とカマル御一行は、そのままデュセロア王国へと向かい、街中をパレードで巡る。
「あの日を思い出しますね」
月亜は、初めてカマルと共にパレードをした日を思い出していた。
あの頃の月亜は、まだ魔力も不安定で、龍を完全には操り切れていなかったが、今では空を自由に飛び立たせるのも余裕になった。
プラテネスでは、国民の要望もあり、何かのお祝いやお祭りの度に龍を召喚させているが、デュセロアの国民はどこからかその情報を聞きつけて、はるばる龍を見に来る者もいたようだ。
「まさか、こんな一大事に立ち会う人生とはな……」
「良い時代に生まれたのう」
「見て! また龍が戻ってきたよ!!」
国民の声が飛びかう中、華麗に舞う金と青の双龍。
新しい門出を祝うにピッタリである。
「エデン、あっちからも手を振ってるよ」
「本当だ。ねぇ、シオンあっちも!」
今日のパワードには、カマルと月亜を乗せた馬車に引き続き、ハワードとミッチェル、その後ろからはシオンとエデンを乗せた馬車へと続いている。
子供たちの馬車にはベネットが付き添っているので安心だ。
エデンの姿に、国民たちは大喜び。
ナタンもルシーも消えた今、どうしているのだろうと話題になっていたそうだ。
「オーディン国王様が養子に入れたらしい」
と、合っているようでちょっと違う噂が、またもや飛び交った。
これについて、カマルは後の挨拶でも明らかにはしなかった。
次の世代に向けてしっかりと教育していく……といった旨だけ、ほんの少し触れた程度に終わった。
「シオン、エデン、お父様の背中をしっかりと見るのですよ。いずれは貴方達があの場所に立つのです」
「「はいっ!!」」
国民にむけての挨拶も、背後からしっかりと聞いていた。
あとになって、エデンがぽつりと呟いた。
「お父様がいた……」と……。
「そうか、エデンの勇姿を見守ってくれていたのかもしれないね」
エデンは「はい」と元気に答えた。
みるみる逞しくなる子供達には、大人のほうが驚かされる。
よく悩んで考え込んでしまう月亜は、この精神力が羨ましくも思う。
「ルア、こちらへ……」
カマルに促されて、隣に立つ。
国民の視線が月亜に集まった。
これだけの人たちの暮らしを守る立場にいる。気が引き締まる思いで、挨拶をした。
「プラテネス万歳!!」
「オーディン国王万歳!!」
歓声は鳴り止まない。
二つの国が統合したことにより、プラテネスは更なる飛躍の一途を辿ることとなる……。
その夜……。
「カマルさん、ちょっといいですか?」
寝室に入るなり、月亜が切り出した。
「ああ、どうした。……ルア? 顔色が優れない。疲れが出たのではないのか!?」
直ぐにベッドに入るよう促す。
「あ、あの……違うんです。それが……、あの、バルコニーへ出ませんか?」
カマルは不思議に思いながも、バルコニーへ出た。
ソファーに並んで座ると、カマルが顔を覗き込む。
「それで、カマルさんにご報告がありまして……」
「どうした? エデンのことか?」
「そうじゃないんです。あの、実は……」
月亜がお腹を撫でながら、カマルを見る。
「えっ? まさか……ルア?」
「二人目が、お腹に……」
「ルア!!」
歓喜のあまりカマルは言葉を失い、月亜をぎゅっと抱きしめた。
夜空には、綺麗な月が輝いている。
———完———
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
最後までお付き合い頂き、有難うございました!
読者様のおかげで11月の1ヶ月を頑張ることが出来ました。本当に有難うございます。
よろしければ、感想など頂けると嬉しいです。
続編は終りましたが、番外編で大人になったシオンとエデンのSSを1~2話完結で書きますので、引き続き宜しくお願いします。
投票まだだよーという方、是非、一票入れてくださると嬉しいです!!
ではでは、またSSでお会いしましょう!
観客からは、盛大な歓声が湧き上がっている。
今日は、デュセロア王国とプラテネスが統合させる記念日だ。
どちらの国もお祭り騒ぎ。
街中どこも賑わっている。
午前中、プラテネスでパレードを行った月亜とカマル御一行は、そのままデュセロア王国へと向かい、街中をパレードで巡る。
「あの日を思い出しますね」
月亜は、初めてカマルと共にパレードをした日を思い出していた。
あの頃の月亜は、まだ魔力も不安定で、龍を完全には操り切れていなかったが、今では空を自由に飛び立たせるのも余裕になった。
プラテネスでは、国民の要望もあり、何かのお祝いやお祭りの度に龍を召喚させているが、デュセロアの国民はどこからかその情報を聞きつけて、はるばる龍を見に来る者もいたようだ。
「まさか、こんな一大事に立ち会う人生とはな……」
「良い時代に生まれたのう」
「見て! また龍が戻ってきたよ!!」
国民の声が飛びかう中、華麗に舞う金と青の双龍。
新しい門出を祝うにピッタリである。
「エデン、あっちからも手を振ってるよ」
「本当だ。ねぇ、シオンあっちも!」
今日のパワードには、カマルと月亜を乗せた馬車に引き続き、ハワードとミッチェル、その後ろからはシオンとエデンを乗せた馬車へと続いている。
子供たちの馬車にはベネットが付き添っているので安心だ。
エデンの姿に、国民たちは大喜び。
ナタンもルシーも消えた今、どうしているのだろうと話題になっていたそうだ。
「オーディン国王様が養子に入れたらしい」
と、合っているようでちょっと違う噂が、またもや飛び交った。
これについて、カマルは後の挨拶でも明らかにはしなかった。
次の世代に向けてしっかりと教育していく……といった旨だけ、ほんの少し触れた程度に終わった。
「シオン、エデン、お父様の背中をしっかりと見るのですよ。いずれは貴方達があの場所に立つのです」
「「はいっ!!」」
国民にむけての挨拶も、背後からしっかりと聞いていた。
あとになって、エデンがぽつりと呟いた。
「お父様がいた……」と……。
「そうか、エデンの勇姿を見守ってくれていたのかもしれないね」
エデンは「はい」と元気に答えた。
みるみる逞しくなる子供達には、大人のほうが驚かされる。
よく悩んで考え込んでしまう月亜は、この精神力が羨ましくも思う。
「ルア、こちらへ……」
カマルに促されて、隣に立つ。
国民の視線が月亜に集まった。
これだけの人たちの暮らしを守る立場にいる。気が引き締まる思いで、挨拶をした。
「プラテネス万歳!!」
「オーディン国王万歳!!」
歓声は鳴り止まない。
二つの国が統合したことにより、プラテネスは更なる飛躍の一途を辿ることとなる……。
その夜……。
「カマルさん、ちょっといいですか?」
寝室に入るなり、月亜が切り出した。
「ああ、どうした。……ルア? 顔色が優れない。疲れが出たのではないのか!?」
直ぐにベッドに入るよう促す。
「あ、あの……違うんです。それが……、あの、バルコニーへ出ませんか?」
カマルは不思議に思いながも、バルコニーへ出た。
ソファーに並んで座ると、カマルが顔を覗き込む。
「それで、カマルさんにご報告がありまして……」
「どうした? エデンのことか?」
「そうじゃないんです。あの、実は……」
月亜がお腹を撫でながら、カマルを見る。
「えっ? まさか……ルア?」
「二人目が、お腹に……」
「ルア!!」
歓喜のあまりカマルは言葉を失い、月亜をぎゅっと抱きしめた。
夜空には、綺麗な月が輝いている。
———完———
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
最後までお付き合い頂き、有難うございました!
読者様のおかげで11月の1ヶ月を頑張ることが出来ました。本当に有難うございます。
よろしければ、感想など頂けると嬉しいです。
続編は終りましたが、番外編で大人になったシオンとエデンのSSを1~2話完結で書きますので、引き続き宜しくお願いします。
投票まだだよーという方、是非、一票入れてくださると嬉しいです!!
ではでは、またSSでお会いしましょう!
21
お気に入りに追加
1,250
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
運命の番が解体業者のおっさんだった僕の話
いんげん
BL
僕の運命の番は一見もっさりしたガテンのおっさんだった。嘘でしょ!?……でも好きになっちゃったから仕方ない。僕がおっさんを幸せにする! 実はスパダリだったけど…。
おっさんα✕お馬鹿主人公Ω
おふざけラブコメBL小説です。
話が進むほどふざけてます。
ゆりりこ様の番外編漫画が公開されていますので、ぜひご覧ください♡
ムーンライトノベルさんでも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる