【完結】満月に導かれし龍の淫紋 〜運命の番は闇落ち王子〜

亜沙美多郎

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続編 カマルとルアの子育て編

信じる強さ

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 その後、カマルもデュセロアへ出向く機会が急激に増えた。
 国の統合に向けて、いよいよ話が進み出した様子である。
 
「ルア、近日中にデュセロア王国の施設に何箇所か訪問をする。同行してくれ」
「はい。承知しました」
 月亜はカマルの一言で大体の現状を理解した。
 先日のハワードから発表された時点で、国の統合はほぼ決定していたのだろう。
 
 どうもあれ以来、ハワードとベネットはナタンの事に掛かりっきりのようであるし……。
 これだけ国の統合に働いているなら、ナタンの国外追放も確定しているはずだ。
 
 しかし月亜はある事が気掛かりで仕方がない。

 万が一このままナタンが追放されるとなれば、エデンはどうなるのだ。
 デュセロア王国とナタンの話ばかりで、エデンの今後をまだ何も知らされていない。
 
「このまま、オーディンが引き取れるのかな……」

 何も知らずに毎日を笑顔で過ごしてくれているエデンとシオン。
 これだけの期間を一緒に過ごしていれば、『今から離れ離れです』などと言われても、どちらも納得しないのは目に見えている。

 しかし今は、カマルやハワードに話しかける隙もない。
 祈るしかできない現状が苦しかった。

 月亜はミッチェルとのティータイムで、不安を話してみた。

「それを私も案じていますわ」
 ミッチェルもエデンを手放しなくないと言った。

「もう、本当の孫だと思っていますもの。それはハワードも同じこと。きっとエデンを蔑ろになどしないはずですよ」
「そうですよね。話を聞いてもらえて良かったです」
「まさかの事態ですもの。誰もが不安と戦っているものよ。いけない事ではありません」
「お母様のように、もっと気持ちに余裕も持ちたいです」
「ふふ……私も、余裕なんてありませんのよ、本当は。ただ、ハワードを信じています」

 優美に微笑んだミッチェルの瞳は、澄み切っていて、キラキラと輝いてる。

「ルアさん。ほら、そんな目をしていてはいけませんわ。その瞳に、未来が映るのですよ」
「は、はいっ。心得ます!!」

 ピンっと背筋が伸びた。

 そうだ、曇った瞳に映る未来が明るいはずがない。
 もっと輝く未来を写さなければ……。

「楽しいお話をしましょう」
 ミッチェルが言った。
「はい」
 月亜はミッチェルに笑顔を向ける。

(俺も、カマルさんを信じている)
    信じることが、自信へと繋がった。
 
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