【完結】満月に導かれし龍の淫紋 〜運命の番は闇落ち王子〜

亜沙美多郎

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続編 カマルとルアの子育て編

星空を見つめて

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 部屋に入ると、カマルと月亜はバルコニーに出て星を眺めていた。

 夜風が柔らかい月亜の夜着を揺らす。
 空には満天の星と、大きな月が輝いている。

「もうすぐ満月だな」
「そうですね。満月を見るたびに、森で過ごしていた日々を思い出します」
「あれはあれで、良い経験になった」
「俺は楽しかったですよ。あのまま二人きりで過ごすのも、悪くないと思っていました」

 あの屋敷は、猫神の力で作り出された結界の中の世界。今はもう、跡形もなく消えているが、あの広い森中を探せば何処かにあるではないか。と思いを馳せてしまう。

 そのくらいに、カマルと月亜にとってあの屋敷は特別なものだった。

「いつかシオンも番を持つ時がくるのでしょうね」
「まだまだ先だ。なんて思っていても、あっという間だそ。と父から口酸っぱく言われている」
 カマルの失笑ぶりから、ハワードがどれだけ言い聞かせているかが容易く想像できた。

「こんなこと言っちゃいけないんですけど……」
「どうした?」
「エデン君が、このまま本当にシオンのお兄ちゃんになってくれればいいのにって、思ってしまいます。勿論! 無理なのは分かっていますけど……」

 カマルもそれには共感した。二人は一緒の時間が増えるほど、本当の兄弟のように思えてくる。

「しかし……。万が一、将来の番だとすれば……」
「くすくす……。もしそうだと、兄弟ではいけませんね」
「何を笑っているのだ?」
「いや、カマルさんはやっぱりお父様に似てらっしゃると思いまして」

 カマルはキョトンとしているが、月亜はやはり血は争えないと、しばらく笑っていた。

「そろそろベッドに入ろう」
「そうですね。ところで、エデン君が仲間になった件、俺とカマルさんを二人きりにしてくれって頼んだのでしょう?」
「ぶっ! な、なぜ分かったのだ?」
「見ていれば分かりますよ! あからさま過ぎです」
「そんなに私は分かりやすいのか……。エデンにもそう言われてしまった」

 これには月亜はより盛大に声を上げて笑った。五歳の男の子に、月亜をうっとりと眺めているなどと言われたと言うではないか。

「でも、それがカマルさんの良いところですし、俺は愛情表現が苦手なので、羨ましくもあります」
「では、今夜は月亜から沢山愛してもらおうか」
 カマルは月亜を抱き上げると、ベッドに横たわらせた。
 月亜がカマルに腕を伸ばす。

「カマルさん、キスしてください」

 カマルの高い鼻が月亜の頬に食い込み、唇を合わせた。
 今日くらいは、少し素直になってもいいか……なんて、カマルに身を委ねた。
 
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