【完結】満月に導かれし龍の淫紋 〜運命の番は闇落ち王子〜

亜沙美多郎

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続編 カマルとルアの子育て編

新しい家族

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 カマルはその後も頑なにエデンとの会話の内容を教えてはくれなかった。
 しかし、エデンにはみるみる笑顔が増えた。
 以前は気を遣って笑っている風だったが、徐々にそれが自然になっているように思う。

 シオンは益々エデンから離れなくなり、二人の仲も深まっているのを感じている。

 カマルの書斎で二人きりで話した日から数日経った時、再びカマルがエデンを呼び出した。
 今度はシオンも一緒にだ。

「今日は一体どうされたのです?」
 月亜はまた何も知らされていない。
 促されるままついていくと、そこには子供のライオンがいたのだ。

「どうしたんですか? ライオンなんて!!」
「ルア、このライオンは君が森で助けたあの獅だ」
「え? だってあの獅はもっと大きくて……」
「ルシーから完全に解放され、魔力がなくなったのだ」

 魔力がなくなると、姿が変わるのか……。
 まだまだ知らなことが多そうだ。
 このライオンはこれ以上大きく成長はしないとカマルが説明した。

「ずっとこの大きさなんて、可愛いですね……」
「向こうではナタンにもダリエ国王様にも懐いたと言ってね。早くエデンにも触れさせてやりたいと言って、朝一番に父が引き取りに行っていたのだ」
 
 エデンは子供のライオンに見入っている。
 撫でてごらん? と月亜が言うと、恐る恐る手を伸ばし背中を撫でた。
「ふわふわ!!」
「しおんも、さわる!!」
「シオン、こうやってゆっくり、やさしく……こう、やってみて?」
「ゆっくり……やさしく……。わぁぁ!! ふわふわ~!」

 もうすっかり二人でいるのが当たり前になったシオンとエデンは、何をするのも一緒だ。
「二人でお世話できる?」
「「はーーい!!」」
「おさんぽ、いく?」
「どこに?」
「もりーー!!」

 シオンが叫び、そういえばエデンを森に連れて行ったことがなかったことに気がついた。
 確かに、森ならライオンも心置きなく走り回れるだろう。
 明日、早速連れて行くことに決まった。

 カマルが既にシオンの部屋でライオンも寝られるように準備が整っていると伝えると、二人がまた歓声を上げた。

「シオン、今日は早く部屋に入ろう? ね、カマル国王様!!」
「うん!! ライオンさんの、なまえきめるーー!!」

 月亜はなぜカマルに問いかけたのか引っかかったが、カマルは視線を外し「そうれは良い」と小声で返していた。

 何か怪しい……。
 やはり今日の夜は問い正してみようと思った。

 エデンは予定通り、いつもより随分早くシオンと部屋に入った。
 名前は明日発表してくれるようだ。

「王妃様、シオンの寝かしつけは大丈夫です。僕がいますから」
 凛とした姿勢でエデンが言う。
「あ……うん、分かった…よろしくね」

 二人の背中を見つめる。
「じゃあ、私たちも今日は早く部屋に戻ろうか……」
 月亜の肩を抱く。
 二人の秘密には、自分が絡んでいると悟った月亜。

(絶対、白状させるぞ!!)
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