81 / 104
続編 カマルとルアの子育て編
新しい家族
しおりを挟む
カマルはその後も頑なにエデンとの会話の内容を教えてはくれなかった。
しかし、エデンにはみるみる笑顔が増えた。
以前は気を遣って笑っている風だったが、徐々にそれが自然になっているように思う。
シオンは益々エデンから離れなくなり、二人の仲も深まっているのを感じている。
カマルの書斎で二人きりで話した日から数日経った時、再びカマルがエデンを呼び出した。
今度はシオンも一緒にだ。
「今日は一体どうされたのです?」
月亜はまた何も知らされていない。
促されるままついていくと、そこには子供のライオンがいたのだ。
「どうしたんですか? ライオンなんて!!」
「ルア、このライオンは君が森で助けたあの獅だ」
「え? だってあの獅はもっと大きくて……」
「ルシーから完全に解放され、魔力がなくなったのだ」
魔力がなくなると、姿が変わるのか……。
まだまだ知らなことが多そうだ。
このライオンはこれ以上大きく成長はしないとカマルが説明した。
「ずっとこの大きさなんて、可愛いですね……」
「向こうではナタンにもダリエ国王様にも懐いたと言ってね。早くエデンにも触れさせてやりたいと言って、朝一番に父が引き取りに行っていたのだ」
エデンは子供のライオンに見入っている。
撫でてごらん? と月亜が言うと、恐る恐る手を伸ばし背中を撫でた。
「ふわふわ!!」
「しおんも、さわる!!」
「シオン、こうやってゆっくり、やさしく……こう、やってみて?」
「ゆっくり……やさしく……。わぁぁ!! ふわふわ~!」
もうすっかり二人でいるのが当たり前になったシオンとエデンは、何をするのも一緒だ。
「二人でお世話できる?」
「「はーーい!!」」
「おさんぽ、いく?」
「どこに?」
「もりーー!!」
シオンが叫び、そういえばエデンを森に連れて行ったことがなかったことに気がついた。
確かに、森ならライオンも心置きなく走り回れるだろう。
明日、早速連れて行くことに決まった。
カマルが既にシオンの部屋でライオンも寝られるように準備が整っていると伝えると、二人がまた歓声を上げた。
「シオン、今日は早く部屋に入ろう? ね、カマル国王様!!」
「うん!! ライオンさんの、なまえきめるーー!!」
月亜はなぜカマルに問いかけたのか引っかかったが、カマルは視線を外し「そうれは良い」と小声で返していた。
何か怪しい……。
やはり今日の夜は問い正してみようと思った。
エデンは予定通り、いつもより随分早くシオンと部屋に入った。
名前は明日発表してくれるようだ。
「王妃様、シオンの寝かしつけは大丈夫です。僕がいますから」
凛とした姿勢でエデンが言う。
「あ……うん、分かった…よろしくね」
二人の背中を見つめる。
「じゃあ、私たちも今日は早く部屋に戻ろうか……」
月亜の肩を抱く。
二人の秘密には、自分が絡んでいると悟った月亜。
(絶対、白状させるぞ!!)
しかし、エデンにはみるみる笑顔が増えた。
以前は気を遣って笑っている風だったが、徐々にそれが自然になっているように思う。
シオンは益々エデンから離れなくなり、二人の仲も深まっているのを感じている。
カマルの書斎で二人きりで話した日から数日経った時、再びカマルがエデンを呼び出した。
今度はシオンも一緒にだ。
「今日は一体どうされたのです?」
月亜はまた何も知らされていない。
促されるままついていくと、そこには子供のライオンがいたのだ。
「どうしたんですか? ライオンなんて!!」
「ルア、このライオンは君が森で助けたあの獅だ」
「え? だってあの獅はもっと大きくて……」
「ルシーから完全に解放され、魔力がなくなったのだ」
魔力がなくなると、姿が変わるのか……。
まだまだ知らなことが多そうだ。
このライオンはこれ以上大きく成長はしないとカマルが説明した。
「ずっとこの大きさなんて、可愛いですね……」
「向こうではナタンにもダリエ国王様にも懐いたと言ってね。早くエデンにも触れさせてやりたいと言って、朝一番に父が引き取りに行っていたのだ」
エデンは子供のライオンに見入っている。
撫でてごらん? と月亜が言うと、恐る恐る手を伸ばし背中を撫でた。
「ふわふわ!!」
「しおんも、さわる!!」
「シオン、こうやってゆっくり、やさしく……こう、やってみて?」
「ゆっくり……やさしく……。わぁぁ!! ふわふわ~!」
もうすっかり二人でいるのが当たり前になったシオンとエデンは、何をするのも一緒だ。
「二人でお世話できる?」
「「はーーい!!」」
「おさんぽ、いく?」
「どこに?」
「もりーー!!」
シオンが叫び、そういえばエデンを森に連れて行ったことがなかったことに気がついた。
確かに、森ならライオンも心置きなく走り回れるだろう。
明日、早速連れて行くことに決まった。
カマルが既にシオンの部屋でライオンも寝られるように準備が整っていると伝えると、二人がまた歓声を上げた。
「シオン、今日は早く部屋に入ろう? ね、カマル国王様!!」
「うん!! ライオンさんの、なまえきめるーー!!」
月亜はなぜカマルに問いかけたのか引っかかったが、カマルは視線を外し「そうれは良い」と小声で返していた。
何か怪しい……。
やはり今日の夜は問い正してみようと思った。
エデンは予定通り、いつもより随分早くシオンと部屋に入った。
名前は明日発表してくれるようだ。
「王妃様、シオンの寝かしつけは大丈夫です。僕がいますから」
凛とした姿勢でエデンが言う。
「あ……うん、分かった…よろしくね」
二人の背中を見つめる。
「じゃあ、私たちも今日は早く部屋に戻ろうか……」
月亜の肩を抱く。
二人の秘密には、自分が絡んでいると悟った月亜。
(絶対、白状させるぞ!!)
11
お気に入りに追加
1,249
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる