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続編 カマルとルアの子育て編
ルシーの実態
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召喚獣は主に逆らうことはできない。
しかし、意志はある。
誰もが自分の召喚獣を大切に想っているし、信頼関係もまた、魔力の強さに関係してくる。
ルシー・ダリエ。
彼女は珍しく例外であった。
女性では、αでも獅のような強い獣のタトゥーが出るのは珍しい。
せいぜい、鷹や豹くらいのものだ。
ルシーは自分のタトゥーが自慢だった。
そして、それを操る能力を持つ自分を。
誰よりも努力することを無精しなかった。
過剰な自意識はそこからきている。
その辺のαの男には負けない自信が漲っていた。
ナタンとの結婚は親同士の政略結婚だ。
それにルシーが快諾しているわけはなく、嫌々嫁いできたのだった。
ナタンは次期国王だというのに、自分に自信がなくルシーに怯えていた。
堂々と振る舞えない男を、男として見られないルシーは、ナタンに対して横柄な態度をとった。
召喚獣が兎だと分かった時は声を上げて笑い飛ばしたという。
ルシーがダリエ国王様にだけ腰が低いのは、単に国王様という立場であること、そしてダリエ国王様の召喚獣が自分のものより強いタトゥーだったからだ。
今回、ナタンが和解を求めてきた。
和解というのは、先にいざこざがあったらの場合である。
自分達は何も揉めていない。
ナタンがルシーに口答えするなど、あり得ないことだと思っていた。
「あなたがそんなにも情けないなら、私が女王になろうかしら」
これが二人きりでいる時のルシーの口癖だ。
ナタンは逆らえなかった。
そうすれば、ルシーの召喚獣の獅に殺されかねない。
こんな時は大体いつも「はい」とも「いいえ」とも言わず、ひたすらルシーの気が済むのを待つのみだ。
子供を作ったのは、ルシーにとっては“仕方のないこと”であった。
王族には後継者が要る。
これで、自分のように努力家で、強い召喚獣を持つ子供が生まれれば、さらに自分の強みになってくれるだろうと期待していた。
しかし生まれてきた子は、ナタンと同じような気の弱い男児であった。
「ここに来てから、私の人生計画は台無しよ!!!!」
これならば、公爵家にいたときの方が幸せだったと言い放った。
ルシーはそのうちエデンの前でも怒り狂うようになった。
男のくせに、鍛えろ、堂々としろ。
エデンの気持ちなど聴こうともせず、自分本位な意見をぶつけた。
ダリエ国王様にだけ媚びを売っていたが、その事実を誰も打ち明けらるはずも無い。
それがルシーをより強欲にさせたのだ。
しかし、意志はある。
誰もが自分の召喚獣を大切に想っているし、信頼関係もまた、魔力の強さに関係してくる。
ルシー・ダリエ。
彼女は珍しく例外であった。
女性では、αでも獅のような強い獣のタトゥーが出るのは珍しい。
せいぜい、鷹や豹くらいのものだ。
ルシーは自分のタトゥーが自慢だった。
そして、それを操る能力を持つ自分を。
誰よりも努力することを無精しなかった。
過剰な自意識はそこからきている。
その辺のαの男には負けない自信が漲っていた。
ナタンとの結婚は親同士の政略結婚だ。
それにルシーが快諾しているわけはなく、嫌々嫁いできたのだった。
ナタンは次期国王だというのに、自分に自信がなくルシーに怯えていた。
堂々と振る舞えない男を、男として見られないルシーは、ナタンに対して横柄な態度をとった。
召喚獣が兎だと分かった時は声を上げて笑い飛ばしたという。
ルシーがダリエ国王様にだけ腰が低いのは、単に国王様という立場であること、そしてダリエ国王様の召喚獣が自分のものより強いタトゥーだったからだ。
今回、ナタンが和解を求めてきた。
和解というのは、先にいざこざがあったらの場合である。
自分達は何も揉めていない。
ナタンがルシーに口答えするなど、あり得ないことだと思っていた。
「あなたがそんなにも情けないなら、私が女王になろうかしら」
これが二人きりでいる時のルシーの口癖だ。
ナタンは逆らえなかった。
そうすれば、ルシーの召喚獣の獅に殺されかねない。
こんな時は大体いつも「はい」とも「いいえ」とも言わず、ひたすらルシーの気が済むのを待つのみだ。
子供を作ったのは、ルシーにとっては“仕方のないこと”であった。
王族には後継者が要る。
これで、自分のように努力家で、強い召喚獣を持つ子供が生まれれば、さらに自分の強みになってくれるだろうと期待していた。
しかし生まれてきた子は、ナタンと同じような気の弱い男児であった。
「ここに来てから、私の人生計画は台無しよ!!!!」
これならば、公爵家にいたときの方が幸せだったと言い放った。
ルシーはそのうちエデンの前でも怒り狂うようになった。
男のくせに、鍛えろ、堂々としろ。
エデンの気持ちなど聴こうともせず、自分本位な意見をぶつけた。
ダリエ国王様にだけ媚びを売っていたが、その事実を誰も打ち明けらるはずも無い。
それがルシーをより強欲にさせたのだ。
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