69 / 104
続編 カマルとルアの子育て編
朝焼け
しおりを挟む
カーテン越しに、外が明るくなってきたのを確認した。
「もう、朝か……」
「ずっと起きてましたか?」
カマルの呟きで目が覚めた月亜は、少し肌寒くて布団に潜り込んだ。
「ルアの寝顔を楽しんでいた」
「そんなの、見なくていいですよ」
カマルの胸に顔を押し付ける。
きっと間抜けな顔で寝ていたに違いない。
何度も達して体のどこにも力が入らない。
カマルも布団に潜り込むと、月亜を抱きしめた。
その表情はとても満足気だ。
「起こしてすまない。もっと寝ていていい」
「カマルさんこそ、寝てください。俺だってたまにはカマルさんの寝顔が見たいです」
普段から月亜のほうが先に寝て、朝は起きるのは遅い。
別段、月亜が寝坊をしているわけではなく、カマルが起きるのが早いのだ。
月亜はカマルの寝顔はほとんど見たことがない。
なので寝顔が見たいと言うのは、満更嘘ではなかった。
カマルの懐にすっぽりと治まり、また意識が虚になってきた頃、フッと喋り始めた。
「二人目のお子が欲しいか、と聞いたな」
「あ、はい。シオンももう三歳ですし、考えてもいいのかなって思ってはいました。でも、カマルさんの意志を大事にしたいんです」
「ルアは、モリスと俺のことを考えているんだろう? モリスのことなら気にしなくていい。あれは自分で決意したことだ」
弟を恨んではいないと言った。
これまでこの話題を避けていたように感じていたが、もうカマルの中では解決したのかもしれない。
それなら、月亜はカマルが自ら喋らないことまで聞き出そうとは思わなかった。
「兄弟がいれば楽しいと思う」
カマルが月亜の髪を撫でながら言う。
「俺もそう思います。色々と刺激もあるでしょうし」
「しかしシオンも大切だが、ルアの体が一番だからね」
「それは分かっています」
カマルはずっと弟のことを思い出しているのだろうと思っていたが、本当は月亜の体調を気遣っていたようだ。
シオンを妊娠中、月亜は悪阻が酷くてほとんど食べられないでいた。
自分も思い出そうとすれば記憶を蘇らせることができるが、普段はすっかり忘れている。
カマルの方が鮮明に覚えてるのに驚いた。
確かにあの悪阻を二度は味わいたくない。
でも妊娠しなければ分からないので、そこはなんとも言い難い。
「それに……妊娠中、ルアを抱けないのも我慢できない」
カマルはこれが本音だろうと月亜は思った。
やはり、シオンの弟か妹は諦めてもらうしかない。
ポロリとこぼした本音に、月亜は思わず笑ってしまった。
「私にとっては大問題だ」
「くすくす……。分かっています。俺だって、抱いて欲しくて仕方ありませんでしたから」
「でも、授かった時は本当に産んでほしいと思っているよ」
月亜がカマルに足を絡める。
「勿論です」と返すと、また夢の中へと入っていった。
「もう、朝か……」
「ずっと起きてましたか?」
カマルの呟きで目が覚めた月亜は、少し肌寒くて布団に潜り込んだ。
「ルアの寝顔を楽しんでいた」
「そんなの、見なくていいですよ」
カマルの胸に顔を押し付ける。
きっと間抜けな顔で寝ていたに違いない。
何度も達して体のどこにも力が入らない。
カマルも布団に潜り込むと、月亜を抱きしめた。
その表情はとても満足気だ。
「起こしてすまない。もっと寝ていていい」
「カマルさんこそ、寝てください。俺だってたまにはカマルさんの寝顔が見たいです」
普段から月亜のほうが先に寝て、朝は起きるのは遅い。
別段、月亜が寝坊をしているわけではなく、カマルが起きるのが早いのだ。
月亜はカマルの寝顔はほとんど見たことがない。
なので寝顔が見たいと言うのは、満更嘘ではなかった。
カマルの懐にすっぽりと治まり、また意識が虚になってきた頃、フッと喋り始めた。
「二人目のお子が欲しいか、と聞いたな」
「あ、はい。シオンももう三歳ですし、考えてもいいのかなって思ってはいました。でも、カマルさんの意志を大事にしたいんです」
「ルアは、モリスと俺のことを考えているんだろう? モリスのことなら気にしなくていい。あれは自分で決意したことだ」
弟を恨んではいないと言った。
これまでこの話題を避けていたように感じていたが、もうカマルの中では解決したのかもしれない。
それなら、月亜はカマルが自ら喋らないことまで聞き出そうとは思わなかった。
「兄弟がいれば楽しいと思う」
カマルが月亜の髪を撫でながら言う。
「俺もそう思います。色々と刺激もあるでしょうし」
「しかしシオンも大切だが、ルアの体が一番だからね」
「それは分かっています」
カマルはずっと弟のことを思い出しているのだろうと思っていたが、本当は月亜の体調を気遣っていたようだ。
シオンを妊娠中、月亜は悪阻が酷くてほとんど食べられないでいた。
自分も思い出そうとすれば記憶を蘇らせることができるが、普段はすっかり忘れている。
カマルの方が鮮明に覚えてるのに驚いた。
確かにあの悪阻を二度は味わいたくない。
でも妊娠しなければ分からないので、そこはなんとも言い難い。
「それに……妊娠中、ルアを抱けないのも我慢できない」
カマルはこれが本音だろうと月亜は思った。
やはり、シオンの弟か妹は諦めてもらうしかない。
ポロリとこぼした本音に、月亜は思わず笑ってしまった。
「私にとっては大問題だ」
「くすくす……。分かっています。俺だって、抱いて欲しくて仕方ありませんでしたから」
「でも、授かった時は本当に産んでほしいと思っているよ」
月亜がカマルに足を絡める。
「勿論です」と返すと、また夢の中へと入っていった。
11
お気に入りに追加
1,249
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる