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続編 カマルとルアの子育て編
朝焼け
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カーテン越しに、外が明るくなってきたのを確認した。
「もう、朝か……」
「ずっと起きてましたか?」
カマルの呟きで目が覚めた月亜は、少し肌寒くて布団に潜り込んだ。
「ルアの寝顔を楽しんでいた」
「そんなの、見なくていいですよ」
カマルの胸に顔を押し付ける。
きっと間抜けな顔で寝ていたに違いない。
何度も達して体のどこにも力が入らない。
カマルも布団に潜り込むと、月亜を抱きしめた。
その表情はとても満足気だ。
「起こしてすまない。もっと寝ていていい」
「カマルさんこそ、寝てください。俺だってたまにはカマルさんの寝顔が見たいです」
普段から月亜のほうが先に寝て、朝は起きるのは遅い。
別段、月亜が寝坊をしているわけではなく、カマルが起きるのが早いのだ。
月亜はカマルの寝顔はほとんど見たことがない。
なので寝顔が見たいと言うのは、満更嘘ではなかった。
カマルの懐にすっぽりと治まり、また意識が虚になってきた頃、フッと喋り始めた。
「二人目のお子が欲しいか、と聞いたな」
「あ、はい。シオンももう三歳ですし、考えてもいいのかなって思ってはいました。でも、カマルさんの意志を大事にしたいんです」
「ルアは、モリスと俺のことを考えているんだろう? モリスのことなら気にしなくていい。あれは自分で決意したことだ」
弟を恨んではいないと言った。
これまでこの話題を避けていたように感じていたが、もうカマルの中では解決したのかもしれない。
それなら、月亜はカマルが自ら喋らないことまで聞き出そうとは思わなかった。
「兄弟がいれば楽しいと思う」
カマルが月亜の髪を撫でながら言う。
「俺もそう思います。色々と刺激もあるでしょうし」
「しかしシオンも大切だが、ルアの体が一番だからね」
「それは分かっています」
カマルはずっと弟のことを思い出しているのだろうと思っていたが、本当は月亜の体調を気遣っていたようだ。
シオンを妊娠中、月亜は悪阻が酷くてほとんど食べられないでいた。
自分も思い出そうとすれば記憶を蘇らせることができるが、普段はすっかり忘れている。
カマルの方が鮮明に覚えてるのに驚いた。
確かにあの悪阻を二度は味わいたくない。
でも妊娠しなければ分からないので、そこはなんとも言い難い。
「それに……妊娠中、ルアを抱けないのも我慢できない」
カマルはこれが本音だろうと月亜は思った。
やはり、シオンの弟か妹は諦めてもらうしかない。
ポロリとこぼした本音に、月亜は思わず笑ってしまった。
「私にとっては大問題だ」
「くすくす……。分かっています。俺だって、抱いて欲しくて仕方ありませんでしたから」
「でも、授かった時は本当に産んでほしいと思っているよ」
月亜がカマルに足を絡める。
「勿論です」と返すと、また夢の中へと入っていった。
「もう、朝か……」
「ずっと起きてましたか?」
カマルの呟きで目が覚めた月亜は、少し肌寒くて布団に潜り込んだ。
「ルアの寝顔を楽しんでいた」
「そんなの、見なくていいですよ」
カマルの胸に顔を押し付ける。
きっと間抜けな顔で寝ていたに違いない。
何度も達して体のどこにも力が入らない。
カマルも布団に潜り込むと、月亜を抱きしめた。
その表情はとても満足気だ。
「起こしてすまない。もっと寝ていていい」
「カマルさんこそ、寝てください。俺だってたまにはカマルさんの寝顔が見たいです」
普段から月亜のほうが先に寝て、朝は起きるのは遅い。
別段、月亜が寝坊をしているわけではなく、カマルが起きるのが早いのだ。
月亜はカマルの寝顔はほとんど見たことがない。
なので寝顔が見たいと言うのは、満更嘘ではなかった。
カマルの懐にすっぽりと治まり、また意識が虚になってきた頃、フッと喋り始めた。
「二人目のお子が欲しいか、と聞いたな」
「あ、はい。シオンももう三歳ですし、考えてもいいのかなって思ってはいました。でも、カマルさんの意志を大事にしたいんです」
「ルアは、モリスと俺のことを考えているんだろう? モリスのことなら気にしなくていい。あれは自分で決意したことだ」
弟を恨んではいないと言った。
これまでこの話題を避けていたように感じていたが、もうカマルの中では解決したのかもしれない。
それなら、月亜はカマルが自ら喋らないことまで聞き出そうとは思わなかった。
「兄弟がいれば楽しいと思う」
カマルが月亜の髪を撫でながら言う。
「俺もそう思います。色々と刺激もあるでしょうし」
「しかしシオンも大切だが、ルアの体が一番だからね」
「それは分かっています」
カマルはずっと弟のことを思い出しているのだろうと思っていたが、本当は月亜の体調を気遣っていたようだ。
シオンを妊娠中、月亜は悪阻が酷くてほとんど食べられないでいた。
自分も思い出そうとすれば記憶を蘇らせることができるが、普段はすっかり忘れている。
カマルの方が鮮明に覚えてるのに驚いた。
確かにあの悪阻を二度は味わいたくない。
でも妊娠しなければ分からないので、そこはなんとも言い難い。
「それに……妊娠中、ルアを抱けないのも我慢できない」
カマルはこれが本音だろうと月亜は思った。
やはり、シオンの弟か妹は諦めてもらうしかない。
ポロリとこぼした本音に、月亜は思わず笑ってしまった。
「私にとっては大問題だ」
「くすくす……。分かっています。俺だって、抱いて欲しくて仕方ありませんでしたから」
「でも、授かった時は本当に産んでほしいと思っているよ」
月亜がカマルに足を絡める。
「勿論です」と返すと、また夢の中へと入っていった。
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