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続編 カマルとルアの子育て編
ナタンを暴く
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ナタンは小刻みに震えている。悪態をついてきた割にはカマルに怯えているのか。
胸ぐらを掴んだ手を緩めた。
「久しぶりに会って、私と喧嘩をしにきたのか?」
「…………」
ナタンは罰の悪い顔のまま、黙り込んでしまった。
カマルは確かに年下ではあるが、そんなのは気にしたことがない。ナタンとは歳の差など気にしない子供の頃にしか接触がなかった。
それにカマルはナタンよりも先に国王になったとはいえ、それはハワードの意思のもとだ。
ナタンもいずれは国王になる。
それならば同志ではないかと、考えていた。
しかしナタンはそうではない様子だった。
「何か言いたいことがあるなら言ってくれ。ナタンは何故、ルアのバース性をそんなに気にしているんだ?」
「……別に……気にてしなど……」
「しらばっくれるな!! ルアからオメガの匂いを確認されたと聞いている!」
それでも知らぬ存ぜぬを突き通す素振りを見せたので、カマルも我慢の限界に達した。
「言わぬなら、ダリエ家との付き合いもこれまでだ。それで良いな?」
「そっ! それは……」
家族ぐるみで仲が良いとはいえ、プラテネスはこの周辺で一番大きな国である。友好関係を個人の都合で崩すわけにはいかないナタンは、ようやく口を開けた。
「君が……まさかオメガを王妃に選ぶとは思っていなかった」
「それはナタンには関係のない話だ。私の紋は龍。龍は運命の番としか結ばれない。だから必然的に相手はオメガだ。それを何故ナタンが気にするのだ?」
するとナタンは、本当は過去に好意を寄せた人がオメガだったと話し始めた。しかし、いくら公爵家の娘とはいえ、オメガでは結婚を許可してくれないだろうと思い、諦めた。
結局は親の政略結婚で今のアルファの女性と一緒になったが、とても気が合わなくて居心地が悪いと嘆いた。
「そんな時に、ここへ来た。清楚なオメガの王妃様を見て羨ましく思った」
「では自分の鬱憤を晴らすために、ルアを困らせたと言うのだな?」
「そこまで嫌がっているとは思っていなかった。すまない……」
「その行為自体が許せない。大体、王太子であるナタンが何故、居心地の悪い思いをするのだ? アルファ同士なのだろう?」
そこでナタンは再び黙り込んだ。
カマルは、ナタンが月亜を揶揄った本当の理由はまだ言っていないだろうと睨んだ。
「ナタンがルアを揶揄う一番の理由を言え」
「……紋が……」
「紋? 召喚獣のタトゥー?」
「……君の妻はオメガのくせに龍の淫紋なんて……」
「くせに、とはなんだ!! 言葉を慎め!!」
「ヒィ……すすすまない」
そしてようやく吐いた事実。
自分はアルファなのに、召喚獣のタトゥーは草食獣なのだと……。
「そんなことでルアを?」
「そんなことなんかじゃない!! アルファなら強い肉食獣の紋が出るのが当たり前だ。それなのに、僕の紋は兎なんだぞ!! 妻は獅だというのに! おかげで僕の方がオメガ扱いだ」
ナタンは声を出して泣き喚いた。
こんな屈辱は生まれて初めて味わったと言った。
「それは君が悪いんじゃない。妃殿下とよく話し合う必要がある。国王様に話を通そう」
「話し合うものか。あんなやつ……やはり僕もオメガを選べばよかった」
「ナタンのそういう考えも良くない。何度も言うが、私は運命の番しか選べないのだ。それがルアでよかったと思っている。私はルアを愛しているんだ。だから、君がどんな理由を持っていても、ルアを傷つけることは許さない。今後の君を見ている」
「…………」
ナタンはそれ以降、何も喋らず帰っていった。
胸ぐらを掴んだ手を緩めた。
「久しぶりに会って、私と喧嘩をしにきたのか?」
「…………」
ナタンは罰の悪い顔のまま、黙り込んでしまった。
カマルは確かに年下ではあるが、そんなのは気にしたことがない。ナタンとは歳の差など気にしない子供の頃にしか接触がなかった。
それにカマルはナタンよりも先に国王になったとはいえ、それはハワードの意思のもとだ。
ナタンもいずれは国王になる。
それならば同志ではないかと、考えていた。
しかしナタンはそうではない様子だった。
「何か言いたいことがあるなら言ってくれ。ナタンは何故、ルアのバース性をそんなに気にしているんだ?」
「……別に……気にてしなど……」
「しらばっくれるな!! ルアからオメガの匂いを確認されたと聞いている!」
それでも知らぬ存ぜぬを突き通す素振りを見せたので、カマルも我慢の限界に達した。
「言わぬなら、ダリエ家との付き合いもこれまでだ。それで良いな?」
「そっ! それは……」
家族ぐるみで仲が良いとはいえ、プラテネスはこの周辺で一番大きな国である。友好関係を個人の都合で崩すわけにはいかないナタンは、ようやく口を開けた。
「君が……まさかオメガを王妃に選ぶとは思っていなかった」
「それはナタンには関係のない話だ。私の紋は龍。龍は運命の番としか結ばれない。だから必然的に相手はオメガだ。それを何故ナタンが気にするのだ?」
するとナタンは、本当は過去に好意を寄せた人がオメガだったと話し始めた。しかし、いくら公爵家の娘とはいえ、オメガでは結婚を許可してくれないだろうと思い、諦めた。
結局は親の政略結婚で今のアルファの女性と一緒になったが、とても気が合わなくて居心地が悪いと嘆いた。
「そんな時に、ここへ来た。清楚なオメガの王妃様を見て羨ましく思った」
「では自分の鬱憤を晴らすために、ルアを困らせたと言うのだな?」
「そこまで嫌がっているとは思っていなかった。すまない……」
「その行為自体が許せない。大体、王太子であるナタンが何故、居心地の悪い思いをするのだ? アルファ同士なのだろう?」
そこでナタンは再び黙り込んだ。
カマルは、ナタンが月亜を揶揄った本当の理由はまだ言っていないだろうと睨んだ。
「ナタンがルアを揶揄う一番の理由を言え」
「……紋が……」
「紋? 召喚獣のタトゥー?」
「……君の妻はオメガのくせに龍の淫紋なんて……」
「くせに、とはなんだ!! 言葉を慎め!!」
「ヒィ……すすすまない」
そしてようやく吐いた事実。
自分はアルファなのに、召喚獣のタトゥーは草食獣なのだと……。
「そんなことでルアを?」
「そんなことなんかじゃない!! アルファなら強い肉食獣の紋が出るのが当たり前だ。それなのに、僕の紋は兎なんだぞ!! 妻は獅だというのに! おかげで僕の方がオメガ扱いだ」
ナタンは声を出して泣き喚いた。
こんな屈辱は生まれて初めて味わったと言った。
「それは君が悪いんじゃない。妃殿下とよく話し合う必要がある。国王様に話を通そう」
「話し合うものか。あんなやつ……やはり僕もオメガを選べばよかった」
「ナタンのそういう考えも良くない。何度も言うが、私は運命の番しか選べないのだ。それがルアでよかったと思っている。私はルアを愛しているんだ。だから、君がどんな理由を持っていても、ルアを傷つけることは許さない。今後の君を見ている」
「…………」
ナタンはそれ以降、何も喋らず帰っていった。
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