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続編 カマルとルアの子育て編
シオンは強い!?
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「うっ……。イタタ……」
月亜は昨日の行為で朝から全身が怠い。
起きあがろうとしても、腰がズンっと重く感じられる。
カマルと仲直りできたのは良かったが、元はといえば、あのナタンという男がいけないのだ。
冷静になって考えれば原因はナタンだと分かるのに、気が滅入っている時は判断が鈍る。
怒っているカマルは少し怖かった。
自分を大切に想ってくれるのは幸せなことだが、今後はカマルに誤解されるような行動は控えようと心に誓った。
カマルも、自分が不在の時にナタンと月亜を二人きりにしないよう、ハワードへ伝えておくと言ってくれた。
「ルアはゆっくり休むといい。今日は私がシオンと出かけてくるとしよう」
「ありがとうございます。パレードのコースを一度連れて行ってもらえませんか? 距離が長いから、練習も兼ねて」
「ああ、そうするとしよう」
本当は月亜も同行したいが、この体では無理だ。
シオンの三歳の誕生日にパレードを執り行なうと決めたのは、ハワードである。
どうしても国民に孫を自慢したいと、権力を最大限に活かすようだ。
実はシオンが生まれてから、毎年この時期になるとパレードをすると言っていた。
それはどうやら、隣国の国王であるダリエ様から感化されているようであった。
ナタンの子が生まれてから、隣国では毎年誕生日パレードをしている。
その話を毎年自慢されるのが悔しいのだろう。
しかし、月亜は目立つのが本当は苦手で、カマルは好きな人を囲いたくなるタイプ。
それでずっとパレードを反対していた。
一番の理由は、シオンの負担が大きいことだ。
パレードとなると、半日は馬車に乗り続けなければいけない。
動きたい盛りの子供に、半日もお行儀よく座っていろなんて可哀想だ。と家族中に反対されていた。
それが宰相であるべメットにまで諭されたものだから、ハワードも渋々了承していたのだった。
「ままーーー!!」
寝室で横になっていると、シオンが飛び込んできた。
悲劇は繰り返されるのか……。自然と腹に力が入る。
どうして子供というのは寝たい時に限って起こしにくるのだろう。
「なぁに? シオン。今日はダッドとお出かけでしょう?」
「ままも、いっしょにいく」
ベッドによじ登ると、腕にしがみ付いてきた。
「ままも一緒に行きたかったんだけどね。今日は体が痛いから寝てるね」
「いたい?」
ハッとした時には遅かった。
「なんで?」
最近のシオンは直ぐになんで? と聞いてくる。納得がいくまで聞いてくるのはいいが、そのうちこっちが答えられなくなるまで「なんで?」は続く。
今まさに「なんで?」のスイッチを押してしまったようだ。
「昨日ね、ちょっと動きすぎて」
「なんで? なにしたの? しおんもできる?」
「シオンは———まだできないなー」
「なんで? しおん、つよいよ!」
両手で力コブを作るポーズをとる。実際にはシオンも月亜に似て華奢だ。
でも毎日カマルやハワードの逞しい身体を見ているからか、自分もムキムキでかっこよくなりたいという想いが強いらしい。
こういう時は大体「かっこいいよ」と伝えると、上機嫌でハワードにも見せに行くのだが、今日は意地でも月亜と一緒にお出かけしたいようだ。
結局、カマルに無理やり連れて行ってもらったのだが、月亜の身体が痛い原因がどうやらカマルにあると、子供でも気づくような口ぶりだったので、月亜は内心ハラハラした。
シオンがそれほどカマルの言うことを聞いていないのが、今回ばかりは救いだった。
いつも通り、シオンはカマルに対して悪者をやっつけるような戦いごっこをしながら連れられて行った。
「くすくす……。あの二人、性格はまるで同じだな」
背中を見送りながら、二人にバレないようにコッソリ笑った。
月亜は昨日の行為で朝から全身が怠い。
起きあがろうとしても、腰がズンっと重く感じられる。
カマルと仲直りできたのは良かったが、元はといえば、あのナタンという男がいけないのだ。
冷静になって考えれば原因はナタンだと分かるのに、気が滅入っている時は判断が鈍る。
怒っているカマルは少し怖かった。
自分を大切に想ってくれるのは幸せなことだが、今後はカマルに誤解されるような行動は控えようと心に誓った。
カマルも、自分が不在の時にナタンと月亜を二人きりにしないよう、ハワードへ伝えておくと言ってくれた。
「ルアはゆっくり休むといい。今日は私がシオンと出かけてくるとしよう」
「ありがとうございます。パレードのコースを一度連れて行ってもらえませんか? 距離が長いから、練習も兼ねて」
「ああ、そうするとしよう」
本当は月亜も同行したいが、この体では無理だ。
シオンの三歳の誕生日にパレードを執り行なうと決めたのは、ハワードである。
どうしても国民に孫を自慢したいと、権力を最大限に活かすようだ。
実はシオンが生まれてから、毎年この時期になるとパレードをすると言っていた。
それはどうやら、隣国の国王であるダリエ様から感化されているようであった。
ナタンの子が生まれてから、隣国では毎年誕生日パレードをしている。
その話を毎年自慢されるのが悔しいのだろう。
しかし、月亜は目立つのが本当は苦手で、カマルは好きな人を囲いたくなるタイプ。
それでずっとパレードを反対していた。
一番の理由は、シオンの負担が大きいことだ。
パレードとなると、半日は馬車に乗り続けなければいけない。
動きたい盛りの子供に、半日もお行儀よく座っていろなんて可哀想だ。と家族中に反対されていた。
それが宰相であるべメットにまで諭されたものだから、ハワードも渋々了承していたのだった。
「ままーーー!!」
寝室で横になっていると、シオンが飛び込んできた。
悲劇は繰り返されるのか……。自然と腹に力が入る。
どうして子供というのは寝たい時に限って起こしにくるのだろう。
「なぁに? シオン。今日はダッドとお出かけでしょう?」
「ままも、いっしょにいく」
ベッドによじ登ると、腕にしがみ付いてきた。
「ままも一緒に行きたかったんだけどね。今日は体が痛いから寝てるね」
「いたい?」
ハッとした時には遅かった。
「なんで?」
最近のシオンは直ぐになんで? と聞いてくる。納得がいくまで聞いてくるのはいいが、そのうちこっちが答えられなくなるまで「なんで?」は続く。
今まさに「なんで?」のスイッチを押してしまったようだ。
「昨日ね、ちょっと動きすぎて」
「なんで? なにしたの? しおんもできる?」
「シオンは———まだできないなー」
「なんで? しおん、つよいよ!」
両手で力コブを作るポーズをとる。実際にはシオンも月亜に似て華奢だ。
でも毎日カマルやハワードの逞しい身体を見ているからか、自分もムキムキでかっこよくなりたいという想いが強いらしい。
こういう時は大体「かっこいいよ」と伝えると、上機嫌でハワードにも見せに行くのだが、今日は意地でも月亜と一緒にお出かけしたいようだ。
結局、カマルに無理やり連れて行ってもらったのだが、月亜の身体が痛い原因がどうやらカマルにあると、子供でも気づくような口ぶりだったので、月亜は内心ハラハラした。
シオンがそれほどカマルの言うことを聞いていないのが、今回ばかりは救いだった。
いつも通り、シオンはカマルに対して悪者をやっつけるような戦いごっこをしながら連れられて行った。
「くすくす……。あの二人、性格はまるで同じだな」
背中を見送りながら、二人にバレないようにコッソリ笑った。
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