【完結】満月に導かれし龍の淫紋 〜運命の番は闇落ち王子〜

亜沙美多郎

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本編

番う時 ★R-18

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「ルア、空を見て? 大きな満月だ」

 窓に向かい、横たわっている月亜の背後から、カマルが体を重ねている。

 窓越しには、大満月が空を占領するかの如く光り輝いていた。その光は夜とは思えないほど明るい。森の木々を幻想的に照らしている。

 森の中はあの地鳴りの後からずっと騒がしい。

 この近くまで、モリスたちの毒が広がっているようであった。

 召喚獣の雄叫びや悲鳴までもが聞こえてきていた。

 カマルは少しでも月亜が森の状況に気を取られないよう配慮する。アルファのフェロモンを絶えず出し続け、月亜の平常心を奪った。

「あっ、ふぅ、ん……月が、きれい……ですね」

「ああ、とても綺麗だ。こんな日にルアと番になれるなんて、私は幸せ者だ」

 カマルが背後から月亜の中を蹂躙していく。月亜の双丘の谷間からは、オメガの分泌液が流れ出していた。カマルの昂りはゆっくりと月亜の奥へと侵入する。

 カマルの存在を確かに感じながら、月亜は恍惚とした表情を見せた。

 後ろを振り向きキスを求める。

 唇を重ねると、カマルの舌が月亜の唇を割って入ってきた。

 吐息と共に絡み合う舌からは淫靡な水音がやけに大袈裟に響く。

 
 カマルの手が月亜の屹立に伸びてきた。先端からスッと根本まで指を滑らすと、繊細な手で掴み扱き始めた。

「はぁっ! 後も両方は……ぁぁあっ! はぁぁっ」

「沢山感じて、ルア。君のオメガのフェロモンがもっともっと必要なんだよ」

 カマルは腰をグッと押し込む。

「っんんん!! 奥……這入って……あっ……ん……」

 奥の気持ちいいところにカマルの男根が届くと、月亜は背中を仰け反らせて孔の中をギュッと締めた。

「甘い香りだ。ルアのフェロモンは、どんな花よりも甘く官能的だ」

 カマルが頸に鼻先を滑らせる。月亜は艶めいた息を吐いた。

 もうすぐにでも動いて欲しいのに、カマルは月亜の中をグッと押し上げたまま止まっている。

 期待が膨らむほどに腰の奥が疼く。



 しばらく這入れたまま止まっていたカマルの腰が揺れ始めた。屹立を扱く手も止めないので、月亜の先端からは直ぐに愛蜜が滴り落ちた。

「すぐイっちゃう……んぁあああっ!!」

「いいよ、一回射精そうか」

 カマルは激しく腰を揺らすわけでもない。しかしその男根は月亜の子宮までしっかりと届いていた。

 締め付ける媚肉がより神経を刺激する。

「あっあっ! ……い、イく~~~っっっ!!!!」

 白濁が壁にまで飛び散る。

 番うまでは我慢したかったが、カマルの体力とはあまりにも差がありすぎた。先に達してしまったのは内心ショックだった。

「ルア、うつ伏せになって」

 挿入したまま四つん這いの体勢になると、今度こそカマルは激しく突き始めた。

 絶頂に達したばかりの月亜は、感度が増している。

 突かれるたびに自分の中から卑猥な音が伝わってくる。カマルが注挿を繰り返すたびに分泌液が腿にまで垂れてきた。

「ルアの中、気持ちいいよ」

 優しく声をかけると、月亜は嬉しくて顔を蕩かせた。

「カマルさんも……気持ち……いいの?」

「ああ、ルアを触っているだけでも幸せな気分になるが、中はもっと気持ちいい」

「ふふ……嬉し……ぁあっ」

 カマルの男根に亀頭球が現れた。そして犬歯が牙のように尖る。いよいよ“その時”を迎える準備が整った。

「ルア、イくよ」

「きて……全部、俺の奥に出して……! んぁあああああ~~~っっ!!!」

 カマルが注挿を早め、月亜の腰を掴む手に力を込める。

「っく……噛むよ……」

 絶頂に達すると共に、月亜の頸に思い切り噛み付いた。

 カマルの牙は皮膚を突き抜け、さらに首の筋をも突き破り、深いところまで達していた。

「はぁっっ!」

 気を失うほどの痛みが体を突き抜ける。そして、やっと番になれたという達成感にも似た多幸感に包まれた。

 カマルは月亜の頸を噛んだまま吐精を続ける。月亜が孕むようにと、時間をかけて……。

 月亜の中に、カマルの精液がたっぷりと注がれていく。

 腹の奥がじんわりと温かくなるのを感じると、月亜は一層幸せな気持ちになった。

 数分、そうしていただろうか。

 カマルの犬歯が元通りになると、ゆっくりと頸から顔を上げた。

 月亜の頸は出血し、くっきりとカマルの歯型が付いていた。

「ルア……」

「カマルさん、俺たちやっと」

「そうだ。番になれた!!」

 対面してしっかりと抱きしめ合う。力強く。

 この日をどんなに心待ちにしていただろう。

 思い返しても、この一ヶ月間ほど長く感じたことはない。


 ようやく番えた喜びは、何にも変え難い幸せである。

 カマルも月亜も感動の涙を流した。

 見つめ合いキスをする。

「ずっと隣でいてくれ、ルア」

「勿論です。カマルさんこそ、俺を離さないでくださいね」

 再び抱きしめ合い、喜びを分かち合った。

 

 このまま番になれた喜びに浸っていたいが、そうはいかない。二人には、一番重要な任務があるのだ。

「ルア、動ける?」

「大丈夫です! この一ヶ月で鍛えられましたから!」

「ふふ……私の番は頼もしい」

 頬に軽くキスをすると、簡単にシャワーを済まし、いよいよ龍の召喚へと乗り出した。
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