【完結】満月に導かれし龍の淫紋 〜運命の番は闇落ち王子〜

亜沙美多郎

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本編

カマルの容態 ★R-18

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 カマルの匂いだけで疼く体を抑えられない。

 自分のものが昂っている。カマルが触ってくれるのを想像しただけで鳥肌が立つ。

「はぁ、あっ、くぅ、ん……」

 根本から自分の手で扱いているのに、カマルにしてもらっているような錯覚に囚われる。

《ルア……》

 生々しい声が耳に響くが、これも妄想でしかない。分かっていても、掠れた低い声を思い出しただけで月亜の発情を促していく。

「カマルさ……」

 前を扱くだけでは足りない。月亜は窄まりにもう片方の手をやる。指の腹を当てると、体がビクンと仰け反った。

 少しずつ指を中に入れる。

「あっ、あっ……入る……はぁ……」

 カマルに蹂躙されたのを真似しながら弄る。でも自分の指では気持ちいいところまでは届かない。

 目の前に愛おしい人がいるというのに、自分だけこんな状態になっているのは羞恥でしかない。しかし、発情の症状が強くなるほどに、カマルの匂いも強くなる。

「はぁ、はっ……あっ、んん、んぁ……」

 昂りの先端からは透明の蜜が溢れている。前も後ろもしとどに濡れた。

「カマル。カマル。ぁあ……はぁ……」

 いけないとは思いながらも、腰を揺らすのを止められない。

 カマルの太腿に昂りを擦り付けると、さらに興奮が押し寄せてきた。

「カマル……抱いてよぉ……一人は嫌だよ……んんっ、はぁ、あっ、あっ……」

 愛蜜の溢れた先端を、カマルの腿に押し付けるのは背徳感を感じる。それでも、どうしても止められない。

「い、イくっ!   イくぅぅ~~~~」

 昂りの奥から熱の塊が弾け、月亜の愛液がカマルの腿に飛び散った。

「カマルさん……」いくら呼んでもカマルは意識を失ったままだ。もし命が尽きているのであれば、月亜が発情するわけがない。龍の紋を持つ二人は運命の番にしか発情しない。

 だからカマルは確かに生きていて、月亜を求めている。

 そして月亜も強くカマルを求めている。発情の症状は酷くなる一方だ。月亜のフェロモンの分泌も増しているだろうに、カマルは顔色を失ったまま眠っているだけだった。

「苦しい……カマルさん、すぐ隣にいるのに……カマルさんが欲しいよ」

 泣きながら再び口付ける。

 抑制剤の一つでも持っていれば、少しくらいは楽になれたかもしれない。しかし、今まで発情もしたことのない月亜は薬を持っているどころか、抑制剤を飲んだこともない。

 オメガの発情期がこんなにも苦しいというのも初めて知った。

 射精をすると楽になると、友人が話しているのを聞いたことがるが、全く楽になれなかった。それどころか、カマルの匂いに翻弄されるように、発情が酷くなるのだ。

 最終的には、動かないカマルの体に馬乗りになって口付けた。腰を揺らし、カマルの腹に自分の窄まりから流れ出る分泌液を塗りつける。昂った先端も、同時に腹で擦れて過敏に反応している。垂れる透明の蜜も、お構いなしにカマルの腹に塗りつけた。

 いけないことをしているような気持ちになるが、やめられない。精液が一番効くとカマルも言っていた。カマルの中心が反応しないなら、皮膚から吸収すればいいと考えたのだ。

 月亜はカマルの匂いに包まれ、肌が触れ合うだけで絶えず発情している。

 気付けば外はすっかり月が顔を出していた。カマルはまだ目を覚ます様子はないが、月亜はこのまま眠れぬ夜を迎える覚悟もしていた。

 オメガの発情期は一週間ほど続く。特に最初の三日くらいは症状がキツイと学校で習った。

 オメガの友人も僅かにいたが、こんなにも辛い日々を過ごしていたのかと、ようやく共感することができた。

 明日はもっと症状が悪化するだろう。でも、月亜は隣にカマルがいてくれるのは幸せだと思っている。他のオメガは一人で耐えているのだ。自分が番になる人が一緒にいてくれる。心細い日々を過ごさなくてもいい。

 幸せではあるが、翌朝まで月亜は寝落ちしては発情の症状で起こされ、自慰で果てる。この繰り返しに、虚しさは否めなかった。折角運命の番がすぐ隣にいるのに、自分のフェロモンが届いてないのかも……と疑心暗鬼になってしまう。

 諦めずに一夜を乗り越えられたのは、月亜はカマルが求められている時に発情すると知っているからだ。

 こんなにも発情しているということは、それだけカマルは月亜の体液を欲している、何よりの証拠なのだ。

 もう何度自慰で果てたか分からない。精液だってサラサラになっている。

 夜が終わりを告げるように、真っ黒な空から濃紺に変わった頃、とうとう力尽きて月亜は眠った。

 夢の中ではカマルは闇が完全に祓われていて、火傷痕のような肌は元の白肌に、ケロイドだって無くなっていた。

 サラサラの髪が風になびいている。笑かけてくれているのは分かるが、目を凝らしてもはっきりと顔が見えないのが残念だった。

 それでも優しく月亜を包み込んでくれるのは、闇堕ちしていた頃から変わらない。

 暖かい温もりの中で、月亜は心地よく眠っていた。

 
 日が高く昇った頃、目覚めた月亜は驚嘆した。
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