上 下
100 / 221
二章~アシル・クローシャー編~

11 アシルの発情期⑥ ★

しおりを挟む
「や……止まんない……」
 また潮を噴いてしまった。産後から、どうも変な癖がついてしまっていた。
 困ったのは、エリアス様がこうなるまでぼくを責め続けることだ。
 それをとても嬉しそうに微笑むエリアス様を見ると、何も言えない。
 だってエリアス様は、ぼくから分泌される全ての液を飲み干したいとまで言うのだから。
 それは流石に汚いですと言ったことがあるのだが、「アシルはとても綺麗だ。私の天使……」と抱きしめられる。

 ここまで感じてしまうのは発情期の時くらいだけれど、潮を吹いた後は絶頂を味わい続ける。体がそれを求めているし、エリアス様はそれに応えるだけの体力とテクニックを持ち合わせていた。なので、まだ一度も果ててないエリアス様は、この後、自分が果てるまで止まらずぼくを突き続けるのだ。
 それを想像しただけでも全身が戦慄く。
 
 両脇から伸ばした手で双丘を鷲掴みにすると、再び激しく揺すり始める。
「ほら、もっと感じてくれ。アシル」
「あっんぁ……だめ……今、揺らさないで……はぁ、んぁぁっっ」
 内襞を擦る男根は熱を保ったまま、またぼくを快楽の海へと沈めていく。
 口では体を休めたいと発しても、本能は疼くばかり。
 発情期に入ったばかりのこの体は、欲情のほのおを絶やさず燃やし続ける。早くエリアス様の熱をこの体に注いで欲しい。
 しかしそれは、自ら請うまで与えては貰えない。

 厭だとは簡単に言えても、欲しいと言うのには未だに抵抗がある。早く理性を失ってしまいたい。そうすれば、欲のままエリアス様を求められるのに……。

「さぁ、アシル。君の欲しているものを教えてくれ」
 エリアス様から促され、ようやく「この中に性を注いでください」と強請ることができた。
 その瞬間から、律動が激しさを増す。
 孔の奥で攪拌されたオメガの液が卑猥な音を立て、二人を濡らしてしまうほど溢れ出している。エリアス様はわざとその音を聴かせるようにオーバーに体を揺すった。
「あ、ぁん、また……果ててしまう……んんぁ、ん……」
 ただでさえ絶頂を味わい続けている体は、快楽に鋭敏に反応し、突かれる度に嬌声を上げる。
 エリアス様も恍惚とした表情でぼくを見つめると、「射精すっ!」と、余裕のない力んだ声で呟き、腰を深く突き上げ白蜜を迸らせた。
 ぼくはエリアス様の背中に爪を立て、共に絶頂へと達したのだった。

「あ……くる……中に、入って……」
 じんわりと暖かくなる下腹にそっと手を添える。エリアス様の方に頭を乗せ、注がれる白蜜を感じて陶酔した。
「これで満足したのかい?」
 耳朶を甘噛みしながらエリアス様が問う。ぼくはかぶりを振り「もっと繋がっていたいです」と自分の精一杯を伝える。
 エリアス様は吐精を続けながら舌を耳に侵入させた。
 グチュリと淫靡な音が直接脳を刺激し、くすぐったくて肩を竦めた。
「ふ、ん……」
「かわいい君がもっと見たい」
「ひゃん……」
 耳元で囁かれると、また劣情を唆られ、オメガの本能が疼いてしまう。それを狙ってやっていると分かっていても、喜悦する感情は止められない。

 激しく互いの唇を求め、激しく舌を絡ませた。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れているのを見たニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが…… ◆明けましておめでとうございます。昨年度は色々ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。あまりめでたくない暗い話を書いていますがそのうち明るくなる予定です。

婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ

秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」  ワタクシ、フラれてしまいました。  でも、これで良かったのです。  どのみち、結婚は無理でしたもの。  だってー。  実はワタクシ…男なんだわ。  だからオレは逃げ出した。  貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。  なのにー。 「ずっと、君の事が好きだったんだ」  数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?  この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。  幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~

楠ノ木雫
BL
 俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。  これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。  計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……  ※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。  ※他のサイトにも投稿しています。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

処理中です...