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一章~伊角光希編~
81 泣き崩れたロラ
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二人とも気を失ったまま眠っていたものだから、その後は大変だった。
夕食の時間になっても顔を見せない僕とエリアス様を心配して、ロラが部屋を訪ねた時、確かに気配は感じるのに姿が見えない。
普段は掃除の時にしか入らない寝室であるが、万が一の事を考え部屋を覗くと、ベッドで真っ裸の二人が熟睡しているではないか。
ロラはエリアス様を叩き起し、妊婦になんて事をしているのかと、説教をしたそうだ。
そして暖かいシーツを手早く準備し、僕をぐるぐる巻きにした。じんわりと暖かくなった時、僕はようやく目を覚ました訳だが、目の前には勿論、ご立腹のロラが立ちはだかっていた。
エリアス様を見ると、申し訳なさそうに僕を見ている。
言い訳をする暇もなくロラは湯浴みの準備をし、僕たちを入浴させた。
ここまでの手際の良さに感心している場合ではないが、とにかく話を聞いてくれとエリアス様と二人でロラを説得し、番になったことを告げると、今度は号泣し始めた。
「ロ、ロラ?」
「私もアシルも、突然の発情期にこうする他なかった。元々、次の発情期に番になると約束していたし、アシルは強いヒートに意識を失っていた。助けるためにも、最善の策が番になることだったのだ」
「僕も、エリアス様がこうしてくれないと、きっと赤ちゃん共々命を落としたかもしれません。このタイミングで番になれたことは本望です」
どんなにロラに言い訳を重ねても、しばらくの間、ロラは泣きすぎて喋れない状態が続いた。
広いバスタブの隣で、タオルに顔を押し当て泣いているロラに何度も謝る。
僕もエリアス様も、ロラに悲しい思いをさせたくない。前触れもなく番になり、驚かせてしまった事には変わりない。
赤ちゃんは今もお腹を蹴って元気そうです……と、誰に対しての励ましなのかも分からない言葉を掛けた時、ロラは泣きながら「おめでとうございます」と言ってくれた。
「怒ってるんじゃないのか?」
「そりゃ、裸出て寝ていたのは怒りましたけれども、番になられただなんて……私が一番に知ってしまい、申し訳ないですが、本当に嬉しいです」
「ロラ……僕は、ロラに一番に伝えられて良かったと思ってます」
「その通りだ。アシルが記憶を失ってから、ずっとロラが支えてくれていた。私も、感謝している」
ロラはさらに泣いて「とんでもないお言葉……」と言ったきり、喋れ無くなってしまった。
お辞儀だけしてバスルームを後にした。
夕食の時間になっても顔を見せない僕とエリアス様を心配して、ロラが部屋を訪ねた時、確かに気配は感じるのに姿が見えない。
普段は掃除の時にしか入らない寝室であるが、万が一の事を考え部屋を覗くと、ベッドで真っ裸の二人が熟睡しているではないか。
ロラはエリアス様を叩き起し、妊婦になんて事をしているのかと、説教をしたそうだ。
そして暖かいシーツを手早く準備し、僕をぐるぐる巻きにした。じんわりと暖かくなった時、僕はようやく目を覚ました訳だが、目の前には勿論、ご立腹のロラが立ちはだかっていた。
エリアス様を見ると、申し訳なさそうに僕を見ている。
言い訳をする暇もなくロラは湯浴みの準備をし、僕たちを入浴させた。
ここまでの手際の良さに感心している場合ではないが、とにかく話を聞いてくれとエリアス様と二人でロラを説得し、番になったことを告げると、今度は号泣し始めた。
「ロ、ロラ?」
「私もアシルも、突然の発情期にこうする他なかった。元々、次の発情期に番になると約束していたし、アシルは強いヒートに意識を失っていた。助けるためにも、最善の策が番になることだったのだ」
「僕も、エリアス様がこうしてくれないと、きっと赤ちゃん共々命を落としたかもしれません。このタイミングで番になれたことは本望です」
どんなにロラに言い訳を重ねても、しばらくの間、ロラは泣きすぎて喋れない状態が続いた。
広いバスタブの隣で、タオルに顔を押し当て泣いているロラに何度も謝る。
僕もエリアス様も、ロラに悲しい思いをさせたくない。前触れもなく番になり、驚かせてしまった事には変わりない。
赤ちゃんは今もお腹を蹴って元気そうです……と、誰に対しての励ましなのかも分からない言葉を掛けた時、ロラは泣きながら「おめでとうございます」と言ってくれた。
「怒ってるんじゃないのか?」
「そりゃ、裸出て寝ていたのは怒りましたけれども、番になられただなんて……私が一番に知ってしまい、申し訳ないですが、本当に嬉しいです」
「ロラ……僕は、ロラに一番に伝えられて良かったと思ってます」
「その通りだ。アシルが記憶を失ってから、ずっとロラが支えてくれていた。私も、感謝している」
ロラはさらに泣いて「とんでもないお言葉……」と言ったきり、喋れ無くなってしまった。
お辞儀だけしてバスルームを後にした。
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