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其の弐拾陸

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「慣れるまで、動かないでいよう」
 深く這入った飛龍の男根は、青蝶の奥を刺激し続けた。動かないことで、よりその存在感を思い知らされる。
「奥……当たって……はぁ、ん……」
「力を抜いて、青蝶。こんなに締め付けられれば、動けない」
「だって、おっきくて……んっんっ」

 腹の奥がキュッと引き締まる。爪先まで痙攣させ、時折腰がビクつく。
 自分の中に飛龍がいる。結合部から溶けて一体化したような感覚は、青蝶を法悦とさせた。

「自分で動いてみろ」
「そんなの、できません……」
 自ら動くなど、どうすれば良いのかさえ分からない。もしかすると、飛龍は青蝶の行っていた売春は、こういう行為も含めてやっていたと勘違いしているのではないかと予測した。しかし実際にしていたのは口淫だけで、その他の全ての行為は未経験だった。

 自分が行っていたのを、騙されていたと言って慰めてくれたが、不特定多数の男を相手にしていたのには変わりない。もしもそれで青蝶は経験豊富だと思われていたなら、それはとても悲しいことである。

「殿下がしてくれないと、僕は何も分かりません。口で奉仕する以外のことは、何もしたことがないのです」
 飛龍に抱きつき、正直に話した。
「……っ!! 誰にも、触れせてはいないのか?」
「そんなこと、されていません。僕は殿下しか知りません。口付けを教えてくれたのも、全て殿下です」
 飛龍は表情が固まったまま、じっと青蝶を見つめた。口が小刻みに震えている。
「青蝶……すまない。私は数多の男に妬いていた。他の者も、青蝶にこんな淫らな行為をしたのかと思うだけで、怒りが込み上げてきていた。そうか……何もなかったのか……」

 飛龍は大きく息を吐いた。
 青蝶の背に腕を回し「良かった」と呟いた。

「僕の全ては殿下だけのものです」
「あぁ、勿論そうだ。誰にも触れさせるものか。青蝶は私だけのものだ」
 
 一つに繋がったまま、唇を重ねる。優しくて官能的で、熱の籠った口付け。
 顔の角度を変えながら、より密着させていく。
 飛龍の舌が青蝶の歯列を辿り口腔に入ると、ねっとりと舌を絡めとる。飲み込みきれない唾液が、口の端から流れ出た。

「んっ……ふ、ん。あっ……」
 中にいる男根がさらに太く固くなった気がする。何度も達した青蝶の昂りは、飛龍によって幾度となく屹立させられる。これ以上の快楽が続けば、もうこの快感から逃れられないような中毒性を秘めていた。そのくらいに飛龍の男根は青蝶の気持ちいい所だけを刺激する。

 官能的な口付けで、さらに蕩けてしまいそうになる。

「青蝶、動くぞ」
 飛龍が言うと、下から腰を持ち上げ律動を始める。飛龍の腰にはオメガの液が垂れ流しになっていた。
 そんなこともお構いなしに、飛龍は腰を引いては突き上げる。

「んはっあ……あぁ……んっっ……」
 隘路あいろを太い男根に圧迫される。肉洞に亀頭が擦れる度に、青蝶は嬌声を上げた。
 一定のリズムを刻み、青蝶が上下に揺れる。

 飛龍は、さっき弄りすぎてズキズキしている胸の突起に吸い付いた。
「あっ、ここはさっき……」
「赤く腫れているな。こんな風に突き出しているなんて、私に触れて欲しいのだろう?」
「ちが……っ、あっ……ぁぁ……」

 乳首も孔も同時に責められ、また青蝶は絶頂に達するのを耐えている。中心には、いつでも白濁が飛び散る準備をして集まっていた。
 飛龍が律動を早めると、胸を甘噛みし、もう片方の突起を力強く摘む。

「あぁぁっっっ!! 射精る~~~~っっ!!!!」
 昂りに触れられることなく、青蝶は果てた。白濁とした愛蜜で、二人ともびしょ濡れだ。
「中が締まったな……」
「あっっ、気持ちい……はぁぁ、ん……もうだめ……」

 もう体力の限界を超えていた。何度達したかも覚えていない。
 ずっと抱いてほしいと願っていたが、こんなに激しく、気持ちいいのは想像を遥かに超えていた。ぐしょぐしょになったまま飛龍に凭れかかると、ゆっくりと寝かせてくれた。

「あっ、殿下の……」

 そこで青蝶は気付いてしまったのだ。飛龍はまだ果てていないということに。

「青蝶、其方が抱いてくれと言ったのだ。最後まで付き合ってくれ」
「こんなの……僕……あっ、そんなに広げないで」

 飛龍は仰向けに寝かせた青蝶の脚を広げて持ち上げた。その脚を飛龍の肩に掛けると、再び腰が揺れ始める。

「ぁあああっっ、もう、だめ……それ以上は……んぁぁあああっっ」
「煽ったのは青蝶だ。私は我慢していたのに。もう止まれないと言っただろう」

 腰を高く持ち上げられた位置から、飛龍の腰が打ち付けられる。その度に孔からオメガの液が飛び散った。青蝶は突かれる度に白濁を飛ばす。もう何をされても、快楽に正直に体が反応するようになっていた。
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