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第一話「怪獣決戦!お姉さまとの出会い」よろい怪獣ブルガアル とさか怪獣ネバン 登場
空を守る翼
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「なにこれ、気味悪っ!!」
鎧を来た人が多数の剣で貫かれている様子を象った銅像がトンネル入口前に立っていたので香燐は飛び退いた、お世辞にも趣味が良いとは言い難い。
「これ造った人の感性どうなってんのよ、ホラーゲームでもない限り有り得ないでしょ...あ?」
ドン引きする香燐の頭上から、獣の殺意が飛んできた。
「ひっ...まさか向こうから来るなんて!女子からモテてたのは過去の栄光!今は怪獣様からモテるわけね、まったく嬉しくないわよ!」
香燐が涙目になりながら急いでトンネルの中へと逃げ込んだ直後、さっきまでが彼女が居た場所に黒い嘴が突き刺さり巨大な穴を開けた。
「あっぶな...」
息を呑む香燐だが、本当に危ないのはここからだった。怪鳥はせっかく見つけたと思った餌が消えてしまった事により文字通り鶏冠にきた様で、地団駄を踏んで大地を揺らし、巨大な翼をブンブンと振り回し始めた。
「うげぇ!私を探してる...けどトンネル入ったとこ見てた癖にもう忘れたのかしら、鳥頭は怪獣でも変わらないのか」
香燐の感情は恐怖から呆れに変わる、聞いた話によれば、この怪鳥はヨーロッパの村を襲い一晩で二百人の人間を食い尽くしてしまった事もある恐ろしい存在なので、油断は禁物なのに。
「とにかく見つからないうちに出口から脱出しましょう...この中から怪獣の様子を撮影しながら」
パシャ、パシャ、緊張で心臓が止まりそうになりながらも香燐はシャッターを切り続ける、癇癪を起こして暴れる怪獣を撮影しながら後退りで出口を目指す。
しかし欲を張ったのは間違いだった、もっと早く脱出を目指すべきだったのだ。
「きゃっ!!」
その怪現象は怪鳥が蹴り飛ばして銅像を破壊すると同時にに起きた、トンネル全体が激しく揺れはじめ、香燐の足元から低く不気味なうめき声が聞こえてくるではないか。
「嘘でしょ、私たちの暮らしている世界の上にも下にも怪獣がいるなんて…!」
香燐は迅速に逃げなかったことを後悔しながら撮影を中止し、出口目掛けて一直線に駆け出した。
そうしているうちに、つい先程まで香燐が立っていた場所のコンクリートどころか、トンネルの天井すらも突き破り、出現した――――全身を鎧のような堅い皮膚で覆った巨大な爬虫類の如き怪獣が。
「きゃっ!」
怪獣の目覚めにより当然ながらトンネルは崩落してしまったが、瓦礫の陰に隠れ比較的安全に怪獣同士の対決をカメラに収める事が可能となった。
「あの怪獣、何年か前に胡散臭いオカルト誌でUMA特集の際に見た、アオジタトカゲ属ヨロイトカゲ科の古代生物ブルガザアルスに酷似しているわね...さて、どっちが勝つかしら!?」
こうして観客は香燐ひとりきりの、巨大怪鳥と巨大爬虫類の怪獣試合が始まった!!
さあ先ず仕掛けたのは巨大怪鳥だ、巨大爬虫類に組み付き、黒い嘴で突ついて攻撃する。
しかし鎧のような皮膚には全く通用せず、痛くも痒くもない巨大爬虫類もやられっぱなしではなく、頑丈な皮膚という名の鎧で覆われた頭部を怪鳥に振り翳す。
だが怪鳥は翼を羽ばたかると、宙へ浮かんで頭突きを避けてしまう。
「相討ちになってくれれば良いけど、ちょっと難しそうな話よね、戦いながら街にでも行かれたら面倒だわ」
十分にスクープ写真を撮影できて満足した香燐は、スマートフォンで何処かに連絡し始めた。
ブガァアアアッーーーーー!!爬虫類怪獣は再び頭突きにより攻撃するも、怪鳥は垂直に上昇して回避する。
そこに爬虫類怪獣は、長く硬い尻尾を鞭の様に振るって巨大怪鳥へ叩きつけ、雑草に覆われた緑の大地へ墜落させた。
「あら、ブルガアザルスが勝つのかしら?」
不覚を取った巨大怪鳥は墜落して仰向けの状態で倒れている、そこへ爬虫類怪獣が近づき、腹部を踏みつけて臓器を破壊してしまおうとゴツゴツした右足を持ち上げた瞬間だった。
巨大怪鳥は両翼を激しく羽撃かせる事で凄まじい強風を発生させる、逆に爬虫類怪獣を仰向けの状態で転倒させる事に成功した。
鎧の様な皮膚は堅固な反面、重量のある爬虫類怪獣はなかなか起き上がれずにいる。
「まるで亀だわね」
怪鳥は嘴を開くと、ひっくり返っている爬虫類怪獣の腹部に目掛けて黄色の怪光線を発射した。
これにて決着かと思われたが、怪光線は腹部を庇うようにクロスさせたブルガアルの頑強な腕にて跳ね返される。
「実力は大体互角ってとこかしら...おっと、来たわね!」
空から気配を感じた香燐は、死闘を繰り広げる怪獣達とは別の存在を撮影するためカメラを上に向けた。
そこに映されるは、我らを守る為にやって来る白銀の戦闘航空機・イキシアだった。
マッハ六.九のスピードで飛んできたシルバーの戦闘航空機イキシアは香燐が通報して呼んだものだ。
これは防衛軍の中でも特に優秀な、女性のみで構成された特殊なチーム・MINTの所有する戦闘機である。
「”イキシア二号、佐美山トンネルに到着しました、交戦中の二体の怪獣を確認です...”」
「”こちら三号!民間人を救出の為に着陸、救出完了の通信を送るまで怪獣達への攻撃はストップしてください”」
「”わかりました...”」
仲間と連絡をとりながらイキシア三号機は怪獣達から数百メートル離れた慰霊碑のある辺りに着陸、そのパイロットであるアオイ隊員はイキシアから降りるなり、自分に向けてカメラを構えている香燐に猛ダッシュで接近する。
「ちょっとおおおおお、何してるんですか!さっさと避難してください!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
アオイ隊員は有無を言わさず香燐を軽々担ぎ上げると、これまた猪並の猛ダッシュでイキシアへと戻った。
「やはりマスコミ関係者には命知らずな方が多いですね、通報したら早急に避難してくださいよ」
「すみません...」
「まあ良いですよ!助かったんですから、さて、と...”こちらイキシア三号機、民間人を救出しました、先に攻撃を開始しといてください!”」
「”了解”」
三号機と比べて丸みを帯びたデザインであるイキシア二号が、未だ争う怪獣達へと接近し真上からミサイルを投下した、人類と怪獣の交戦開始ーーーー!
鎧を来た人が多数の剣で貫かれている様子を象った銅像がトンネル入口前に立っていたので香燐は飛び退いた、お世辞にも趣味が良いとは言い難い。
「これ造った人の感性どうなってんのよ、ホラーゲームでもない限り有り得ないでしょ...あ?」
ドン引きする香燐の頭上から、獣の殺意が飛んできた。
「ひっ...まさか向こうから来るなんて!女子からモテてたのは過去の栄光!今は怪獣様からモテるわけね、まったく嬉しくないわよ!」
香燐が涙目になりながら急いでトンネルの中へと逃げ込んだ直後、さっきまでが彼女が居た場所に黒い嘴が突き刺さり巨大な穴を開けた。
「あっぶな...」
息を呑む香燐だが、本当に危ないのはここからだった。怪鳥はせっかく見つけたと思った餌が消えてしまった事により文字通り鶏冠にきた様で、地団駄を踏んで大地を揺らし、巨大な翼をブンブンと振り回し始めた。
「うげぇ!私を探してる...けどトンネル入ったとこ見てた癖にもう忘れたのかしら、鳥頭は怪獣でも変わらないのか」
香燐の感情は恐怖から呆れに変わる、聞いた話によれば、この怪鳥はヨーロッパの村を襲い一晩で二百人の人間を食い尽くしてしまった事もある恐ろしい存在なので、油断は禁物なのに。
「とにかく見つからないうちに出口から脱出しましょう...この中から怪獣の様子を撮影しながら」
パシャ、パシャ、緊張で心臓が止まりそうになりながらも香燐はシャッターを切り続ける、癇癪を起こして暴れる怪獣を撮影しながら後退りで出口を目指す。
しかし欲を張ったのは間違いだった、もっと早く脱出を目指すべきだったのだ。
「きゃっ!!」
その怪現象は怪鳥が蹴り飛ばして銅像を破壊すると同時にに起きた、トンネル全体が激しく揺れはじめ、香燐の足元から低く不気味なうめき声が聞こえてくるではないか。
「嘘でしょ、私たちの暮らしている世界の上にも下にも怪獣がいるなんて…!」
香燐は迅速に逃げなかったことを後悔しながら撮影を中止し、出口目掛けて一直線に駆け出した。
そうしているうちに、つい先程まで香燐が立っていた場所のコンクリートどころか、トンネルの天井すらも突き破り、出現した――――全身を鎧のような堅い皮膚で覆った巨大な爬虫類の如き怪獣が。
「きゃっ!」
怪獣の目覚めにより当然ながらトンネルは崩落してしまったが、瓦礫の陰に隠れ比較的安全に怪獣同士の対決をカメラに収める事が可能となった。
「あの怪獣、何年か前に胡散臭いオカルト誌でUMA特集の際に見た、アオジタトカゲ属ヨロイトカゲ科の古代生物ブルガザアルスに酷似しているわね...さて、どっちが勝つかしら!?」
こうして観客は香燐ひとりきりの、巨大怪鳥と巨大爬虫類の怪獣試合が始まった!!
さあ先ず仕掛けたのは巨大怪鳥だ、巨大爬虫類に組み付き、黒い嘴で突ついて攻撃する。
しかし鎧のような皮膚には全く通用せず、痛くも痒くもない巨大爬虫類もやられっぱなしではなく、頑丈な皮膚という名の鎧で覆われた頭部を怪鳥に振り翳す。
だが怪鳥は翼を羽ばたかると、宙へ浮かんで頭突きを避けてしまう。
「相討ちになってくれれば良いけど、ちょっと難しそうな話よね、戦いながら街にでも行かれたら面倒だわ」
十分にスクープ写真を撮影できて満足した香燐は、スマートフォンで何処かに連絡し始めた。
ブガァアアアッーーーーー!!爬虫類怪獣は再び頭突きにより攻撃するも、怪鳥は垂直に上昇して回避する。
そこに爬虫類怪獣は、長く硬い尻尾を鞭の様に振るって巨大怪鳥へ叩きつけ、雑草に覆われた緑の大地へ墜落させた。
「あら、ブルガアザルスが勝つのかしら?」
不覚を取った巨大怪鳥は墜落して仰向けの状態で倒れている、そこへ爬虫類怪獣が近づき、腹部を踏みつけて臓器を破壊してしまおうとゴツゴツした右足を持ち上げた瞬間だった。
巨大怪鳥は両翼を激しく羽撃かせる事で凄まじい強風を発生させる、逆に爬虫類怪獣を仰向けの状態で転倒させる事に成功した。
鎧の様な皮膚は堅固な反面、重量のある爬虫類怪獣はなかなか起き上がれずにいる。
「まるで亀だわね」
怪鳥は嘴を開くと、ひっくり返っている爬虫類怪獣の腹部に目掛けて黄色の怪光線を発射した。
これにて決着かと思われたが、怪光線は腹部を庇うようにクロスさせたブルガアルの頑強な腕にて跳ね返される。
「実力は大体互角ってとこかしら...おっと、来たわね!」
空から気配を感じた香燐は、死闘を繰り広げる怪獣達とは別の存在を撮影するためカメラを上に向けた。
そこに映されるは、我らを守る為にやって来る白銀の戦闘航空機・イキシアだった。
マッハ六.九のスピードで飛んできたシルバーの戦闘航空機イキシアは香燐が通報して呼んだものだ。
これは防衛軍の中でも特に優秀な、女性のみで構成された特殊なチーム・MINTの所有する戦闘機である。
「”イキシア二号、佐美山トンネルに到着しました、交戦中の二体の怪獣を確認です...”」
「”こちら三号!民間人を救出の為に着陸、救出完了の通信を送るまで怪獣達への攻撃はストップしてください”」
「”わかりました...”」
仲間と連絡をとりながらイキシア三号機は怪獣達から数百メートル離れた慰霊碑のある辺りに着陸、そのパイロットであるアオイ隊員はイキシアから降りるなり、自分に向けてカメラを構えている香燐に猛ダッシュで接近する。
「ちょっとおおおおお、何してるんですか!さっさと避難してください!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
アオイ隊員は有無を言わさず香燐を軽々担ぎ上げると、これまた猪並の猛ダッシュでイキシアへと戻った。
「やはりマスコミ関係者には命知らずな方が多いですね、通報したら早急に避難してくださいよ」
「すみません...」
「まあ良いですよ!助かったんですから、さて、と...”こちらイキシア三号機、民間人を救出しました、先に攻撃を開始しといてください!”」
「”了解”」
三号機と比べて丸みを帯びたデザインであるイキシア二号が、未だ争う怪獣達へと接近し真上からミサイルを投下した、人類と怪獣の交戦開始ーーーー!
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