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〜初等部
問題発生?
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私が所属するSクラスは実家が一流企業や老舗旅館などの生粋のお坊っちゃまとお嬢様で構成されている。なので幼くても礼儀作法が身に付いており、大人しい良い子ばかり。
しかし、私は知らなかったのです。紫之宮家が国内でトップクラスの企業であると、彼らの家柄は私の家柄に遠く及ばないのだと。
その結果。
私、紫之宮 春。未だに友達がいません。
***
「紫之宮様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、皆様」
挨拶をしてきたクラスメイト達に優しく微笑めば、顔を赤くした彼女達はそそくさと席に戻ってしまう。
その光景を見て、周りに気付かれないように小さく息をつく。やっぱり皆余所余所しい。・・・いや家柄の関係は知ってる。
それでもこれから長い学園生活を一緒に過ごしていく仲間なんだから少しでもいいから、仲良くなりたいな。
「春、どうかした?」
「課題でわからない所でもあったか?」
そう思ってるのに、今私の目の前にいる兄と青柳がいつも私の教室まで会いに来るから、余計に彼女達が近づいてこれないのだ!
挙げ句、青柳に関わらないって決めたから私から絶対に会うことの無いよう、徹底的に避けていた筈なのに兄が彼を連れて私に会いに来るから嫌でも関わらざるを得ないし。
兄よ、何で貴方はとことん私の決意を崩していくのですか?
「春?」
それでも、それが私を心配に思っての行動だって知っているから憎めない。不安そうに私の顔を覗き込む兄に頬笑む。
「何でもありませんわ、お兄様。ご心配してくださってありがとうございます」
そう言えば兄は心底嬉しそうに笑うから私はどこまで行っても兄を嫌いになれないんだよね。
「俺を無視するなよ、春」
しかしお前は別だからな、青柳 悠真!!
私の手を握ってきた青柳をお兄様に気付かれないように睨む。
ニヒルな笑みを浮かべて、楽しそうな様子の青柳。・・・こいつ、私の反応を楽しんでやがる!!
「私これから図書館に行きますので失礼致しますね、青柳様。お兄様も、また後で」
青柳の手から強引に手を抜きとり、優しく微笑んで兄に一礼してその場を去った。・・・本当に図書館に用事があるんだから、別にこれは逃げたんじゃないのよ!
***
腕に一冊の本を抱えて廊下を歩く。実はこの世界には前世で販売されていた本が全てあったのだ。
今私が持っている本は前世で読んでいた小説の続編。二度と読めないと思っていたから、すごく嬉しい。
「やめて下さい!!」
喜びで浮かれていた私を、女の子のその叫びが一気に現実へと引き戻した。彼女の声は廊下の向こうから聞こえる。
「それはお母様に頂いたハンカチなのです!返して下さい!」
「ふん、こんなもの成金一族には勿体ない。僕が代わりに使ってやろうじゃないか」
「お願い致します!返して下さいませ!」
足早に現場へ向かい、そっと様子を伺う。
そこにはクラスメイトの一人、有名化粧品メーカーのお嬢様である小早川 桜と見た事のない男の子がいた。胸元のリボンを見るに、彼はAクラスの生徒だろう。
彼は彼女の手が届かない位置にハンカチを掲げ、泣きそうな彼女を嘲笑う。この状況からして彼が彼女のハンカチを奪い取ったのだろう。
「返して!!」
悲痛な叫びを上げる小早川さんを周りは助けない。
彼等の周りに居るのはBクラスやCクラスの生徒達で、助けたくても苛めている男の子がAクラスだから助けられないのだろう。
申し訳なさそうにその場を去る子もいれば、自分がされたかのように泣きそうな子もいる。
男の子は周りを見て笑う。
彼は誰も自分に手を出せないと知っているからこんな事をしているんだ。
「何をしてらっしゃるの?」
コツリと靴を鳴らして、彼の前に出る。泣いている小早川さんを私の背中に庇った。
さぁ、私のクラスメイトを苛めるやつを成敗しますよ!
しかし、私は知らなかったのです。紫之宮家が国内でトップクラスの企業であると、彼らの家柄は私の家柄に遠く及ばないのだと。
その結果。
私、紫之宮 春。未だに友達がいません。
***
「紫之宮様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、皆様」
挨拶をしてきたクラスメイト達に優しく微笑めば、顔を赤くした彼女達はそそくさと席に戻ってしまう。
その光景を見て、周りに気付かれないように小さく息をつく。やっぱり皆余所余所しい。・・・いや家柄の関係は知ってる。
それでもこれから長い学園生活を一緒に過ごしていく仲間なんだから少しでもいいから、仲良くなりたいな。
「春、どうかした?」
「課題でわからない所でもあったか?」
そう思ってるのに、今私の目の前にいる兄と青柳がいつも私の教室まで会いに来るから、余計に彼女達が近づいてこれないのだ!
挙げ句、青柳に関わらないって決めたから私から絶対に会うことの無いよう、徹底的に避けていた筈なのに兄が彼を連れて私に会いに来るから嫌でも関わらざるを得ないし。
兄よ、何で貴方はとことん私の決意を崩していくのですか?
「春?」
それでも、それが私を心配に思っての行動だって知っているから憎めない。不安そうに私の顔を覗き込む兄に頬笑む。
「何でもありませんわ、お兄様。ご心配してくださってありがとうございます」
そう言えば兄は心底嬉しそうに笑うから私はどこまで行っても兄を嫌いになれないんだよね。
「俺を無視するなよ、春」
しかしお前は別だからな、青柳 悠真!!
私の手を握ってきた青柳をお兄様に気付かれないように睨む。
ニヒルな笑みを浮かべて、楽しそうな様子の青柳。・・・こいつ、私の反応を楽しんでやがる!!
「私これから図書館に行きますので失礼致しますね、青柳様。お兄様も、また後で」
青柳の手から強引に手を抜きとり、優しく微笑んで兄に一礼してその場を去った。・・・本当に図書館に用事があるんだから、別にこれは逃げたんじゃないのよ!
***
腕に一冊の本を抱えて廊下を歩く。実はこの世界には前世で販売されていた本が全てあったのだ。
今私が持っている本は前世で読んでいた小説の続編。二度と読めないと思っていたから、すごく嬉しい。
「やめて下さい!!」
喜びで浮かれていた私を、女の子のその叫びが一気に現実へと引き戻した。彼女の声は廊下の向こうから聞こえる。
「それはお母様に頂いたハンカチなのです!返して下さい!」
「ふん、こんなもの成金一族には勿体ない。僕が代わりに使ってやろうじゃないか」
「お願い致します!返して下さいませ!」
足早に現場へ向かい、そっと様子を伺う。
そこにはクラスメイトの一人、有名化粧品メーカーのお嬢様である小早川 桜と見た事のない男の子がいた。胸元のリボンを見るに、彼はAクラスの生徒だろう。
彼は彼女の手が届かない位置にハンカチを掲げ、泣きそうな彼女を嘲笑う。この状況からして彼が彼女のハンカチを奪い取ったのだろう。
「返して!!」
悲痛な叫びを上げる小早川さんを周りは助けない。
彼等の周りに居るのはBクラスやCクラスの生徒達で、助けたくても苛めている男の子がAクラスだから助けられないのだろう。
申し訳なさそうにその場を去る子もいれば、自分がされたかのように泣きそうな子もいる。
男の子は周りを見て笑う。
彼は誰も自分に手を出せないと知っているからこんな事をしているんだ。
「何をしてらっしゃるの?」
コツリと靴を鳴らして、彼の前に出る。泣いている小早川さんを私の背中に庇った。
さぁ、私のクラスメイトを苛めるやつを成敗しますよ!
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