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第三話∑お出かけと手料理
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『知鶴さん』
白夜さんの車で
待ち合わせ場所に行くと
知鶴さんは先に着いていた。
「朱雀君、こんにちは」
『母さん、俺には挨拶なし?』
拗ねた振りをした白夜さん。
「あら、ごめん
久しぶりね白夜、こんにちは」
本気で拗ねてるんじゃないと
わかってる知鶴さんは
こうやって白夜さんを
からかうのが楽しいらしい。
三人で食事をして、
色んな店を回り
楽しい時間をすごした。
平日なのに
昼のショッピングモールは
賑やかで色んな人の
【声】も[声]も
入り混じって
俺と白夜さんには
少々うるさかった。
実の母親よりも母親みたいな
知鶴さんの[声]は凄く綺麗だ。
夕飯は家で知鶴さんが
作ってくれることになり
スーパーに寄ってから帰った。
∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮
「できたから
二人とも運んでくれるかしら」
何て言うか、豪華だった。
俺は母親の
手料理というものを
物心ついてから
食べたことがなかった。
一回目の失敗をしてからは
母親がますます
帰って来なくなり
自炊するようになった。
そして、
此処で白夜さんと暮らて
久しぶりに手料理を食べた。
『美味しいです』
愛情の篭った手料理は
温かくてとても美味しい。
「よかったわ」
俺に向けられる笑顔。
涙が頬を伝った。
『朱雀、何泣いてるんだよ』
これはきっと、嬉し涙。
『白夜さんにも知鶴さんにも
こんなによくしてもらって
凄く嬉しいんです
それに“母親の手料理”も
久しぶりに食べたので
感極まっちゃったんですよ』
目に溜まった涙を
指で拭いながら言葉を紡いだ。
「ねぇ白夜、
今日泊まっていいかしら?」
『唐突だな、まぁいいけど』
知鶴さんのお泊りが決まり、
明日は白夜さんの
バイトが休みということで
夜更かしして
楽しい時間を過ごした。
翌朝、俺が起きると
知鶴さんが
朝食の用意をしてくれていた。
『おはようございます』
寝ぼけ眼で挨拶すると
近付いてきて、
寝癖の付いた頭を
優しく撫でてくれた。
そういえばあの日、
白夜さんも撫でてくれたなぁと
思い出してるとお味噌汁が
溢れる音がして覚醒した。
「あらあら大変」
俺から離れて、
慌ててガスを止めた。
「煮詰まっちゃったわね」
どうしようかしら? と
知鶴さんが
悩んでいるところに
白夜さんが起きてきた。
『珍しいな、
母さんが失敗するなんて』
もしかしたら、
お味噌汁の匂いが
寝室まで
漂っていたのかもしれない。
「ああ、おはよう白夜」
『おはようございます』
パジャマの代わりに着てる
Tシャツと半ズボンまま
キッチンに向かい
知鶴さんから
お玉を奪い味見して、
「これくらい大丈夫だよ」と
言ってお玉をすすいでから
鍋に入れて、洗面所に
行ってしまった。
朝食を食べるのも
此処に来て久しぶりに食べた。
三人で食卓を囲んでいると
白夜さんの携帯が鳴った。
『誰だ? 朝っぱらから』
頭をガシガシと掻きながら
ディスプレーを見て
電話に出るのをやめた。
『いいんですか?』
いくら朝ごはんの
途中とはいえ
緊急ではなかったのかな?
『どうせくだらない
用件だからいいんだ』
よっぽど厭な相手だったのか?
相手も用があれば
また掛けて来るだろうし
白夜さんがいいなら
俺には関係ないことだ。
また朝食を再開した。
知鶴さんは夕方に
帰って行き、
関係ないと思いつつ
電話の相手が
気になって聞いてみた。
『あの白夜さん、
野暮なこと聞きますけど
さっきの電話
誰だったんですか?』
白夜さんの車で
待ち合わせ場所に行くと
知鶴さんは先に着いていた。
「朱雀君、こんにちは」
『母さん、俺には挨拶なし?』
拗ねた振りをした白夜さん。
「あら、ごめん
久しぶりね白夜、こんにちは」
本気で拗ねてるんじゃないと
わかってる知鶴さんは
こうやって白夜さんを
からかうのが楽しいらしい。
三人で食事をして、
色んな店を回り
楽しい時間をすごした。
平日なのに
昼のショッピングモールは
賑やかで色んな人の
【声】も[声]も
入り混じって
俺と白夜さんには
少々うるさかった。
実の母親よりも母親みたいな
知鶴さんの[声]は凄く綺麗だ。
夕飯は家で知鶴さんが
作ってくれることになり
スーパーに寄ってから帰った。
∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮
「できたから
二人とも運んでくれるかしら」
何て言うか、豪華だった。
俺は母親の
手料理というものを
物心ついてから
食べたことがなかった。
一回目の失敗をしてからは
母親がますます
帰って来なくなり
自炊するようになった。
そして、
此処で白夜さんと暮らて
久しぶりに手料理を食べた。
『美味しいです』
愛情の篭った手料理は
温かくてとても美味しい。
「よかったわ」
俺に向けられる笑顔。
涙が頬を伝った。
『朱雀、何泣いてるんだよ』
これはきっと、嬉し涙。
『白夜さんにも知鶴さんにも
こんなによくしてもらって
凄く嬉しいんです
それに“母親の手料理”も
久しぶりに食べたので
感極まっちゃったんですよ』
目に溜まった涙を
指で拭いながら言葉を紡いだ。
「ねぇ白夜、
今日泊まっていいかしら?」
『唐突だな、まぁいいけど』
知鶴さんのお泊りが決まり、
明日は白夜さんの
バイトが休みということで
夜更かしして
楽しい時間を過ごした。
翌朝、俺が起きると
知鶴さんが
朝食の用意をしてくれていた。
『おはようございます』
寝ぼけ眼で挨拶すると
近付いてきて、
寝癖の付いた頭を
優しく撫でてくれた。
そういえばあの日、
白夜さんも撫でてくれたなぁと
思い出してるとお味噌汁が
溢れる音がして覚醒した。
「あらあら大変」
俺から離れて、
慌ててガスを止めた。
「煮詰まっちゃったわね」
どうしようかしら? と
知鶴さんが
悩んでいるところに
白夜さんが起きてきた。
『珍しいな、
母さんが失敗するなんて』
もしかしたら、
お味噌汁の匂いが
寝室まで
漂っていたのかもしれない。
「ああ、おはよう白夜」
『おはようございます』
パジャマの代わりに着てる
Tシャツと半ズボンまま
キッチンに向かい
知鶴さんから
お玉を奪い味見して、
「これくらい大丈夫だよ」と
言ってお玉をすすいでから
鍋に入れて、洗面所に
行ってしまった。
朝食を食べるのも
此処に来て久しぶりに食べた。
三人で食卓を囲んでいると
白夜さんの携帯が鳴った。
『誰だ? 朝っぱらから』
頭をガシガシと掻きながら
ディスプレーを見て
電話に出るのをやめた。
『いいんですか?』
いくら朝ごはんの
途中とはいえ
緊急ではなかったのかな?
『どうせくだらない
用件だからいいんだ』
よっぽど厭な相手だったのか?
相手も用があれば
また掛けて来るだろうし
白夜さんがいいなら
俺には関係ないことだ。
また朝食を再開した。
知鶴さんは夕方に
帰って行き、
関係ないと思いつつ
電話の相手が
気になって聞いてみた。
『あの白夜さん、
野暮なこと聞きますけど
さっきの電話
誰だったんですか?』
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