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アンドロイドの夢
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《登場人物》
釜中征二
研究所所長
悪巧みしか頭にない
水夏
見た目は人間だがアンドロイド
征二が怖くて研究所から逃げる
森浩哉
青葉の従兄弟
所長の失敗を全て押し付けられた
水夏の名付け親
故人
森青葉
ある事件から研究所にたどり着く
逃げて来た水夏に出会い、匿う
浩哉の従姉妹
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
私は人間じゃない。
精巧につくられたアンドロイドだ。
研究所に三年程いて、
所長の研究が年々
危ないものになっていくのを
何となく感じていた。
そして、私は聞いてしまった。
森青葉という人間の女性が
所長を睨みつけて
怒鳴ってるところを。
そして、その内容が
一年前のあの事件を
指していることに気付いた。
そうか、彼女は
あの事件の被害者だったのか……
それに所長自ら
加担していたなんて
今知った。
私は急に此処に
居ることが怖くなり、
三日後、抜け出すことにした。
研究所の周りは
木々が多く、
小さな森状態。
しかし、
町に抜けられないわけじゃない。
決行翌日、明け方
なるべく
音を立てないように
地下から一階に続く
階段を登り、
玄関の扉を開き
鍵を閉めた。
所長が起きない
時間帯を把握していて
本当によかった。
小さな森を抜け、
町に出たのは
いいのだが、
当然、
お金など持っいない。
この格好なら
補導されることはないが
私は身ぐるみ一枚。
どうしようかと
歩いていると、
あの女性を見つけた。
話しかけてみることにした。
『あの、森青葉さんですよね?』
あの事件の被害者なら
私がアンドロイドだと
気付いただろう。
「え、貴女確か
研究所にいた……」
やっぱり気付いた
みたいだが、此処は町中。
公の場でアンドロイドだと
暴露するのは
些か問題がある。
場所を裏通りに移し、
話し始める。
『ええ。そうです』
あの事件とは、
一年前に所長が
自分の失敗を
ある男性に全ての
責任を押し付けたものだ。
結果、その男性は
亡くなった。
彼女は
その男性の親族だった。
『ごめんなさい』
私はアンドロイドでしかない。
だけど、彼女に謝りたかった。
「あら、貴女が
謝ることないのよ」
確かに、あの事件に
加担してるわけじゃないから
そうなのかも知れない。
「何処か、
落ち着く所に行きましょう」
笑った青葉さんは、
私を連れて歩き出した。
『何処に行くんですか?』
多分、訊いても
はぐらかされるが
一応、訊いてみた。
「うん? 内緒」
予想通りの答えだ。
二時間後、
私たちは研究所から
かなり離れた町に来ていた。
『あの、此処は?』
静かな田園が広がる
緑豊かなのどかな所だ。
「私の実家があるのよ」
何でもないことのように
答えてくれたけど、
私が行っていいのだろうか?
いくら、加担してない
とはいえ、あの研究所の者に
変わりはないのに……
「そういえば、すっかり
名前訊くの忘れてたわ」
そういえば……
『水夏(すいか)です』
多分、食べ物のすいかを
想像したにちがいない。
「ごめん、どういう字?」
『水の夏と書くんです』
この名前は、
実は、亡くなった彼が
付けてくれたのだ。
それを青葉さんに
伝えると心底驚いていた。
「そうなんだ」
彼はもう居ないけど、
この名前と青葉さんに
出会えてよかった。
「さぁ、行くわよ」
すたすたと歩く
青葉さんに着いて行き、
彼女の実家に着いた。
『お邪魔します』
最初は彼女の両親に
出てけと言われるかと
思ったけど、私の正体を
知っても好きなだけ
居ていいと言ってくれた。
浩哉さん、私は青葉のお陰で
今、自由になりましたよ。
天国にいる浩哉さんに
心の中で話しかけ、お礼も言った。
釜中征二
研究所所長
悪巧みしか頭にない
水夏
見た目は人間だがアンドロイド
征二が怖くて研究所から逃げる
森浩哉
青葉の従兄弟
所長の失敗を全て押し付けられた
水夏の名付け親
故人
森青葉
ある事件から研究所にたどり着く
逃げて来た水夏に出会い、匿う
浩哉の従姉妹
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
私は人間じゃない。
精巧につくられたアンドロイドだ。
研究所に三年程いて、
所長の研究が年々
危ないものになっていくのを
何となく感じていた。
そして、私は聞いてしまった。
森青葉という人間の女性が
所長を睨みつけて
怒鳴ってるところを。
そして、その内容が
一年前のあの事件を
指していることに気付いた。
そうか、彼女は
あの事件の被害者だったのか……
それに所長自ら
加担していたなんて
今知った。
私は急に此処に
居ることが怖くなり、
三日後、抜け出すことにした。
研究所の周りは
木々が多く、
小さな森状態。
しかし、
町に抜けられないわけじゃない。
決行翌日、明け方
なるべく
音を立てないように
地下から一階に続く
階段を登り、
玄関の扉を開き
鍵を閉めた。
所長が起きない
時間帯を把握していて
本当によかった。
小さな森を抜け、
町に出たのは
いいのだが、
当然、
お金など持っいない。
この格好なら
補導されることはないが
私は身ぐるみ一枚。
どうしようかと
歩いていると、
あの女性を見つけた。
話しかけてみることにした。
『あの、森青葉さんですよね?』
あの事件の被害者なら
私がアンドロイドだと
気付いただろう。
「え、貴女確か
研究所にいた……」
やっぱり気付いた
みたいだが、此処は町中。
公の場でアンドロイドだと
暴露するのは
些か問題がある。
場所を裏通りに移し、
話し始める。
『ええ。そうです』
あの事件とは、
一年前に所長が
自分の失敗を
ある男性に全ての
責任を押し付けたものだ。
結果、その男性は
亡くなった。
彼女は
その男性の親族だった。
『ごめんなさい』
私はアンドロイドでしかない。
だけど、彼女に謝りたかった。
「あら、貴女が
謝ることないのよ」
確かに、あの事件に
加担してるわけじゃないから
そうなのかも知れない。
「何処か、
落ち着く所に行きましょう」
笑った青葉さんは、
私を連れて歩き出した。
『何処に行くんですか?』
多分、訊いても
はぐらかされるが
一応、訊いてみた。
「うん? 内緒」
予想通りの答えだ。
二時間後、
私たちは研究所から
かなり離れた町に来ていた。
『あの、此処は?』
静かな田園が広がる
緑豊かなのどかな所だ。
「私の実家があるのよ」
何でもないことのように
答えてくれたけど、
私が行っていいのだろうか?
いくら、加担してない
とはいえ、あの研究所の者に
変わりはないのに……
「そういえば、すっかり
名前訊くの忘れてたわ」
そういえば……
『水夏(すいか)です』
多分、食べ物のすいかを
想像したにちがいない。
「ごめん、どういう字?」
『水の夏と書くんです』
この名前は、
実は、亡くなった彼が
付けてくれたのだ。
それを青葉さんに
伝えると心底驚いていた。
「そうなんだ」
彼はもう居ないけど、
この名前と青葉さんに
出会えてよかった。
「さぁ、行くわよ」
すたすたと歩く
青葉さんに着いて行き、
彼女の実家に着いた。
『お邪魔します』
最初は彼女の両親に
出てけと言われるかと
思ったけど、私の正体を
知っても好きなだけ
居ていいと言ってくれた。
浩哉さん、私は青葉のお陰で
今、自由になりましたよ。
天国にいる浩哉さんに
心の中で話しかけ、お礼も言った。
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