書評とかいろいろ

上杉 裕泉

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書評

「それでも人生にイエスという」フランクル

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 最近、友人に愛読書はあるかと聞かれたときのこと。
 もちろんあるよ!
 どれにしようか悩むレベルであるよ!
 そう叫ぶ心の声を無視して話を聞けば、何と仕事でインタビューを受けるらしい。

 センスよくて人間性のある本を愛読書にしたいんだけど、いつも技術書しかよまないから参考に教えてって言うんだよね。

 そこで挙げたのがこの本
「それでも人生にイエスという」

 著者フランクル、と聞くと「夜と霧」が出ると思うんだけど、あちらはどちらかというとアウシュビッツの体験談的な面が強い。

(暗そう……と思われがちだけど、意外と語り口が朗らかで読みやすいから、敬遠しないでね)

 それと比較すると、こっちはそういう体験談から人間の本質について迫ったフランクルの思考のエッセンスのような本。

 私は疲れたときとか落ち込んだときにこの本を持ってくる。
 そして決まって開くのは、人間はどんな劣悪な状況におかれても人間性を失わないって書いているところ。
 とんでもない環境を経験したこの人がいうから説得力あるんだけど、ここを読むといつも希望が湧いてくる。いまのわたしなんてまだまだイージーって思えてくるんだよね。
 あと大切なのは、辛いときもくすっとできるゆとりとユーモア。きついときはついつい厳しくなってしまいがちだから、そんなときに冗談言えるような人になれたらって思うよね。

 フランクルはほかにも似たような本を出してるけど、割と哲学的で宗教観が強くなっていくからこの本がおすすめ。

 限界状況下に置かれた人間の本質に迫った本。

 この本を愛読書に挙げてる人いたら、センスいいなと思っちゃうよね。


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