【完結】初恋の女神の弟がなぜか俺にちょっかいを出してくるんだが? ~恋、始まり今いずこ~

上杉

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1 Side 慧

16 この気持ちは何? ※

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 どうやら俺の身体は変になってしまったらしい。
 昨日の誉史の家での一件以来、俺のあたまは何故かもやもやして、すこしも勉強がはかどらない。
 午前中は図書館に行こうとしたものの、どうも気が乗らなかった。
 俺は部屋着のまま、もう一度洗面所で顔を洗ったあとため息をつく。
 ――俺は一体どうすればよかったのだろうか。
 あのあと――英梨さんが家から出ていったあと、突然布団が剥ぎ取られたかと思えば、そこにはなぜか申しわけなさそうな顔をする誉史がいた。
 俺は最初、なぜそんな表情をしているかわからなかった。しかしすこしして正気に戻ったところで、俺はさっきまでのことを思い出して恥ずかしくなってしまった。そして今日はこれで終わりと告げて帰ってしまったのだった。
 それ以来、スマホに連絡はなかった。
 俺は自室に戻ると、それをサイドテーブルの上に転がしてベッドに横たわる。
 窓からはどんよりと曇った空が見え、まるでいまの自分の心のうちを表しているかのように思えた。
 ――なぜ、誉史は英梨さんから隠れたのだろう。そしてなぜあんなことをしたのだろうか。
 英梨さんに挨拶できない事情でもあったのだろうか。
 そう考えるたび、すぐあたまに誉史の姿が思い浮かんだ。
 布団のなかで抱きしめるように密着してきた誉史。
 絶対に、ああまでする必要はなかったのでは、と思うものの、まるで大切なものを何かから守るような優しい手つきだった、と思い返してしまう。
 すると、まるであのときの熱が蘇ったかのように、俺の身体は火照りはじめた。
 誉史の触れた背中、腰、そして耳。また、直接触れていない場所までもが途端に熱を持ちはじめ、俺の手はその高ぶりを抑えるように自然とそこへ伸びてしまう。
 横になったまま部屋着のズボンを下ろし、下着を張り上げる自分自身を掴み外へ出す。
 そうして手で優しく扱くと、直接的な気持ちよさの波が訪れ俺は目を閉じる。するとなぜか、その手が誉史のものであればと考えてしまった。
 あのときのように、吐息が耳にかかるくらいの距離に誉史がいて、背中から彼のぬくもりが伝わり、後ろから伸びた手が優しく掴んで――。
 そう思った瞬間、急に快感の波が高まり、俺は思わず自分の手に出してしまった。
 ――こんなにはやく出してしまうなんて。
 ずっと自分はこういうことにあまり興味がなく、性欲は弱い方だと思っていたのに。あいつも男なのになぜだろう。
 そうして考えれば、英梨さんに対してそういう気持ちを抱いたことはないことに気づいた。英梨さんは憧れの女神であり、師匠みたいな存在だったから。
 ――じゃあ、誉史はどんな存在なのだろう。
 俺はそう思い、考える。
 そしてこういうことはほなみに相談するのが一番、そう思ったときだった。
 サイドテーブルからブブブと振動音が聞こえ、それを手に取り画面を開くと、ちょうどほなみから連絡が来ていた。
『慧、海行かない?』
 そんなメッセージを見てなぜ海、と俺は思ったものの、詳しく聞くと、ほなみのクラスメイトの姉が車を出してくれるらしい。みんなで一緒にいかないか、ということだった。
『なんで俺も?』
 これまで一度も誘われたことのなかった俺はそう返信する。その後、
『もちろん、慧がすることはわかってるよね』
 とすぐに返信があったので、俺はほなみの考えていることを察して返す。
『誉史?だけどあいつは部活だろ?』
『多分大丈夫だと思うよ!』
 その返答に疑問に思っていると、
『誉史くんはバスケ部でも、元バスケ部じゃん。高一のときにやめちゃったんでしょ?だから夏休み中は暇なはず!絶対声かけてね!』
 それを見た瞬間、あの誉史のこざっぱりとした部屋の理由が、すこしだけわかった気がしたのだった。
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