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第1章 鬼猫来る
14 鬼猫宿る(2)
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この気は間違いなく鬼猫の気だ。けど、あの人は……。
新聞記事に載っていた人だ。どうして、捕まったはずじゃ。そんなことよりも何、この禍々しい気は。嫌な臭いがする。
怨霊……。愛莉はブルッと身体を震わせた。
後頭部がチクリと疼く。同時に、日本刀を振り上げた武将の姿が脳裏に蘇った。あいつだ。そういえば成瀬と武将は似ている。生まれ変わりかもしれない。子孫の身体に取り憑いたってことか。
「愛莉、なぜ来た」
「鬼猫さん、私だって音場家の人間よ。わかっているでしょ」
「それはそうだが」
「鬼猫、油断は禁物だぞ。死ね」
成瀬がナイフを鬼猫に向かって突き立てた。
「ダメーーーーー。あんたにもう鬼は殺させない」
愛莉の叫びに応えるように鬼猫の毛が逆立ち強く発光しはじめた。成瀬は眩しさに顔を逸らして立ち止まる。
「愛莉、我に任せろ」
愛莉は頷き目の前にいる男の人の横にいってチラッとだけ目を向けた。この人は誰だろう。なんとなく祖父と似たような匂いがする。親戚はいないはず。もしかして、鬼の仲間なのだろうか。これは鬼の匂いだろう、きっと。
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