人生・にゃん生いろいろ

景綱

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井戸端会議

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 近所のおばさんたちが集まってなにやら話をしている。よく見る光景だ。いわゆる、井戸端会議ってやつだ。いったいなにを話しているのだろう。さすがにその輪に入って話を聞くわけにはいかない。

「訊けばいいじゃないか」

 そう思う人もいるかもしれないけど、なんとなく私は嫌だ。
 いろいろと詮索されるような気がして。だからって悪いことをしているわけじゃない。でも、なんとなく訊かれたくないことってあるだろう。

 それはさておき、イメージ的には井戸端会議って噂話というか誰かの悪口を言っていそうな気がする。そればかりではないだろうけど。
 こんなことを書いていると余計に気になってくるものだ。

 結構長い時間道端で話をしているからね。気になるのも当然なのかもしれない。人によっては迷惑だって思う人もいる。これも考え方次第だろうけど。
 井戸端会議が気になるのって、自分のことを話しているのではないかと思うから気になるのだろう。実際に話しているどうかわからないけど、そう思うとだんだん迷惑だって思うようになってしまうのだろう。悪循環だ。
 気にしなければいいだけの話だ。
 なんて言っておきながら気にしている自分がいる。
 人ってそんなものだ。

 そうそう、「ここだけの話だけどね」とか「誰にも言っちゃダメだからね」とかの言葉は危険極まりない言葉だ。絶対にここだけの話にはならない。全員そうだとは言わないが、気づけば話が広まっているなんてことはよくあることだ。
 気をつけなきゃいけない。

 そんな井戸端会議を猫もしている。本当に。まさか、猫が井戸端会議はしないだろう。
 道端で猫が集まっているって場面を見たことがある。それが井戸端会議に思えただけの話だ。実際にそうだったかはわからない。
 わからないけど、井戸端会議をしている猫たちという構図を想像してみてほしい。そのほうが楽しいだろう。

「あそこの家の奴はケチだ」とか「あそこの家には近づくな、箒持って追いかけられるぞ」とか「あそこの家のごはんは美味いぞ」とか「あそこの家の人はちょっと甘えてやればすぐにごはんをくれる」なんて話をしているのではないかと想像したら面白いだろう。

 猫の言葉はわからないから、そんな話をしているかはわからない。けど、していそうな雰囲気はある。勝手な想像だけどね。
 井戸端会議というよりも猫の集会と言ったほうがしっくりくるのかもしれない。



 そうだ、ねこねこネットワークなんて言葉が今はある。もしかしたら、そこで情報交換をしている可能性もある。
 もしかしてわが家に三匹の猫が来るのはそのネットワークによるものの可能性もあるのか。いや、たまたまだ。わが家の庭は猫の通り道になっているから。いろんな猫が通っていく。
 きっと、通い猫さんにカリカリのキャットフードをあげているのをどこかで見ていて「自分にもくれよ」とやってきたのかもしれない。
 ねこねこネットワークでも井戸端会議でもない。たぶん。

 そういえば、海にいったときにも数匹の猫が集まっていたのをみかけた。海と言っても海水浴場ではない。夏でもなかったと思う。
 あれこそ井戸端会議に思えた。



 目が合って、「なんだ、邪魔するなよ」とでも思っていたかもしれない。睨まれた気がしたから。もともと鋭い目つきの猫って可能性もあるけど。
 そんな睨む顔も可愛いって思ってしまう私は、やっぱり猫好き馬鹿かもしれない。
 それにしても、ねこねこネットワークって本当にあるのだろうか。あったらいいなと思う。すごくワクワクしてくるからね。

 今度、通い猫さんに訊いてみよう。

「おい、猫が答えるわけがないだろう」

 そうツッコミを入れた方、その通り。

「はい、私が馬鹿でした」

 答えはなくても、私は猫によく話しかけてしまう。なんとなくね。
 やっぱり、私は猫好き馬鹿だね。

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