56 / 59
第四話「ツキが逃げ行く足音を止めろ」
解決策は簡単なこと
しおりを挟む
康成たちはそのあとも瑠璃のこれまでの映像を続けて見ていた。その中に子狐の念も重なって映り込んでいた。
瑠璃には見えていなかっただろう。転ばしていたのは子狐だ。ただ悪戯をしていたわけではない。気づいてほしかっただけだ。稲荷神社にまた来てほしいとの狐神様の思いをどうにか叶えてあげようと眷属の狐が瑠璃に接触していた。それだけの話だ。
ついていない。そう思えばまた稲荷神社に来てくれるかもしれないとの思いもあったのだろう。けど、あれでは気づくことはないだろう。
直接稲荷神社に来てくれとは言えないのだろうか。なにかそういうルールがあるのかもしれない。それとも眷属の狐がそう思い込んでいるだけってこともあるのかもしれない。
んっ、違ったか。子狐は声をかけていた。きっと自分だったら聞こえたかもしれないが、瑠璃には聞こえないってことか。そりゃそうだ。普通は聞こえない。子狐がそう言っていたじゃないか。何を見ていたのやら。
路子も「なるほどねぇ」と頷いていた。
シユウとハネンはニコニコしていた。
「なあ、おいらたち役に立ったか」
「もちろん、役立ったねぇ」
「そうか、そうか。それならよかった」
「ねぇ、ヤスくんも路子さんも何をしているの」
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっとね」
「呼んだのに全然こっちに来ないんだもん。瑠璃さん待っているわよ」
「すまないねぇ。けど、瑠璃さんのことで話をしていたんだよ。それに瑠璃さんのこと解決策がみつかったよ」
「えっ、そうなの」
こころは驚いていた。もちろん康成も同じだった。
康成は路子とともに瑠璃の前に座った。
こころは瑠璃のとなりに座り、路子の顔をじっとみつめていた。
「瑠璃さん、今までついていないと思っていたことすべて原因がわったよ」
「本当ですか」
「瑠璃さんは、以前暗い感じのする稲荷神社に行ったことがあるだろう。あまり人が来ていないような稲荷神社だよ」
瑠璃は少し考えて「あっ、はい」と頷いた。
「そこへまた参拝しに行くといいねぇ。そこの狐神様はきっと瑠璃の願いを聞き入れてくれるはずだよ。なるべく頻繁に行くといいだろうねぇ。願い事が叶ったらお礼参りもしっかりするといいねぇ」
「その稲荷神社へ行けば運気が上がるってことですか」
「まあ、そういうことだねぇ」
「ニャニャ」
「あら、猫ちゃん。キンちゃんだったっけ」
「おや、キンちゃんどうした。なになに」
路子はキンの口元に耳を寄せて頷いている。
「そうかい、そうかい」
「路子さんは猫の言葉がわかるんですか」
瑠璃の問いかけに路子はニコリとする。
「なんとなく、わかるだけだよ。本当にそう話しているのかはわからないけどねぇ」
「それで、なんて言ったんだ。キンは」
康成はキンと路子を交互に見遣り答えを待った。
「それはねぇ。キンちゃんが、今回は出番がなくてつまらないってさ」
路子はそう話して大口を開けて笑いはじめた。
はたして本当にキンがそんなことを話したのだろうか。それはわからないが康成はキンがそう言いそうな気がしていた。
それにしても稲荷神社へ参拝することが解決策なのだろうか。それだけでいいのだろうか。康成は少しばかり考えて、それでいいような気がしてきた。子狐の記憶を思い返せばそれでいいと確信が持てる。
「フニャ」
「なんだよ、キン。不貞腐れているのか。おまえはすごく役に立っているから気にするな」
康成の言葉に気をよくしたのかキンは尻尾をピーンと立ててどこかへ行ってしまった。
瑠璃には見えていなかっただろう。転ばしていたのは子狐だ。ただ悪戯をしていたわけではない。気づいてほしかっただけだ。稲荷神社にまた来てほしいとの狐神様の思いをどうにか叶えてあげようと眷属の狐が瑠璃に接触していた。それだけの話だ。
ついていない。そう思えばまた稲荷神社に来てくれるかもしれないとの思いもあったのだろう。けど、あれでは気づくことはないだろう。
直接稲荷神社に来てくれとは言えないのだろうか。なにかそういうルールがあるのかもしれない。それとも眷属の狐がそう思い込んでいるだけってこともあるのかもしれない。
んっ、違ったか。子狐は声をかけていた。きっと自分だったら聞こえたかもしれないが、瑠璃には聞こえないってことか。そりゃそうだ。普通は聞こえない。子狐がそう言っていたじゃないか。何を見ていたのやら。
路子も「なるほどねぇ」と頷いていた。
シユウとハネンはニコニコしていた。
「なあ、おいらたち役に立ったか」
「もちろん、役立ったねぇ」
「そうか、そうか。それならよかった」
「ねぇ、ヤスくんも路子さんも何をしているの」
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっとね」
「呼んだのに全然こっちに来ないんだもん。瑠璃さん待っているわよ」
「すまないねぇ。けど、瑠璃さんのことで話をしていたんだよ。それに瑠璃さんのこと解決策がみつかったよ」
「えっ、そうなの」
こころは驚いていた。もちろん康成も同じだった。
康成は路子とともに瑠璃の前に座った。
こころは瑠璃のとなりに座り、路子の顔をじっとみつめていた。
「瑠璃さん、今までついていないと思っていたことすべて原因がわったよ」
「本当ですか」
「瑠璃さんは、以前暗い感じのする稲荷神社に行ったことがあるだろう。あまり人が来ていないような稲荷神社だよ」
瑠璃は少し考えて「あっ、はい」と頷いた。
「そこへまた参拝しに行くといいねぇ。そこの狐神様はきっと瑠璃の願いを聞き入れてくれるはずだよ。なるべく頻繁に行くといいだろうねぇ。願い事が叶ったらお礼参りもしっかりするといいねぇ」
「その稲荷神社へ行けば運気が上がるってことですか」
「まあ、そういうことだねぇ」
「ニャニャ」
「あら、猫ちゃん。キンちゃんだったっけ」
「おや、キンちゃんどうした。なになに」
路子はキンの口元に耳を寄せて頷いている。
「そうかい、そうかい」
「路子さんは猫の言葉がわかるんですか」
瑠璃の問いかけに路子はニコリとする。
「なんとなく、わかるだけだよ。本当にそう話しているのかはわからないけどねぇ」
「それで、なんて言ったんだ。キンは」
康成はキンと路子を交互に見遣り答えを待った。
「それはねぇ。キンちゃんが、今回は出番がなくてつまらないってさ」
路子はそう話して大口を開けて笑いはじめた。
はたして本当にキンがそんなことを話したのだろうか。それはわからないが康成はキンがそう言いそうな気がしていた。
それにしても稲荷神社へ参拝することが解決策なのだろうか。それだけでいいのだろうか。康成は少しばかり考えて、それでいいような気がしてきた。子狐の記憶を思い返せばそれでいいと確信が持てる。
「フニャ」
「なんだよ、キン。不貞腐れているのか。おまえはすごく役に立っているから気にするな」
康成の言葉に気をよくしたのかキンは尻尾をピーンと立ててどこかへ行ってしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる