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第一節 1080°回った御嬢様
Ep.11 店にクレーム、謎にクレーム、ミステリークレーマー
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「どうした? 頭に春でも来たか?」
榎田さんも「そうなんですか?」と同調してくるから変な心境になる。ただ、今はそんな質問に構っていられない。僕の推理が正しいとしたら、大変なことになる。
取り敢えず、変な解釈を交えた答えを出して彼女達の元から走っていく。
「これが春だったら、どんなに嬉しいことかっ!」
滅茶苦茶な別れ方をしてしまった。僕の奇行ぶりが榎田さんのトラウマになっていたら、どうしよう。
まぁ、次に会う時には何も言ってなかったかのように平然を装うことにしよう。
奇妙な決意をしたところで外に出る。
早速駐輪場で自転車を手に入れ、校門から外に出るも、この先何処に走ればいいかが分からない。桐太の家も知らない僕は困り果てていた。
もし、この真実が正しかったとしたら。この真実を確かめるために他の人に相談したら、桐太の評判を下げてしまう恐れがある。
「あ、奴はこういうことをする奴なんだ」と相談相手は思うだろう。そんな、彼のプライドを傷付ける大人の真似はしたくない。
頭が痛くなっていく最中。更に刺激するような何かが伝わってきた。道路を挟んだ先にあるコンビニから、だ。
その中に、彼女はいた。ナノカの栗色ポニーテールがこちらの視界に映る。
自転車を引いて、近くの横断歩道を渡る。すぐさまコンビニの駐輪場に自転車を停め、コンビニに入店した。
そこではクレーマー少女の怒号が響き渡っている。
「ちょっと! 何度目ですか!? これっ!」
対する男性はナノカを見ていない。それが彼女の怒りを悪化させているのか、どんどん声も口調も荒くなっていく。
「聞いてんの!?」
怖い。近づくだけで彼女の怒りに焼かれてしまいそうな感じがして、酷く恐ろしい。だけれども、彼女を止めなくては。相手が聞いていない今、何を言っても伝わらない。
僕は咄嗟に暴走するナノカの肩を叩く。
「ナノカ、何があったか分からないけど、これ以上は無駄だよ」
「うぐぐ……」
「ナノカ! ちょっと外に! 君が怒っているのは分かってるから。何かあったんだよね」
彼女が正しくて怒っていることも毎度のことだから分かっている。きっと理不尽なことではない。
出てから、十分に彼女の愚痴を聞いていく。
「信じられないわよ。そこの店員さん、落ちてたお菓子をどんどん踏んづけてそれで気付いたら、元の位置に戻してたのよ。箱がもうすっごく潰れてるのにも関わらず」
「ナノカ……」
「お菓子を食べようとして中に入ってたものがぐちゃぐちゃだったら悲しいでしょ。小さな子なら特に。だって数少ないお小遣いで買ったお菓子がそんなんだったら……ワタシ、そういうことや商品のことを考えないの、許せないの」
僕は真剣な目付きを意識して、彼女の目を見た。
「分かるよ。それ……僕も嫌だよ」
「でも、まぁ、あそこまでは言い過ぎたかしら」
「いや、いいんだ。きっと、それでいい。ナノカは自分の言うべきことをしっかり言えたと思うよ」
「良かった」
何か辛気臭い雰囲気になりそうだから別のことを聞いてみる。
「あっ、でさっ、ナノカ! 何か買ったの? うん、ラスクを二つって、そんなに好きだった?」
彼女の手の中にあったもののことを質問する。確かラスクは昨日、購買で買っていた記憶がある。
「まぁ、美味しいものは全般好きだけど……そうじゃないのよね。昨日。弟が買ってきたの全部食べたのよ。この前も取ったくせに昨日も! だから、今日は弟が食べる分も見越して買ったの」
「じゃあ、その分は弟に?」
「あげないわよ! 全部ワタシが食べるんだからっ!」
それだと太るよと言いそうになりかけた。危なかった。もし、そういう話を口にしたら「このデリカシー虚無野郎」と殴り飛ばされるところであっただろう。
「まぁ、とにかくナノカは悪事を見越してそんなことを……」
僕がそう口にすると、彼女は目をかっぴらいた。何かと思うと、彼女の顔が急に青ざめていく。
彼女は近くにあった彼女自身の自転車にまたがると、僕に意向を告げてきた。
「情真くん! 来て! もしかしたら、男手が必要になるかもだからっ!」
僕も頷いて、すぐに後を追う。彼女も焦っているとなると、僕と同じ真実に辿り着いたに違いない。
彼女は前に出て「桐太くんの家に行くからついてきて」と言っている。そこに僕の感じていた疑問の答えがあった。
「ねぇ、ナノカ、桐太の住所って理亜から聞いたの?」
「昼休みに聞いてきたのよ」
「なるほど……ありがとっ!」
やはり、だ。彼女は桐太の住所について知っていた。今の情報が僕の推理を正しいと判断する確信になっていた。
一つの掛け合いを終わらせてから、推理のことについて話を戻す。最初に僕とナノカが同じ答えを思い浮かんでいるのかの確認だ。
「でないとややこしくなるからね。情真くん……桐太くんは、復讐が目的なんじゃないかしら。誰に対して、かは分かるわよね?」
最初の問いに出すべき言葉。昨日、ナノカが出してくれた話題のおかげで答えは見えている。
「それって、妹に事故を起こさせた人ってことでいいんだよね」
「あら、分かってるじゃない」
答えがハッキリしたところで、何故その考えに行き着いたのかを語り合うことにした。どちらの根拠も変なところから来ていて、推理自体が間違っていることもあり得たから。このまま勘違いでとんでもないことをする前には、やはり確認が必要だ。
僕から語らせてもらう。
「一応、理由を言っとかないとね。まず、ナノカ……妹のことの事故について推理した件について」
「って言うか、知ってるでしょ。そんなの推理する必要あった?」
涼しい顔をしているナノカに言う必要があった。
「いや、ナノカ。僕に『車両の後ろに大きな傷が付いたらしいわ』って言ったけど、その後は何にも言わなかったから。最初は分かんなかったよ」
「あ、言い忘れてた」
彼女が少しだけ恥ずかしそうに首をふりふり振っていた。
その間に僕が何故、桐太の妹が起こした事故に犯人がいるのを知ったのか、語っていく。
「妹は確か、コンビニの駐車場を入る時真っすぐ通り抜けようとしてたとも言っていた。でも真っすぐ通り抜けられる形って言ったら、コンビニの駐車場の横から横しかない。桐太の妹がコンビニの中にまで自転車で入って真っすぐ通り抜けようとでもしない限り、コンビニの中に入っていった自動車の後ろに傷が付くことなんてないからね」
「ええ、そうね。説明が遅れて、ご、め、ん、ね! そうね! 車両ってのは、女の子の自転車の方! あの後調べてみたら、自転車は駐車場に停めようとしてた自動車の横部分、ドアの部分について追突したそうよ。そこで驚いた車の人がブレーキとアクセルを間違えて……てね」
「じゃあ、その事故の時に彼女の自転車の後ろに傷が付いた理由。たぶん、誰かが悪戯で後ろから押したんだよね。たぶん、その悪戯した人物こそ、今考えられる桐太最大の復讐相手だよ!」
「ええ! そうよ! そういうこと! ちゃんと伝えられなくて、ごめんなさいね!」
何故かキレられたけれど、これは僕が悪いのではないよな。疑問を持ちつつ、華麗にスルーする。逆鱗に触れないようには気を付けよう。
次に必要な説明は、何故妹に屈辱を味合わせた奴等への復讐のために僕へ電話したか、だ。何故、あの時彼は僕へ電話を掛けたのか。ここは「犯罪を見越すこと」でヒントを得たナノカが語っていた。
榎田さんも「そうなんですか?」と同調してくるから変な心境になる。ただ、今はそんな質問に構っていられない。僕の推理が正しいとしたら、大変なことになる。
取り敢えず、変な解釈を交えた答えを出して彼女達の元から走っていく。
「これが春だったら、どんなに嬉しいことかっ!」
滅茶苦茶な別れ方をしてしまった。僕の奇行ぶりが榎田さんのトラウマになっていたら、どうしよう。
まぁ、次に会う時には何も言ってなかったかのように平然を装うことにしよう。
奇妙な決意をしたところで外に出る。
早速駐輪場で自転車を手に入れ、校門から外に出るも、この先何処に走ればいいかが分からない。桐太の家も知らない僕は困り果てていた。
もし、この真実が正しかったとしたら。この真実を確かめるために他の人に相談したら、桐太の評判を下げてしまう恐れがある。
「あ、奴はこういうことをする奴なんだ」と相談相手は思うだろう。そんな、彼のプライドを傷付ける大人の真似はしたくない。
頭が痛くなっていく最中。更に刺激するような何かが伝わってきた。道路を挟んだ先にあるコンビニから、だ。
その中に、彼女はいた。ナノカの栗色ポニーテールがこちらの視界に映る。
自転車を引いて、近くの横断歩道を渡る。すぐさまコンビニの駐輪場に自転車を停め、コンビニに入店した。
そこではクレーマー少女の怒号が響き渡っている。
「ちょっと! 何度目ですか!? これっ!」
対する男性はナノカを見ていない。それが彼女の怒りを悪化させているのか、どんどん声も口調も荒くなっていく。
「聞いてんの!?」
怖い。近づくだけで彼女の怒りに焼かれてしまいそうな感じがして、酷く恐ろしい。だけれども、彼女を止めなくては。相手が聞いていない今、何を言っても伝わらない。
僕は咄嗟に暴走するナノカの肩を叩く。
「ナノカ、何があったか分からないけど、これ以上は無駄だよ」
「うぐぐ……」
「ナノカ! ちょっと外に! 君が怒っているのは分かってるから。何かあったんだよね」
彼女が正しくて怒っていることも毎度のことだから分かっている。きっと理不尽なことではない。
出てから、十分に彼女の愚痴を聞いていく。
「信じられないわよ。そこの店員さん、落ちてたお菓子をどんどん踏んづけてそれで気付いたら、元の位置に戻してたのよ。箱がもうすっごく潰れてるのにも関わらず」
「ナノカ……」
「お菓子を食べようとして中に入ってたものがぐちゃぐちゃだったら悲しいでしょ。小さな子なら特に。だって数少ないお小遣いで買ったお菓子がそんなんだったら……ワタシ、そういうことや商品のことを考えないの、許せないの」
僕は真剣な目付きを意識して、彼女の目を見た。
「分かるよ。それ……僕も嫌だよ」
「でも、まぁ、あそこまでは言い過ぎたかしら」
「いや、いいんだ。きっと、それでいい。ナノカは自分の言うべきことをしっかり言えたと思うよ」
「良かった」
何か辛気臭い雰囲気になりそうだから別のことを聞いてみる。
「あっ、でさっ、ナノカ! 何か買ったの? うん、ラスクを二つって、そんなに好きだった?」
彼女の手の中にあったもののことを質問する。確かラスクは昨日、購買で買っていた記憶がある。
「まぁ、美味しいものは全般好きだけど……そうじゃないのよね。昨日。弟が買ってきたの全部食べたのよ。この前も取ったくせに昨日も! だから、今日は弟が食べる分も見越して買ったの」
「じゃあ、その分は弟に?」
「あげないわよ! 全部ワタシが食べるんだからっ!」
それだと太るよと言いそうになりかけた。危なかった。もし、そういう話を口にしたら「このデリカシー虚無野郎」と殴り飛ばされるところであっただろう。
「まぁ、とにかくナノカは悪事を見越してそんなことを……」
僕がそう口にすると、彼女は目をかっぴらいた。何かと思うと、彼女の顔が急に青ざめていく。
彼女は近くにあった彼女自身の自転車にまたがると、僕に意向を告げてきた。
「情真くん! 来て! もしかしたら、男手が必要になるかもだからっ!」
僕も頷いて、すぐに後を追う。彼女も焦っているとなると、僕と同じ真実に辿り着いたに違いない。
彼女は前に出て「桐太くんの家に行くからついてきて」と言っている。そこに僕の感じていた疑問の答えがあった。
「ねぇ、ナノカ、桐太の住所って理亜から聞いたの?」
「昼休みに聞いてきたのよ」
「なるほど……ありがとっ!」
やはり、だ。彼女は桐太の住所について知っていた。今の情報が僕の推理を正しいと判断する確信になっていた。
一つの掛け合いを終わらせてから、推理のことについて話を戻す。最初に僕とナノカが同じ答えを思い浮かんでいるのかの確認だ。
「でないとややこしくなるからね。情真くん……桐太くんは、復讐が目的なんじゃないかしら。誰に対して、かは分かるわよね?」
最初の問いに出すべき言葉。昨日、ナノカが出してくれた話題のおかげで答えは見えている。
「それって、妹に事故を起こさせた人ってことでいいんだよね」
「あら、分かってるじゃない」
答えがハッキリしたところで、何故その考えに行き着いたのかを語り合うことにした。どちらの根拠も変なところから来ていて、推理自体が間違っていることもあり得たから。このまま勘違いでとんでもないことをする前には、やはり確認が必要だ。
僕から語らせてもらう。
「一応、理由を言っとかないとね。まず、ナノカ……妹のことの事故について推理した件について」
「って言うか、知ってるでしょ。そんなの推理する必要あった?」
涼しい顔をしているナノカに言う必要があった。
「いや、ナノカ。僕に『車両の後ろに大きな傷が付いたらしいわ』って言ったけど、その後は何にも言わなかったから。最初は分かんなかったよ」
「あ、言い忘れてた」
彼女が少しだけ恥ずかしそうに首をふりふり振っていた。
その間に僕が何故、桐太の妹が起こした事故に犯人がいるのを知ったのか、語っていく。
「妹は確か、コンビニの駐車場を入る時真っすぐ通り抜けようとしてたとも言っていた。でも真っすぐ通り抜けられる形って言ったら、コンビニの駐車場の横から横しかない。桐太の妹がコンビニの中にまで自転車で入って真っすぐ通り抜けようとでもしない限り、コンビニの中に入っていった自動車の後ろに傷が付くことなんてないからね」
「ええ、そうね。説明が遅れて、ご、め、ん、ね! そうね! 車両ってのは、女の子の自転車の方! あの後調べてみたら、自転車は駐車場に停めようとしてた自動車の横部分、ドアの部分について追突したそうよ。そこで驚いた車の人がブレーキとアクセルを間違えて……てね」
「じゃあ、その事故の時に彼女の自転車の後ろに傷が付いた理由。たぶん、誰かが悪戯で後ろから押したんだよね。たぶん、その悪戯した人物こそ、今考えられる桐太最大の復讐相手だよ!」
「ええ! そうよ! そういうこと! ちゃんと伝えられなくて、ごめんなさいね!」
何故かキレられたけれど、これは僕が悪いのではないよな。疑問を持ちつつ、華麗にスルーする。逆鱗に触れないようには気を付けよう。
次に必要な説明は、何故妹に屈辱を味合わせた奴等への復讐のために僕へ電話したか、だ。何故、あの時彼は僕へ電話を掛けたのか。ここは「犯罪を見越すこと」でヒントを得たナノカが語っていた。
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