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第二章 女子高生クレーマーと完全犯罪アドバイザー
Ep.-1 プロモノローグ
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夏休みの何もない日々はただこちらの精神をじわじわと追い詰めるだけ。大切な人と会えない時間も長かったせいか、闇落ちし始めた。
おっといけないとも思う。
ただどうしても考えてしまう。
本当に僕の存在は誰かの役に立てているのか。自分の命に価値はあるのか、と。
僕が放送部にいるのもたまたま。「君しかいないんだから」との言葉が魚の骨の如く、喉につっかえていて何度も吐き出したくなる。
「僕の代わりなんて何処を探してもいるものだ」と。
ふざけた奴が僕の推理できるところだけを見て、「探偵としての才能があるんじゃないか」と言っているのだが。あれは偶然証拠や考えが見つかったから解決できたに過ぎない。似たようなことが起こったとして、犯人を解明できる自信なんて僕にはない。探偵とも呼ばれたくない。
ああ、ただ普通に生きたいだけなのに。ナノカと一緒にいられたら、と思うのに。ナノカは僕と一緒にいるメリットなどない。
今まで偶然僕が都合の良い場所にいたから、動いていただけ。用が済めば、いや、僕の上位互換が出ればすぐにお払い箱だ。
その時が怖い。
夏休みを終わらせて、早く彼女に会いたいのに。何故か胸騒ぎがしてどうしようもない。何か理由を付けて、電話でもメールでもすれば安心できるだろうか。
いや、違う。それでも僕は安心できないのだろう。自分に自信がない僕を落ち着かせることなど不可能だ。
虫の知らせは的中する。
一学期には想像もしていなかった、とんでもない二学期生活が幕を開ける。
おっといけないとも思う。
ただどうしても考えてしまう。
本当に僕の存在は誰かの役に立てているのか。自分の命に価値はあるのか、と。
僕が放送部にいるのもたまたま。「君しかいないんだから」との言葉が魚の骨の如く、喉につっかえていて何度も吐き出したくなる。
「僕の代わりなんて何処を探してもいるものだ」と。
ふざけた奴が僕の推理できるところだけを見て、「探偵としての才能があるんじゃないか」と言っているのだが。あれは偶然証拠や考えが見つかったから解決できたに過ぎない。似たようなことが起こったとして、犯人を解明できる自信なんて僕にはない。探偵とも呼ばれたくない。
ああ、ただ普通に生きたいだけなのに。ナノカと一緒にいられたら、と思うのに。ナノカは僕と一緒にいるメリットなどない。
今まで偶然僕が都合の良い場所にいたから、動いていただけ。用が済めば、いや、僕の上位互換が出ればすぐにお払い箱だ。
その時が怖い。
夏休みを終わらせて、早く彼女に会いたいのに。何故か胸騒ぎがしてどうしようもない。何か理由を付けて、電話でもメールでもすれば安心できるだろうか。
いや、違う。それでも僕は安心できないのだろう。自分に自信がない僕を落ち着かせることなど不可能だ。
虫の知らせは的中する。
一学期には想像もしていなかった、とんでもない二学期生活が幕を開ける。
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