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第二章 陰謀戦争許さぬ意向

主演男優賞受賞 ジュリア•ヘイスト

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ーー

「はぁ……。」

 まさか、また失禁するなんて。メイドさんと近衛兵をよんで片付けてもらったけど…あんまりにも申し訳なかったなぁ。
 誠哉を寝かしていた来賓用の部屋から出て、すごい、疲れたと息を吐く。

「ジュリアス!大丈夫でしたか?」

「ルミナス。別室で見てただろ。何にもなかったよ。」

ーーー

 オレは知りたかった。誠哉が本当に悪い人で何回も死にたくなるような刑を執行していい極悪人かどうかを。

 それをリリーナに言った時、「結局おかあさまは……何がしたいんですの?」と呆れられたが…。リリーナが誠哉に触れた途端、ニンマリと笑い、この案を持ち出してきた。

 リリーナが言うには誠哉はさっきの一瞬でジュリアスを天使か神か何か優しくちょろい人だと、命の恩人だと思ったらしい。(さっきの一瞬で?ちょろいのはどっちだ?殺そうとした相手だと気づいてないのはどうなんだ……?色々突っ込みどころはあったが割愛する。)

 リリーナは、命の恩人であるオレに、「王子を暗殺しようとしてましたー」と言えたら、善人だろう。しかし、嘘をつき罪を認めなかったら悪人だろうと言ったのだ。

 ふむ。罪を問い詰めて、罰を与えてから言われるごめんなさいは、軽い気がすると思っていたんだ。オレがそれとなぁく聞いて、罪を告白したらか。それは案外いい案かもしれない。

 オレはルミナスとアンジュにも相談して、別室待機でことに及んだ。

 しかしーー。

「誠哉からは最後まで反省も謝罪もなかった。ファンタジーとか、ゲーム脳とか……」

 ルミナスが首を傾げるのを見て、オレは言葉を説明しようと、頭をひねる。しかし疲れた頭ではあまり上手いこと説明できず、そのままルミナスの胸に倒れ込んだ。

「あー。誠哉の元いた世界では魔法はありえないことなんだ。夢心地だったんだろうということを差し引いても有り余る邪悪さを感じた。」

「そうでしたか。それは無駄骨でしたね。」

 お疲れ様ですとルミナスがオレを抱き寄せ、髪にキスを送る。辛かったでしょう。信じてたのに、なんて甘く囁かれ、俺はガバリと頭を上げた。

「そんなことないさ。安心して、罰をあたえることができる。誠哉の罪は多いからな。」

 ルミナスはオレを可憐なお姫様と勘違いしてないか?オレはこう見えても第三王子。あのお父様より、しっかりしなきゃダメなんだぞ?そう思いながらキッと睨むとルミナスは一度ぱちくりしたあと、心得たと微笑む。

「例えば、魅力的な人妻を誑かしたとか?」

 ぎゅっと背中に回った腕の力が強くなる。

「妬いてるのか?」

「他の男に馬乗りになるようなお天馬さんにはどんなお仕置きが必要かなと思ってますよ。」

「オレもか?!あれは別にそんなつもりじゃ…かっこよかっただろう?」

「えぇ、かっこよかったですよ。それでもあまりみたくはない光景でした。」

「えー。優しくしてくれよ。旦那様。」

 リリーナの初期案が未亡人だったって伝えたら、ルミナスは怒るだろうなと思いながらオレはルミナスにキスを送った。
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