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第二章 陰謀戦争許さぬ意向
天使か神か side誠哉
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服に火がついて、驚いて転げ回った。火を噴くドラゴンと戦った時だって、こんなことにはならなかったのになんで?じりじりと焼け焦げていく匂いは、俺から出ていて、俺が痛くて、ゲームの体力ゲージを思い出したけど、全然、それより酷くって、俺、おれ、死んじゃう。
魔法を唱えるけど、かすりもしなくて、薬草や、傷薬を買っとくべきだった。パーティーにいた元商人にたちまち治るわけじゃないと言われて、買わなかったおれが悪い。回復呪文は難しいし、かっこよくないからって理由で覚えなかった。アンジュや日雇いの仲間が覚えた初歩魔法も全然効果なくて、でも仲間がいれば怪我なんてしなかったからいらないって思ってた。
俺死ぬのか?!なんで?!ドラゴンを倒した勇者だぞ?!俺が死ねば世界の損害だぞ!?誰か、助けろ!誰か誰か頼む誰か!!
「リリーナ。火を消して、回復してあげて」
駆けつけた人が俺を助けようと、誰かに指示を出してくれる。その人物に俺は目を見張った。
ジュリアス第一王子に似た顔のそいつは、男だろうに、ノンケの俺でさえ息を飲むほど美しくきれいだった。
そいつは優しく俺に近づき、火傷も恐れず俺の服を叩いて、火を消した。俺は火が消えたことに安心して、気を失った。
ーーー
目が覚めるとそこは清潔でふかふかなベッドの上だった。高級そうな調度品が並ぶ寝室の様な場所。そのベッドの横には気を失う前に見た美しい人が座っていた。
「目が、冷めたんですね。」
「ここは?あなたは?」
「ああ、あなたは怪我をしてます。決して無理をしてはいけません。ベッドに…。」
俺を気遣い、めくれた布団を治すそいつは、まるで聖母か天使の様な笑みを向ける。
こいつ、俺に気があるのかもしれない。いや、きっとそうだろう。初対面の男にこんなに甲斐甲斐しく世話を焼くなんて、惚れてなきゃできないだろ。
「私はジュリア…ジュリア•ヘイスト。ミナ•ヘイストの妻です。あなたは王族と一部の家臣しか知らないはずの、隠し通路で火に焼かれ、倒れていました。あなたは、一体何故、あそこにいたんですか?」
「俺は…。」
こいつ、人妻かぁ…。どうやって手籠にしようかと俺は頭を働かせた。こういう純な、綺麗なやつほど、夜はベッドで激しいはずだ。今すぐ、こいつを組み敷いて、犯したい。ぽぉっとする頭を動かして、催眠呪文を唱える。ジュリアの目は光を失い、虚な目がオレを写す。
「俺がお前の夫、ミナ•ヘイストだろうが!何を言ってるんだ」
俺がそうやって傲慢に怒鳴り散らすと、ジュリアの目はとろりと潤んだ。
「…旦那様♡……
とでも言うと思ったか?」
「はっ?」
「誠哉、お前は最後のチャンスを不意にしたどころか……。王族であるオレに催眠魔法をかけ、無体を強いようとしたね。」
「えっ?へっ?なん、なんで効いてないんだ?!」
「リリーナに言われた時はまさかと思ったけど…こんなあっさり引っかかるのか…?恋愛経験がない童貞なのか、優しくされたことないのか…?可哀想に…。」
「おい、俺は童貞じゃねぇ!テクニシャンだ!」
「えー?マジ童貞?キモーイ。童貞が許されるのは小学生までだよね!キャハハハ。」
ネットスラングの様な煽りをうけ、頭に血が上がり、勢いよく起き上がった……と同時に青ざめる。
「おまえ、なんで、それ…知って…。」
一言一句違わず、口に手を当てコミカルに笑うその姿と台詞。ネットで有名な漫画の一コマだ。
「日本生まれ、日本育ちのサラリーマンだからかな。」
ジュリアの口から信じられない、しかし懐かしい言葉が出てくる。しかしそんなことを気にしている場合じゃない。オレの手足には頑丈な鎖がつき、首には魔封じの首輪がついていた。
「お前の考えは分からなくもないんだ。ファンタジーだから、チート能力があったから、ゲーム脳。何やっても許されると思っちゃったんだろう?村娘を犯して捨てようが、母ドラゴンを殺そうが、民家に入って壺を割ろうが……NPCだって、困らないんだって思ったんだろう?」
ジュリアは俺の上に馬乗りになった。枕の下から、王族の紋章が書かれた自害用のナイフを取り出す。
「ちがうんだよ。誠哉。」
きらりと鋭い光を纏ったナイフが、俺の首に当たる。
「お前は火傷を負った。痛かった。今、ナイフが首に当たっている。冷たくて、怖い。今お前が感じているもの、感じたもの、全部、リアルだ。お前はここに生きていて、村人、盗賊、ドラゴン全てが生きている。」
「ーーぅ。ぐ」
奥歯がガタガタと揺れる。こいつがこのナイフを俺に刺せば俺は、死んでしまう。ゲームみたいに、教会で復活するわけじゃない。死ぬんだ。腹はひりひりと引きつって熱い。あぁ、なおってなんかない。ホイミもベホマもないんだ。
「お前がゲームプレイとしてやった数々の行いは罪だ。オレも、竜王も、お前の罪を知っているよ。お前は、本当に可哀想だね。」
ジュリアが、微笑む。間近で、聖母のように優しく。
「ゆるし、て。ゆるしてください」
過去を思い出し、俺は張り付いた喉を揺らして懇願した。親に泣きつけば、ゆるしてくれた。金の無心をすれば、救ってくれた。優しいやつには縋り付け、泣けば、同情さえ貰えればーー。
ドスン
大きく振りかぶったナイフが、枕に突き刺さる。ひゅっと喉から息が抜けて……俺は失禁してしまった。
「お前の罪は、王族であるオレが、そして、現竜王、リリーナ•ヘイストスが裁くよ。」
ジュリアは笑顔だった。しかし、その顔は天使や聖母、ましては神様とはかけ離れた、悪魔のような顔だった。
ーー
「えー?マジ童貞?童貞でいていいのは小学生までだよねー。」
これはネットで昔流行った、漫画の一コマです。きもーいガールズと検索すると出てきます。ちなみにエロ漫画の一コマらしいのですが…内容全然知りません。皆様のパロディのせいでここだけ一人歩きしてます。
童貞でいていいのは小学生までだよね…これをネタに一つBL書きたいと、常々思ってたんですが、なぜこんなことに??
中学生のショタから揶揄われたから童貞卒業させてくれと迫られるやつが書きたい…見たくない?
魔法を唱えるけど、かすりもしなくて、薬草や、傷薬を買っとくべきだった。パーティーにいた元商人にたちまち治るわけじゃないと言われて、買わなかったおれが悪い。回復呪文は難しいし、かっこよくないからって理由で覚えなかった。アンジュや日雇いの仲間が覚えた初歩魔法も全然効果なくて、でも仲間がいれば怪我なんてしなかったからいらないって思ってた。
俺死ぬのか?!なんで?!ドラゴンを倒した勇者だぞ?!俺が死ねば世界の損害だぞ!?誰か、助けろ!誰か誰か頼む誰か!!
「リリーナ。火を消して、回復してあげて」
駆けつけた人が俺を助けようと、誰かに指示を出してくれる。その人物に俺は目を見張った。
ジュリアス第一王子に似た顔のそいつは、男だろうに、ノンケの俺でさえ息を飲むほど美しくきれいだった。
そいつは優しく俺に近づき、火傷も恐れず俺の服を叩いて、火を消した。俺は火が消えたことに安心して、気を失った。
ーーー
目が覚めるとそこは清潔でふかふかなベッドの上だった。高級そうな調度品が並ぶ寝室の様な場所。そのベッドの横には気を失う前に見た美しい人が座っていた。
「目が、冷めたんですね。」
「ここは?あなたは?」
「ああ、あなたは怪我をしてます。決して無理をしてはいけません。ベッドに…。」
俺を気遣い、めくれた布団を治すそいつは、まるで聖母か天使の様な笑みを向ける。
こいつ、俺に気があるのかもしれない。いや、きっとそうだろう。初対面の男にこんなに甲斐甲斐しく世話を焼くなんて、惚れてなきゃできないだろ。
「私はジュリア…ジュリア•ヘイスト。ミナ•ヘイストの妻です。あなたは王族と一部の家臣しか知らないはずの、隠し通路で火に焼かれ、倒れていました。あなたは、一体何故、あそこにいたんですか?」
「俺は…。」
こいつ、人妻かぁ…。どうやって手籠にしようかと俺は頭を働かせた。こういう純な、綺麗なやつほど、夜はベッドで激しいはずだ。今すぐ、こいつを組み敷いて、犯したい。ぽぉっとする頭を動かして、催眠呪文を唱える。ジュリアの目は光を失い、虚な目がオレを写す。
「俺がお前の夫、ミナ•ヘイストだろうが!何を言ってるんだ」
俺がそうやって傲慢に怒鳴り散らすと、ジュリアの目はとろりと潤んだ。
「…旦那様♡……
とでも言うと思ったか?」
「はっ?」
「誠哉、お前は最後のチャンスを不意にしたどころか……。王族であるオレに催眠魔法をかけ、無体を強いようとしたね。」
「えっ?へっ?なん、なんで効いてないんだ?!」
「リリーナに言われた時はまさかと思ったけど…こんなあっさり引っかかるのか…?恋愛経験がない童貞なのか、優しくされたことないのか…?可哀想に…。」
「おい、俺は童貞じゃねぇ!テクニシャンだ!」
「えー?マジ童貞?キモーイ。童貞が許されるのは小学生までだよね!キャハハハ。」
ネットスラングの様な煽りをうけ、頭に血が上がり、勢いよく起き上がった……と同時に青ざめる。
「おまえ、なんで、それ…知って…。」
一言一句違わず、口に手を当てコミカルに笑うその姿と台詞。ネットで有名な漫画の一コマだ。
「日本生まれ、日本育ちのサラリーマンだからかな。」
ジュリアの口から信じられない、しかし懐かしい言葉が出てくる。しかしそんなことを気にしている場合じゃない。オレの手足には頑丈な鎖がつき、首には魔封じの首輪がついていた。
「お前の考えは分からなくもないんだ。ファンタジーだから、チート能力があったから、ゲーム脳。何やっても許されると思っちゃったんだろう?村娘を犯して捨てようが、母ドラゴンを殺そうが、民家に入って壺を割ろうが……NPCだって、困らないんだって思ったんだろう?」
ジュリアは俺の上に馬乗りになった。枕の下から、王族の紋章が書かれた自害用のナイフを取り出す。
「ちがうんだよ。誠哉。」
きらりと鋭い光を纏ったナイフが、俺の首に当たる。
「お前は火傷を負った。痛かった。今、ナイフが首に当たっている。冷たくて、怖い。今お前が感じているもの、感じたもの、全部、リアルだ。お前はここに生きていて、村人、盗賊、ドラゴン全てが生きている。」
「ーーぅ。ぐ」
奥歯がガタガタと揺れる。こいつがこのナイフを俺に刺せば俺は、死んでしまう。ゲームみたいに、教会で復活するわけじゃない。死ぬんだ。腹はひりひりと引きつって熱い。あぁ、なおってなんかない。ホイミもベホマもないんだ。
「お前がゲームプレイとしてやった数々の行いは罪だ。オレも、竜王も、お前の罪を知っているよ。お前は、本当に可哀想だね。」
ジュリアが、微笑む。間近で、聖母のように優しく。
「ゆるし、て。ゆるしてください」
過去を思い出し、俺は張り付いた喉を揺らして懇願した。親に泣きつけば、ゆるしてくれた。金の無心をすれば、救ってくれた。優しいやつには縋り付け、泣けば、同情さえ貰えればーー。
ドスン
大きく振りかぶったナイフが、枕に突き刺さる。ひゅっと喉から息が抜けて……俺は失禁してしまった。
「お前の罪は、王族であるオレが、そして、現竜王、リリーナ•ヘイストスが裁くよ。」
ジュリアは笑顔だった。しかし、その顔は天使や聖母、ましては神様とはかけ離れた、悪魔のような顔だった。
ーー
「えー?マジ童貞?童貞でいていいのは小学生までだよねー。」
これはネットで昔流行った、漫画の一コマです。きもーいガールズと検索すると出てきます。ちなみにエロ漫画の一コマらしいのですが…内容全然知りません。皆様のパロディのせいでここだけ一人歩きしてます。
童貞でいていいのは小学生までだよね…これをネタに一つBL書きたいと、常々思ってたんですが、なぜこんなことに??
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