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第二章 陰謀戦争許さぬ意向
神様ライブラリー
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とりあえずオレたちは、父上に娘が生まれた事を報告した。魔力で厳重に封をした手紙はすぐに父上にとどいたのだろう。父上は職務を中断してリリーナと顔合わせし、リリーナを見るや否や泡を食って倒れた。
リリーナは、防音結界を張った後、竜王の力で父上を回復させ、竜王の力で脅してアンジュの身柄をヘイストス公爵家および竜王のものにした。
ここら辺はもう、ツッコミのオンパレードだ。いや、オレはアンジュの死刑や極刑を望んでなかったけど、本当にいいのかそれで……。国王型なしというか……情けないと言うか……。この愚王がすごい20××。竜王が国を治めた方がいい気がしてきた。カトゥルヌス男爵家を解散させた理由は、税収横領に変えておくとか、アングラなこと言ってたけど。オレ、もう、知らないからな。
それより、気になるのは…。
「あの、リリーナ。オレ、二人で少し話したいことがあるんだけど、ちょっといいか?」
目の前の、アンジュの髪を撫で回しキスを送り……優雅に飛ぶ我が子に、話しかける。リリーナは振り返るなりぱっばっと防音結界をオレとリリーナに貼った。
「おかあさま。呼び出しが下手くそですわ。おとうさまもアンジュも訝しんでますの。」
「あ、ぁ……ごめん。」
険しい顔したリリーナが、オレを睨んでいる。
「貴方が聞きたいのは多分、この世界の元のストーリー……ではありませんの?誠哉というこの世界のバグと、あなたという特異点でぐちゃぐちゃになるまえの。」
「……多分、元のストーリーを誠哉は知ってるから。」
バグの誠哉と特異点のオレ…なにが違うかはよくわからないけどと伝えるとリリーナは肩を竦めてやれやれとため息を吐いた。
「ココは、あなたと誠哉が元いた世界の創作物をトレースした世界。そこまではわかるでしょう。」
「だろうと思ったよ」
「この世界の神はこのトレースした世界を何度も何度も繰り返させました。竜王が観測と管理をして、神様にレポートを届けるというのを繰り返しましたの。娯楽としてね。しかし同じモノを何度もなんて、飽きるでしょう?」
ぽんっと軽快な音を立てて、目の前に新書サイズのラノベが現れる。古本屋で買取不可って言われそうなほどボロボロに読み尽くされたそれは 『竜王の聖女と紅の卵』と題されていた。銀髪の気の強そうな女の子と茶髪の男が燃える城を睨みつけている絵が表紙を飾るそれにリリーナは鱗粉を撒く。ページがパラパラと捲り上げられ、繰り返し繰り返し開かれる。
「だから、神様は今回のこの世界には貴方を特異点としてジュリアスの魂と入れ替えた。すると、ジュリアス第一王子は第三王子に降格、持病持ちだったのもなくなり、竜王の聖女ルミナスは男になった。でもこれらは意図した改変で、シナリオ自体にそれほど影響はなく、物語はちゃんと、ジュリアス王子がルミナスと婚約破棄し、復讐劇が始まる予定でしたの。」
ラノベがパラリと登場人物ページに移り、ジュリアスの項目とルミナスの項目が挿し変わっていく。表紙の女の子も今のルミナスにかわった。
「つまり、なんだ…?味変みたいな?」
その方がわかりやすいかしら?とリリーナが鍋を魔法で取り出した。
「同じスープに飽きてきて、具材を置き換えたのが貴方。」
水の張った鍋と人参、玉ねぎ、ジャガイモ、マッシュルームを出した後、ジャガイモに魔法をかけてサツマイモに変えた。お母さんはサツマイモか。いい度胸してるじゃん娘。サツマイモは火にかけるとあっという間に溶けて形を失った。人参は和人参みたいに赤くなり、スープは少し色を変えた。
「調理工程のトラブルで鍋の中に入った異物が誠哉って言ったらわかりやすいかしら?」
蓋を開けたままの鍋の蓋にハエが止まり、あぁ、そのまま……、水音を立てた。グルグル、グルグルとお玉が回り、スープの水面には、黒髪黒目のしょうゆ顔が映る。こいつが誠哉か。
「誠哉が入ってきて、話がどんどん大筋から逸れました。ジュリアスと婚姻を結ぶ伯爵令嬢と誠哉はお遊び、ご令嬢は勘当されて修道女に」
誠哉が綺麗な女の人を無理やり組み敷いている。ズボンを下ろし腰を振り始める男がおぞましくて、オレは慌ててお玉を回し、その像をかき消した。かき回すスピードが早かったのか、コミカルに玉ねぎが鍋から外れ飛んでいく。
「終盤で聖女ルミナスが仲間にする野生のドラゴンを全て殺した。」
凪いだ水面に今度はアンジュと誠哉が映る。ドラゴンの眉間に剣が刺さり、あたりは血みどろだった。
「酷い…。」
リリーナは鍋をかき混ぜ、その映像をかき消した。マッシュルームが遥か彼方へ消える。
「スープの具が二つも退場してるのに、それを元のスープと同じものと考えられます?」
「もう、元のスープには、元のシナリオには戻らないってこと?」
「ええ、だから神様は面白がって分岐点で貴方を『婚約破棄をする傲慢な王子の役割』から解放した。貴方は貴方として行動し、『悲劇と復讐の物語のヒロイン』ルミナスを救った。貴方達が愛を育みあたしが生まれた。すべて、その本には書いてない新しいシナリオですの。」
オレは濁ったスープを見つめた。何度かき混ぜようとも、これから先の未来は見えない。無茶苦茶に、壊してしまったから。もし、何か間違えて、さっきのドラゴンのように誰かが死んだらどうしよう……。
「おかあさま!!」
「はっはい!」
「貴方がルミナスを愛して、あたしが生まれて…それを、物語を破壊したなんて思わないことです。この世界は舞台がこれと同じだけ。全く別の話を、これからあたしたちで作るんです。」
「リリーナ」
「あたし、おかあさまのおかげでアンジュに会えて、感謝してますのよ。アンジュとあたしが愛し合うこの世界を間違ってるなんて言わせませんわ。」
「り、リリーナ……。」
結局はアンジュなのか…と少し呆れつつも、クスリと笑いが溢れる。
リリーナは竜王として、神の使いとしての言葉ではなく、オレの娘という立場から励ましてくれた。この幸せは間違いではない。父上が馬鹿だったり、ルミナスが少し執着気味だったり、そもそも男同士だったりするけれど……オレたちは、もう竜王の聖女と紅の卵の登場人物じゃないんだ。オレの幸せのために、みんなの幸せのために動いていいんだ。そう思うと先程まで緊張していた体がフッと軽くなった。
防音結界を解いて、クスクスと二人微笑む。
「あの蠅はきっとこの城の第三王子の王宮のに繋がる非常用隠し通路に入ってくるはずですわ。設定資料集の城の地図はまんまですもの。」
「えっ、隠し通路なんてあったの?知らないんだけど…。」
「夜忍び込んで第一王子ジュリアスと暴君国王を倒すシーンを、オタクなら再現するはずですの。さあて、問題は…」
ガシっと肩を掴まれる。慌てて後ろを振り向くとそこには…。
「随分と興味深いことをお話しですね。親娘仲の良いことは感心ですが、新婚そこそこで妻に隠し事をされるなんて…思っても見ませんでしたよ…。」
「ひ……」
にこやかに、しかし凍てつくような冷ややかな怒りをあらわにするルミナスの姿があった。
「りりーな!たすけ」
「おとうさまにどうにかして説明してね。おかあさま。」
あたし、アンジュに隠し事しない主義だから。となんともドライな娘。
「説明、してくださいますね?ジュリアス……。」
「は、はい…」
ーーー
体調不良!止まらぬ咳!
消える1300文字!
書き直すたびに男前になる娘!
わかりにくい例え!
そして出る出る詐欺の誠哉くん!
申し訳ありません……。
完結までもうしばらくお付き合いください。
ーーー
「あーぁ、もうそろそろ、ストーリー的にはおわりかなぁ……プライバシーなんてものができてしまって。ボクらが見れるとこ少なくなったねぇ…まぁ、いいけどさ」
白い白い空間に、周りと共に溶けて消えてしまいそうなほど儚い造形をした少年が膝を抱えて下を覗き込んでいる。白く薄く、色素が一切なさそうなその少年が輪郭を失わずそこにあると分かるのは、彼がコロコロと感情を出し自分を表現するからだった。
「今回は面白かったなぁ、いろいろ改変があって…そうだ、もう一回読み直そ!」
少年は歯を見せニタニタと笑って手を叩く。……ポンと曰くのラノベが虚空に現れた。
「……およ?」
ペラリ、ペラリとめくられるカラーページに映るのは、茶髪に緑の目をした騎士のような男。
カラーページで先程まで聖女の細い肩を抱いていた彼の手は、空を抱いている。聖女の顎を捉えていた手も、半開きになった間抜けな唇も、細めた目も、聖女を失い、パントマイムをしたピエロのようになっている。
ペラリ、ペラリとページがめくられ、重なっていく。新たに差し込まれたページには今のルミナスとジュリアスが、手を繋ぎ、腰を抱き寄せ微笑みあっていた。
カラーページが終わると次は目次。目次は赤でたくさん書き換えられ、ページ数までもが変えられていた。
登場人物紹介ページはたくさんの人物が赤で塗られていた。ジュリアスの婚約者になるはずだった伯爵はグルグルと塗りつぶされアンジュとリリーナの絵が差し込まれているほどだった。
しかし、そんな中、訂正されてない男がいた。グレーのトーンで髪を色つけされた彼は前のカラーページに映っていたヒロインを失った男だ。勝気な眉に鋭い眼差し。重厚な鎧を見に纏った彼の名は…
アイラ•ドゥ•ライラック。
概要にはルミナスに好意を寄せていると書いてあった。
「……これは、これは…波乱の予感ですぞ~~?」
少年はそのページのアイラの概要を指でなぞり、デュフフと気色の悪い笑い声をあげた。
ーーto be continued……?
リリーナは、防音結界を張った後、竜王の力で父上を回復させ、竜王の力で脅してアンジュの身柄をヘイストス公爵家および竜王のものにした。
ここら辺はもう、ツッコミのオンパレードだ。いや、オレはアンジュの死刑や極刑を望んでなかったけど、本当にいいのかそれで……。国王型なしというか……情けないと言うか……。この愚王がすごい20××。竜王が国を治めた方がいい気がしてきた。カトゥルヌス男爵家を解散させた理由は、税収横領に変えておくとか、アングラなこと言ってたけど。オレ、もう、知らないからな。
それより、気になるのは…。
「あの、リリーナ。オレ、二人で少し話したいことがあるんだけど、ちょっといいか?」
目の前の、アンジュの髪を撫で回しキスを送り……優雅に飛ぶ我が子に、話しかける。リリーナは振り返るなりぱっばっと防音結界をオレとリリーナに貼った。
「おかあさま。呼び出しが下手くそですわ。おとうさまもアンジュも訝しんでますの。」
「あ、ぁ……ごめん。」
険しい顔したリリーナが、オレを睨んでいる。
「貴方が聞きたいのは多分、この世界の元のストーリー……ではありませんの?誠哉というこの世界のバグと、あなたという特異点でぐちゃぐちゃになるまえの。」
「……多分、元のストーリーを誠哉は知ってるから。」
バグの誠哉と特異点のオレ…なにが違うかはよくわからないけどと伝えるとリリーナは肩を竦めてやれやれとため息を吐いた。
「ココは、あなたと誠哉が元いた世界の創作物をトレースした世界。そこまではわかるでしょう。」
「だろうと思ったよ」
「この世界の神はこのトレースした世界を何度も何度も繰り返させました。竜王が観測と管理をして、神様にレポートを届けるというのを繰り返しましたの。娯楽としてね。しかし同じモノを何度もなんて、飽きるでしょう?」
ぽんっと軽快な音を立てて、目の前に新書サイズのラノベが現れる。古本屋で買取不可って言われそうなほどボロボロに読み尽くされたそれは 『竜王の聖女と紅の卵』と題されていた。銀髪の気の強そうな女の子と茶髪の男が燃える城を睨みつけている絵が表紙を飾るそれにリリーナは鱗粉を撒く。ページがパラパラと捲り上げられ、繰り返し繰り返し開かれる。
「だから、神様は今回のこの世界には貴方を特異点としてジュリアスの魂と入れ替えた。すると、ジュリアス第一王子は第三王子に降格、持病持ちだったのもなくなり、竜王の聖女ルミナスは男になった。でもこれらは意図した改変で、シナリオ自体にそれほど影響はなく、物語はちゃんと、ジュリアス王子がルミナスと婚約破棄し、復讐劇が始まる予定でしたの。」
ラノベがパラリと登場人物ページに移り、ジュリアスの項目とルミナスの項目が挿し変わっていく。表紙の女の子も今のルミナスにかわった。
「つまり、なんだ…?味変みたいな?」
その方がわかりやすいかしら?とリリーナが鍋を魔法で取り出した。
「同じスープに飽きてきて、具材を置き換えたのが貴方。」
水の張った鍋と人参、玉ねぎ、ジャガイモ、マッシュルームを出した後、ジャガイモに魔法をかけてサツマイモに変えた。お母さんはサツマイモか。いい度胸してるじゃん娘。サツマイモは火にかけるとあっという間に溶けて形を失った。人参は和人参みたいに赤くなり、スープは少し色を変えた。
「調理工程のトラブルで鍋の中に入った異物が誠哉って言ったらわかりやすいかしら?」
蓋を開けたままの鍋の蓋にハエが止まり、あぁ、そのまま……、水音を立てた。グルグル、グルグルとお玉が回り、スープの水面には、黒髪黒目のしょうゆ顔が映る。こいつが誠哉か。
「誠哉が入ってきて、話がどんどん大筋から逸れました。ジュリアスと婚姻を結ぶ伯爵令嬢と誠哉はお遊び、ご令嬢は勘当されて修道女に」
誠哉が綺麗な女の人を無理やり組み敷いている。ズボンを下ろし腰を振り始める男がおぞましくて、オレは慌ててお玉を回し、その像をかき消した。かき回すスピードが早かったのか、コミカルに玉ねぎが鍋から外れ飛んでいく。
「終盤で聖女ルミナスが仲間にする野生のドラゴンを全て殺した。」
凪いだ水面に今度はアンジュと誠哉が映る。ドラゴンの眉間に剣が刺さり、あたりは血みどろだった。
「酷い…。」
リリーナは鍋をかき混ぜ、その映像をかき消した。マッシュルームが遥か彼方へ消える。
「スープの具が二つも退場してるのに、それを元のスープと同じものと考えられます?」
「もう、元のスープには、元のシナリオには戻らないってこと?」
「ええ、だから神様は面白がって分岐点で貴方を『婚約破棄をする傲慢な王子の役割』から解放した。貴方は貴方として行動し、『悲劇と復讐の物語のヒロイン』ルミナスを救った。貴方達が愛を育みあたしが生まれた。すべて、その本には書いてない新しいシナリオですの。」
オレは濁ったスープを見つめた。何度かき混ぜようとも、これから先の未来は見えない。無茶苦茶に、壊してしまったから。もし、何か間違えて、さっきのドラゴンのように誰かが死んだらどうしよう……。
「おかあさま!!」
「はっはい!」
「貴方がルミナスを愛して、あたしが生まれて…それを、物語を破壊したなんて思わないことです。この世界は舞台がこれと同じだけ。全く別の話を、これからあたしたちで作るんです。」
「リリーナ」
「あたし、おかあさまのおかげでアンジュに会えて、感謝してますのよ。アンジュとあたしが愛し合うこの世界を間違ってるなんて言わせませんわ。」
「り、リリーナ……。」
結局はアンジュなのか…と少し呆れつつも、クスリと笑いが溢れる。
リリーナは竜王として、神の使いとしての言葉ではなく、オレの娘という立場から励ましてくれた。この幸せは間違いではない。父上が馬鹿だったり、ルミナスが少し執着気味だったり、そもそも男同士だったりするけれど……オレたちは、もう竜王の聖女と紅の卵の登場人物じゃないんだ。オレの幸せのために、みんなの幸せのために動いていいんだ。そう思うと先程まで緊張していた体がフッと軽くなった。
防音結界を解いて、クスクスと二人微笑む。
「あの蠅はきっとこの城の第三王子の王宮のに繋がる非常用隠し通路に入ってくるはずですわ。設定資料集の城の地図はまんまですもの。」
「えっ、隠し通路なんてあったの?知らないんだけど…。」
「夜忍び込んで第一王子ジュリアスと暴君国王を倒すシーンを、オタクなら再現するはずですの。さあて、問題は…」
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「ひ……」
にこやかに、しかし凍てつくような冷ややかな怒りをあらわにするルミナスの姿があった。
「りりーな!たすけ」
「おとうさまにどうにかして説明してね。おかあさま。」
あたし、アンジュに隠し事しない主義だから。となんともドライな娘。
「説明、してくださいますね?ジュリアス……。」
「は、はい…」
ーーー
体調不良!止まらぬ咳!
消える1300文字!
書き直すたびに男前になる娘!
わかりにくい例え!
そして出る出る詐欺の誠哉くん!
申し訳ありません……。
完結までもうしばらくお付き合いください。
ーーー
「あーぁ、もうそろそろ、ストーリー的にはおわりかなぁ……プライバシーなんてものができてしまって。ボクらが見れるとこ少なくなったねぇ…まぁ、いいけどさ」
白い白い空間に、周りと共に溶けて消えてしまいそうなほど儚い造形をした少年が膝を抱えて下を覗き込んでいる。白く薄く、色素が一切なさそうなその少年が輪郭を失わずそこにあると分かるのは、彼がコロコロと感情を出し自分を表現するからだった。
「今回は面白かったなぁ、いろいろ改変があって…そうだ、もう一回読み直そ!」
少年は歯を見せニタニタと笑って手を叩く。……ポンと曰くのラノベが虚空に現れた。
「……およ?」
ペラリ、ペラリとめくられるカラーページに映るのは、茶髪に緑の目をした騎士のような男。
カラーページで先程まで聖女の細い肩を抱いていた彼の手は、空を抱いている。聖女の顎を捉えていた手も、半開きになった間抜けな唇も、細めた目も、聖女を失い、パントマイムをしたピエロのようになっている。
ペラリ、ペラリとページがめくられ、重なっていく。新たに差し込まれたページには今のルミナスとジュリアスが、手を繋ぎ、腰を抱き寄せ微笑みあっていた。
カラーページが終わると次は目次。目次は赤でたくさん書き換えられ、ページ数までもが変えられていた。
登場人物紹介ページはたくさんの人物が赤で塗られていた。ジュリアスの婚約者になるはずだった伯爵はグルグルと塗りつぶされアンジュとリリーナの絵が差し込まれているほどだった。
しかし、そんな中、訂正されてない男がいた。グレーのトーンで髪を色つけされた彼は前のカラーページに映っていたヒロインを失った男だ。勝気な眉に鋭い眼差し。重厚な鎧を見に纏った彼の名は…
アイラ•ドゥ•ライラック。
概要にはルミナスに好意を寄せていると書いてあった。
「……これは、これは…波乱の予感ですぞ~~?」
少年はそのページのアイラの概要を指でなぞり、デュフフと気色の悪い笑い声をあげた。
ーーto be continued……?
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