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恋の目覚め

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 恋心を自覚した。初恋って甘酸っぱいものじゃないの?て困惑してしまうような、肉欲の伴う自覚の仕方だったけど。他の人にティアを取られたくなかったり、キスしたかったり、本物の恋だと思う。ティアが同性愛者かどうかとか、年下な俺をそういう対象で見てくれるのかとか、そもそも元の世界に帰るのでは?とか問題は山積みだが…。

 目先の問題は、
「なァーユーキィ。これ起こしていい?」
「まだダメ!!心の準備がダメ!!」
 ティアを意識して顔が真っ赤になることだ。

「ずーっと寝かせてるわけにはいかないしィ、もうすぐ魔法解けるけどォ?」
「あーーー!わかった!わかったから!」

 ロビンはジト目だ。そりゃそうだ、勇者と共に魔王討伐しに行くためにロビンはここにいるんだ。俺の恋愛相談役じゃない。俺は魔王討伐と唱えながら、スーハーと息を整えて、心を落ち着かせる。

「よし、大丈夫。ティアを起こして、ロビンの話を聞こう」

 ロビンがティアに手をかざすとティアはむくりと体を起こす。まだ眠いのか眉を潜め、目をこするその姿が幼く見えてまた胸を締め付ける。あばたもえくぼ、恋は盲目ってこのことか?いや、イケメンがこんなことしてたら誰だって可愛いとか思うでしょ?大丈夫、これは普通。

 ティアの寝ぼけ眼は部屋全体を見渡し、俺を見据えるとカッと見開かれた。そして肩に両手を置かれ距離が詰まる。

「ユーキ様!私がついていながら貴方様の体調に気づかず、申し訳ありませんでした!お体は大丈夫ですか?どこか具合の悪いところはありますか?」
「ゃ、いや、何ともない!何ともないから離して?落ち着こ?」
「…いいえ、ご尊顔が赤らんでおります。お熱があるのでは!?ユーキ様!無理はなさらないでください!」

 ひたり、とティアの手が俺の頬に触れて、思わず夢の内容を思い出してしまう。全身の血が頭に登って更に発熱する。

「~~~!!ロビン助けて!」
「アイヨー。ムッツリ神官様。お触りダメネー。」
 ロビンがパチンと指を鳴らすと、ティアの手は縄で拘束された。
「魔族め!私を拘束して、ユーキ様に何をする気だ!」
「ペド法王様いい加減にしなよォ。お前がずっとユーキを過剰に心配してたら、話が進まないんだってば!早く魔王倒さなきゃ、ユーキ帰れないんだよォ?ユーキもユーキの家族もかわいそーでしょーが!」
「……チッ」
 ティアは俺から離れていった。ちょっと残念に思ったのは内緒だ。
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