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第三章
05.スタイナー大佐は動揺している
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※本話に一部残酷表現があるため、R15のレーティングをつけました。
苦手な方はギュンとスクロールして飛ばしてください。
***
翌日、ノクターンは首都アヴェルステッドから少し離れた町にいた。
彼が担当している任務のための調査で、彼が率いる部下たちも一緒だ。
もしもの場合に備えてミラー医務官も同行している。
一行がいるのは、町はずれにある寂れた屋敷の地下。
ノクターンは目の前に広がる惨状を見て淡々と呟いた。
「文字通り地獄絵図だな」
目の前には「人間だった」黒い塊がいくつも転がっており、床は乾いた血が赤黒い線で模様を描いている。
戦場さながらの光景だ。
この屋敷は旧貴族家が所有していたもので、持ち主の没落とともに手放されたいまは誰も住んでいない。
一週間前に調査へ向かわせた部下が言うには、夜になるとすすり泣く声が聞こえてくるらしい。
しかしいまここにいるのはストレーシス国軍の関係者のみで、その他の生きている人間はいない。
ノクターンたちが到着する前に、すすり泣く声の主たちは殺されてしまったのだ。
ミラー医務官は体を屈めると両手を胸の前で組み、神に祈る所作をする。
「はぁ。死人に口なしとはよく言ったものですね。彼らの体から有力な手がかりを得られるといいのですが」
「そうだな。証拠品になりそうなもの以外は全部捨てて逃げたようだ」
部屋を見渡してみたところで、ノクターンの目に映るのは死体と血の跡のみ。
彼らが追っている<錬金術師>たちの尻尾を掴めそうな情報は残されていない。
「この犠牲者たちをどのように集めたのか探らないといけませんね」
「恐らく水面下で横行している人身売買だろう。この町に潜伏している奴隷商を引きずり出して依頼主を吐かせる」
数カ月前、国内で<錬金術師>たちによる犯行が確認された。
彼らは人体を使った実験をによって魔法に変わる力を得ようとしており、王政崩壊前から警戒されていた存在だ。
「王政崩壊の暴動以降は大人しくしていたくせに、忘れた頃に暴れやがって」
「近年の蒸気機関や電気の技術革新を目の当たりにして、対抗心を燃やしているのかもしれないですね。以前は錬金術が最も魔法に近い力だと言われていましたから、遅れをとったと焦っているのでしょう」
魔法を失ったストレーシス国の人々は魔法の代わりを追い求めている。
誰かは「蒸気」を。
誰かは「電気」を。
誰かは「錬金術」を。
次代の魔法にしようと躍起になっているのだ。
錬金術は人体を贄とする研究が横行したため禁忌とされているが、<錬金術師>を名乗る連中は国の繁栄のためと謳い、犯罪に手を染めている。
「ときにミラー医務官、聞きたいことがあるのだがいいだろうか?」
「なんでしょう?」
作業の手を止めずに相槌を打つ。
ノクターンの声色はいつもと変わりなく、事務的な会話が続くだろうと予想していたのだが。
「リーゼの様子が変なんだ。少し意見をくれないか?」
「……はい?」
この現場にいない少女の名前が聞こえ、思わず聞き返した。
ついでに言うと、手に持っていたピンセットが手から落ちてカシャンと音を立てた。
「よくこの血生臭い現場で恋愛話ができますね?! 正気ですか?!」
「至って正気だが?」
「正気の人間は血まみれの場所で恋愛相談なんてしませんよ!」
ミラー医務官は思った。
やはりこの男、噂通り人間ではない、と。
どうしてこの悲惨な現場で甘酸っぱい話ができようか。
普通なら犯人の推測や被害者の特徴について質問するだろうに。
しかし普段は仕事熱心なこの男が仕事中とは関係ない話をするのだから、それほど悩んでいるのだろう。
そう思うと無下に断れない。
そもそも仕事中なのだから仕事をしろとさえ思うが、お人好しなミラー医務官はこの非常識な男の恋愛相談を聞いてやることにした。
「リーゼちゃんになにかあったんですか?」
「昨夜から避けられているような気がする」
「ざまあみやがれ。リーゼちゃんの心を弄ぶからだ」
「え」
「……コホン。なんでもありません」
ミラー医務官はピンセットを動かしつつ、「それで?」と付け加えて話の続きを促す。
「最初は風邪で体調が悪いから俺に移さないよう避けていると思ったのだが、熱はなかった」
「でしょうね。もしそうだとしたら避けている理由を言ってくれるでしょうね」
「それなら、リーゼが俺を避ける理由はなんだ? 数日前は頬にキスしてくれたのに……」
<冷血のスタイナー大佐>らしからぬ情けない声を聞いたミラー医務官はぎょっとして、またもやピンセットを落としかけた。
理由を聞いているが、もう己の中では答えが出ているのではないか。
恐らくリーゼに嫌われたとでも思っているのだろう。
ミラー医務官は道具を拡大鏡に変えつつ、相槌を打った。
「さあ、どうしてでしょうねぇ?」
はぐらかすものの、それとなく状況を整理する。
数日前に合ったあの少女は、長年この<冷血のスタイナー大佐>に想いを寄せている。
優しい彼女は告白の返事をずっと待ち続けており、避けられていた時期には差し入れをしていた。
そんな献身的な彼女が突然嫌いになることはないだろう。
それなら考えられる理由は一つだ。
誰かが彼女に入れ知恵したのかもしれない。
押してダメなら引いてみろ。
つまり、これまでとは違った方法でこの<冷血のスタイナー大佐>の気を引くことにしたのだろう。
その方法が、「避ける」ということだ。
しかしその結論を、ノクターンに言うつもりはない。
「スタイナー大佐に避けられ続けた心の傷が深いのかもしれませんね」
「うっ……」
ミラー医務官はリーゼの味方だ。
<冷血のスタイナー大佐>には反省してもらい、リーゼへの行いを改めてもらいたい。
そしてなにより、「早く返事しろよ」と痺れを切らしている。
「他に変化はなかったんですか?」
「リーゼが学校の後に働き始めた。若くて女誑しの実業家が代表をしている会社でな」
「あらまあ。リーゼちゃんを見たら放っておかないかもしれませんね」
半分本気で半分冗談のつもりで言うと、隣から背筋が凍るような冷気が漂ってきた。
その冷気の発生源であるノクターンの表情は硬く、眼光が鋭く光っている。
「リーゼを唆す輩は何人たりとも許さない。一瞬で亡き者にしてやろう」
「……重症ですね」
どうか明日の新聞にその実業家の訃報の記事が載っていませんように。
ミラー医務官は女神にそう祈った。
苦手な方はギュンとスクロールして飛ばしてください。
***
翌日、ノクターンは首都アヴェルステッドから少し離れた町にいた。
彼が担当している任務のための調査で、彼が率いる部下たちも一緒だ。
もしもの場合に備えてミラー医務官も同行している。
一行がいるのは、町はずれにある寂れた屋敷の地下。
ノクターンは目の前に広がる惨状を見て淡々と呟いた。
「文字通り地獄絵図だな」
目の前には「人間だった」黒い塊がいくつも転がっており、床は乾いた血が赤黒い線で模様を描いている。
戦場さながらの光景だ。
この屋敷は旧貴族家が所有していたもので、持ち主の没落とともに手放されたいまは誰も住んでいない。
一週間前に調査へ向かわせた部下が言うには、夜になるとすすり泣く声が聞こえてくるらしい。
しかしいまここにいるのはストレーシス国軍の関係者のみで、その他の生きている人間はいない。
ノクターンたちが到着する前に、すすり泣く声の主たちは殺されてしまったのだ。
ミラー医務官は体を屈めると両手を胸の前で組み、神に祈る所作をする。
「はぁ。死人に口なしとはよく言ったものですね。彼らの体から有力な手がかりを得られるといいのですが」
「そうだな。証拠品になりそうなもの以外は全部捨てて逃げたようだ」
部屋を見渡してみたところで、ノクターンの目に映るのは死体と血の跡のみ。
彼らが追っている<錬金術師>たちの尻尾を掴めそうな情報は残されていない。
「この犠牲者たちをどのように集めたのか探らないといけませんね」
「恐らく水面下で横行している人身売買だろう。この町に潜伏している奴隷商を引きずり出して依頼主を吐かせる」
数カ月前、国内で<錬金術師>たちによる犯行が確認された。
彼らは人体を使った実験をによって魔法に変わる力を得ようとしており、王政崩壊前から警戒されていた存在だ。
「王政崩壊の暴動以降は大人しくしていたくせに、忘れた頃に暴れやがって」
「近年の蒸気機関や電気の技術革新を目の当たりにして、対抗心を燃やしているのかもしれないですね。以前は錬金術が最も魔法に近い力だと言われていましたから、遅れをとったと焦っているのでしょう」
魔法を失ったストレーシス国の人々は魔法の代わりを追い求めている。
誰かは「蒸気」を。
誰かは「電気」を。
誰かは「錬金術」を。
次代の魔法にしようと躍起になっているのだ。
錬金術は人体を贄とする研究が横行したため禁忌とされているが、<錬金術師>を名乗る連中は国の繁栄のためと謳い、犯罪に手を染めている。
「ときにミラー医務官、聞きたいことがあるのだがいいだろうか?」
「なんでしょう?」
作業の手を止めずに相槌を打つ。
ノクターンの声色はいつもと変わりなく、事務的な会話が続くだろうと予想していたのだが。
「リーゼの様子が変なんだ。少し意見をくれないか?」
「……はい?」
この現場にいない少女の名前が聞こえ、思わず聞き返した。
ついでに言うと、手に持っていたピンセットが手から落ちてカシャンと音を立てた。
「よくこの血生臭い現場で恋愛話ができますね?! 正気ですか?!」
「至って正気だが?」
「正気の人間は血まみれの場所で恋愛相談なんてしませんよ!」
ミラー医務官は思った。
やはりこの男、噂通り人間ではない、と。
どうしてこの悲惨な現場で甘酸っぱい話ができようか。
普通なら犯人の推測や被害者の特徴について質問するだろうに。
しかし普段は仕事熱心なこの男が仕事中とは関係ない話をするのだから、それほど悩んでいるのだろう。
そう思うと無下に断れない。
そもそも仕事中なのだから仕事をしろとさえ思うが、お人好しなミラー医務官はこの非常識な男の恋愛相談を聞いてやることにした。
「リーゼちゃんになにかあったんですか?」
「昨夜から避けられているような気がする」
「ざまあみやがれ。リーゼちゃんの心を弄ぶからだ」
「え」
「……コホン。なんでもありません」
ミラー医務官はピンセットを動かしつつ、「それで?」と付け加えて話の続きを促す。
「最初は風邪で体調が悪いから俺に移さないよう避けていると思ったのだが、熱はなかった」
「でしょうね。もしそうだとしたら避けている理由を言ってくれるでしょうね」
「それなら、リーゼが俺を避ける理由はなんだ? 数日前は頬にキスしてくれたのに……」
<冷血のスタイナー大佐>らしからぬ情けない声を聞いたミラー医務官はぎょっとして、またもやピンセットを落としかけた。
理由を聞いているが、もう己の中では答えが出ているのではないか。
恐らくリーゼに嫌われたとでも思っているのだろう。
ミラー医務官は道具を拡大鏡に変えつつ、相槌を打った。
「さあ、どうしてでしょうねぇ?」
はぐらかすものの、それとなく状況を整理する。
数日前に合ったあの少女は、長年この<冷血のスタイナー大佐>に想いを寄せている。
優しい彼女は告白の返事をずっと待ち続けており、避けられていた時期には差し入れをしていた。
そんな献身的な彼女が突然嫌いになることはないだろう。
それなら考えられる理由は一つだ。
誰かが彼女に入れ知恵したのかもしれない。
押してダメなら引いてみろ。
つまり、これまでとは違った方法でこの<冷血のスタイナー大佐>の気を引くことにしたのだろう。
その方法が、「避ける」ということだ。
しかしその結論を、ノクターンに言うつもりはない。
「スタイナー大佐に避けられ続けた心の傷が深いのかもしれませんね」
「うっ……」
ミラー医務官はリーゼの味方だ。
<冷血のスタイナー大佐>には反省してもらい、リーゼへの行いを改めてもらいたい。
そしてなにより、「早く返事しろよ」と痺れを切らしている。
「他に変化はなかったんですか?」
「リーゼが学校の後に働き始めた。若くて女誑しの実業家が代表をしている会社でな」
「あらまあ。リーゼちゃんを見たら放っておかないかもしれませんね」
半分本気で半分冗談のつもりで言うと、隣から背筋が凍るような冷気が漂ってきた。
その冷気の発生源であるノクターンの表情は硬く、眼光が鋭く光っている。
「リーゼを唆す輩は何人たりとも許さない。一瞬で亡き者にしてやろう」
「……重症ですね」
どうか明日の新聞にその実業家の訃報の記事が載っていませんように。
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