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第一章
7.バラとシダーウッドと
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シルヴェリオが領地へ向かっている頃、フレイヤが先にコルティノーヴィス伯爵領の領主邸がある街、ロードンに到着していた。
王都から乗合馬車をいくつも乗り換え、三日間休みなく移動したせいで体がガチガチに固まっている。
馬車から降りたフレイヤは体を伸ばすと、くんくんと鼻を動かして故郷の香りを嗅いだ。
ロードンの街は今日もバラの香りが漂っており、この街に帰ってきたことを実感させてくれる。
ここから街の外れに向かってしばらく歩くと実家がある。そこには姉と義兄が住んでおり、二人で薬草雑貨店を営んでいるのだ。
あともう少しで家族に会える。しかしフレイヤは喜ぶどころか表情を曇らせた。
「どうしよう……、お姉ちゃんに何て言おう?」
実は故郷に帰ることを姉のテミスに伝えていない。そして工房をクビにされたこともまた、連絡していないのだ。
調香師を目指すフレイヤを全力で応援してくれていた姉に、工房どころか調香師の世界から追い出されたなんて、どう説明したらいいのだろうか。
移動中の馬車の中で考えてみたものの、いい言葉が思い浮かばなかった。
「お姉ちゃん、きっと怒るよね……工房長に」
姉のテミスはフレイヤなら目に入れても痛くないほど溺愛しており、この街では超がつくほどの姉バカとして有名だ。
ちなみに幼い頃は本当に目に入れようとしてフレイヤの手を目に近づけたところ、チェルソに止められていたことだってある。
頭を抱えて悩んでいたフレイヤだが、そうしている間に顔見知りたちが声をかけてくれるようになり、気づけば彼らからもらったお裾分けのお菓子で腕の中がいっぱいになってしまった。
「こうしてもいられないし……、とりあえず家に帰ろうかな……」
決心したフレイヤは旅行用のトランクを持つと、街の外れの方角へと歩みを進めた。そうして十分ほど歩くと、白い土壁に鮮烈な青いドアの対比が美しい店が目の前に現れた。
ドアの上には金で作られた<薬草雑貨店ルアルディ>の看板が取り付けられている。
とうとう、実家に帰ってきた。
(お姉ちゃん、店の中にいるかな?)
フレイヤが店の扉を開けようとしたその時、フレイヤが手に触れる前に扉が開き、中から姉のテミスが飛び出してきた。
「フレイ?! やっぱりフレイなの?! 窓の外を見たらフレイがいて驚いたわ。おかえり!」
姉のテミスはフレイヤより背が低く、背伸びしてフレイヤを抱きしめた。
長くまっすぐな髪の色はバラのような赤で、幼い頃のフレイヤはテミスの髪色に憧れていた。
テミスは顔を上げ、フレイヤと同じ若草色の目を輝かせて妹を見つめる。
「どうして連絡してくれなかったの? 教えてくれたら迎えに行ったのに!」
「ええと……その……」
返答に窮するフレイヤが俯いたその時、扉がまた開く音がすると、シダーウッドのほろ苦い香りが彼女に近づく。
(この香りは……!)
フレイヤは馴染みのあるその香りに肩を揺らした。
彼女が知る限り、ロードンの街中でこの香りを身に纏っているのはたった一人だけ。
ゆっくりと視線を持ち上げると、そこにはテミスの夫でフレイヤの義兄である、チェルソ・ルアルディがいた。
チェルソは実家を継ぎたいテミスのために婿入りし、ルアルディの姓を名乗っている。
平民の家に生まれた三男で、結婚するまでは傭兵をしていたチェルソは鍛え上げられた体躯を持つ逞しい顔立ちの男だ。
淡い茶色の髪は刈り上げており無骨さがあるが、髪と同じ淡い茶色の目には優しさがあり、フレイヤはそんな彼に惹かれていた。
「おかえり、フレイちゃん」
「た、ただいま……チェルソお義兄ちゃん」
彼の姿を見ると、胸の奥にしまい込んでいた失恋の記憶が蘇る。
彼と同い年だったら未来が変わっていたのだろうか。
姉のように背が低かったら選んでもらえたのだろうか。
自分も姉と同じ綺麗なストロベリーブロンド髪だったら、彼は――。
もしものことを想像してみるものの、それらが愚問だと冷静に考えている自分がいる。
たとえ姉の容姿が違っていても、彼女とフレイヤの年齢が入れ替わっていても、義兄は自分を選ばずに姉を選ぶだろう。
テミスに向ける眼差しが自分に向けられるそれとは違うことも、テミスの望みを叶えるためなら仕事を辞めることも厭わなかったことも、見てきたからわかる。
その事実に耐えきれなくなり、逃げるようにこの街を出て、王都に移住した。
(だけど、戻ってきちゃった……)
再会したチェルソにはもう、恋心を抱いていない。残っているのは気まずさと失恋の痛みだ。
「お姉ちゃん、チェルソお義兄ちゃん、あのね……。私、工房長の機嫌を損ねちゃったから工房を解雇されたんだ。……他の工房でも雇ってもらえなかったから、帰ってきたの」
「なんですって?! 真面目で優しいフレイが辞めさせられるなんておかしいわ。抗議しに行くわよ!」
案の定、テミスは鬼の形相で怒り始めた。今にも火蜥蜴のように口から火を吐き出しそうな勢いだ。
「お、お姉ちゃん、落ち着いて。工房長の奥さんはあのセニーゼ家出身なんだよ? もしも抗議しに行って睨まれたら、うちの店が潰されちゃうよ」
「でも、このままにしておくなんて嫌よ。フレイは今まで工房長からの嫌がらせにずっと耐えてきたのに……! こんなにも簡単に辞めさせるなんて酷すぎるもの。今までフレアからもらった手紙を読みながら、どれほど工房長を呪ってやろうと思ったことかわからないわ。ああ、懲らしめてやりたい!」
顔を真っ赤にして怒るテミスを、フレイヤはどうしたらいいのか分からず困り果てていた。すると、先ほどまで静かに話を聞いていたチェルソがテミスの背中に手を回して彼女を自分の方に引き寄せた。
「テミス、落ち着け。フレイちゃんが困っているだろ。まずは家の中に入って、フレイちゃんに休んでもらおう。長旅で疲れているだろうから」
「ええ……そうね。フレイ、まずはお茶にしましょう?」
「……うん」
フレイヤは力無く頷くと、先を歩く姉夫婦の背中を見つめる。
久しぶりに会った二人は以前にも増してお互いを思い合っているように見える。
それはいいことなのに素直に喜べない自分の心に嫌気がさす。
フレイヤはほろ苦い思いを抱えたまま、実家が営む薬草雑貨店ルアルディの店内へと入っていった。
***
故郷に帰ったフレイヤは、翌朝から薬草雑貨店ルアルディで働き始めた。
テミスからはしばらく休むといいと言われていたが、何もしていないと後ろ向きなことばかり考えてしまいそうで怖かった。
だからフレイヤは、体を動かして考え事をしないようにしたのだった。
とはいえ店番は暇だ。ロードンは比較的大きな街だが、王都に比べると人口が少ない。
訪れる客が少ないせいで仕事がなくなり、フレイヤは午前中のほとんどを窓拭きに費やした。
ようやく昼食の時間が訪れると、テミスとチェルソが先に昼休憩をとることになったのだ。
「フレイ、店番をよろしくね。すぐに食べて戻ってくるわ」
「大丈夫だよ。ゆっくり食べて来て」
二人を見送ったフレイヤは、カウンターの中にある椅子に座って溜息をつく。
――チリン。
扉につけている鈴が鳴る音に、慌てて顔を上げた。すると、焦げ茶色の長い外套を纏い、フードを深く被っている人物が一人、店の中に入ってきた。
その人物がフードを下ろすと、見覚えのある端正な顔が現れる。
「シ……シルさん?」
「ああ」
パルミロの知り合いの、シルという名の青年は、王都でもそうだったようにぶっきらぼうな声で返してくれる。
「こ、こんなところで会うなんて偶然ですね。ど、どうしてここに……?」
王都の一角で出会った人物と再会するなんて予想すらしていなかったフレイヤは瞠目した。さらに驚くことに、外套を脱いだシルは艶やかな紺色の生地で作られた仕立ての良い上下とシルクの白いシャツを着ており、まるで貴族のような装いをしている。
「今日のシルさんは貴族みたいな服装……だね?」
「それは……まあ、貴族だからな」
「へぇ、貴族なんだ。どうりで似合って――えっ、貴族?!」
シルが貴族だなんて聞いていない。パルミロはどうしてそのことを教えてくれなかったのだ。
それよりも、あの時の自分は彼に、なんと言っただろうか。
真っ青になるフレイヤに、シルヴェリオは追い打ちをかけた。
「ああ、貴族だ」
「~~っ!」
王都から乗合馬車をいくつも乗り換え、三日間休みなく移動したせいで体がガチガチに固まっている。
馬車から降りたフレイヤは体を伸ばすと、くんくんと鼻を動かして故郷の香りを嗅いだ。
ロードンの街は今日もバラの香りが漂っており、この街に帰ってきたことを実感させてくれる。
ここから街の外れに向かってしばらく歩くと実家がある。そこには姉と義兄が住んでおり、二人で薬草雑貨店を営んでいるのだ。
あともう少しで家族に会える。しかしフレイヤは喜ぶどころか表情を曇らせた。
「どうしよう……、お姉ちゃんに何て言おう?」
実は故郷に帰ることを姉のテミスに伝えていない。そして工房をクビにされたこともまた、連絡していないのだ。
調香師を目指すフレイヤを全力で応援してくれていた姉に、工房どころか調香師の世界から追い出されたなんて、どう説明したらいいのだろうか。
移動中の馬車の中で考えてみたものの、いい言葉が思い浮かばなかった。
「お姉ちゃん、きっと怒るよね……工房長に」
姉のテミスはフレイヤなら目に入れても痛くないほど溺愛しており、この街では超がつくほどの姉バカとして有名だ。
ちなみに幼い頃は本当に目に入れようとしてフレイヤの手を目に近づけたところ、チェルソに止められていたことだってある。
頭を抱えて悩んでいたフレイヤだが、そうしている間に顔見知りたちが声をかけてくれるようになり、気づけば彼らからもらったお裾分けのお菓子で腕の中がいっぱいになってしまった。
「こうしてもいられないし……、とりあえず家に帰ろうかな……」
決心したフレイヤは旅行用のトランクを持つと、街の外れの方角へと歩みを進めた。そうして十分ほど歩くと、白い土壁に鮮烈な青いドアの対比が美しい店が目の前に現れた。
ドアの上には金で作られた<薬草雑貨店ルアルディ>の看板が取り付けられている。
とうとう、実家に帰ってきた。
(お姉ちゃん、店の中にいるかな?)
フレイヤが店の扉を開けようとしたその時、フレイヤが手に触れる前に扉が開き、中から姉のテミスが飛び出してきた。
「フレイ?! やっぱりフレイなの?! 窓の外を見たらフレイがいて驚いたわ。おかえり!」
姉のテミスはフレイヤより背が低く、背伸びしてフレイヤを抱きしめた。
長くまっすぐな髪の色はバラのような赤で、幼い頃のフレイヤはテミスの髪色に憧れていた。
テミスは顔を上げ、フレイヤと同じ若草色の目を輝かせて妹を見つめる。
「どうして連絡してくれなかったの? 教えてくれたら迎えに行ったのに!」
「ええと……その……」
返答に窮するフレイヤが俯いたその時、扉がまた開く音がすると、シダーウッドのほろ苦い香りが彼女に近づく。
(この香りは……!)
フレイヤは馴染みのあるその香りに肩を揺らした。
彼女が知る限り、ロードンの街中でこの香りを身に纏っているのはたった一人だけ。
ゆっくりと視線を持ち上げると、そこにはテミスの夫でフレイヤの義兄である、チェルソ・ルアルディがいた。
チェルソは実家を継ぎたいテミスのために婿入りし、ルアルディの姓を名乗っている。
平民の家に生まれた三男で、結婚するまでは傭兵をしていたチェルソは鍛え上げられた体躯を持つ逞しい顔立ちの男だ。
淡い茶色の髪は刈り上げており無骨さがあるが、髪と同じ淡い茶色の目には優しさがあり、フレイヤはそんな彼に惹かれていた。
「おかえり、フレイちゃん」
「た、ただいま……チェルソお義兄ちゃん」
彼の姿を見ると、胸の奥にしまい込んでいた失恋の記憶が蘇る。
彼と同い年だったら未来が変わっていたのだろうか。
姉のように背が低かったら選んでもらえたのだろうか。
自分も姉と同じ綺麗なストロベリーブロンド髪だったら、彼は――。
もしものことを想像してみるものの、それらが愚問だと冷静に考えている自分がいる。
たとえ姉の容姿が違っていても、彼女とフレイヤの年齢が入れ替わっていても、義兄は自分を選ばずに姉を選ぶだろう。
テミスに向ける眼差しが自分に向けられるそれとは違うことも、テミスの望みを叶えるためなら仕事を辞めることも厭わなかったことも、見てきたからわかる。
その事実に耐えきれなくなり、逃げるようにこの街を出て、王都に移住した。
(だけど、戻ってきちゃった……)
再会したチェルソにはもう、恋心を抱いていない。残っているのは気まずさと失恋の痛みだ。
「お姉ちゃん、チェルソお義兄ちゃん、あのね……。私、工房長の機嫌を損ねちゃったから工房を解雇されたんだ。……他の工房でも雇ってもらえなかったから、帰ってきたの」
「なんですって?! 真面目で優しいフレイが辞めさせられるなんておかしいわ。抗議しに行くわよ!」
案の定、テミスは鬼の形相で怒り始めた。今にも火蜥蜴のように口から火を吐き出しそうな勢いだ。
「お、お姉ちゃん、落ち着いて。工房長の奥さんはあのセニーゼ家出身なんだよ? もしも抗議しに行って睨まれたら、うちの店が潰されちゃうよ」
「でも、このままにしておくなんて嫌よ。フレイは今まで工房長からの嫌がらせにずっと耐えてきたのに……! こんなにも簡単に辞めさせるなんて酷すぎるもの。今までフレアからもらった手紙を読みながら、どれほど工房長を呪ってやろうと思ったことかわからないわ。ああ、懲らしめてやりたい!」
顔を真っ赤にして怒るテミスを、フレイヤはどうしたらいいのか分からず困り果てていた。すると、先ほどまで静かに話を聞いていたチェルソがテミスの背中に手を回して彼女を自分の方に引き寄せた。
「テミス、落ち着け。フレイちゃんが困っているだろ。まずは家の中に入って、フレイちゃんに休んでもらおう。長旅で疲れているだろうから」
「ええ……そうね。フレイ、まずはお茶にしましょう?」
「……うん」
フレイヤは力無く頷くと、先を歩く姉夫婦の背中を見つめる。
久しぶりに会った二人は以前にも増してお互いを思い合っているように見える。
それはいいことなのに素直に喜べない自分の心に嫌気がさす。
フレイヤはほろ苦い思いを抱えたまま、実家が営む薬草雑貨店ルアルディの店内へと入っていった。
***
故郷に帰ったフレイヤは、翌朝から薬草雑貨店ルアルディで働き始めた。
テミスからはしばらく休むといいと言われていたが、何もしていないと後ろ向きなことばかり考えてしまいそうで怖かった。
だからフレイヤは、体を動かして考え事をしないようにしたのだった。
とはいえ店番は暇だ。ロードンは比較的大きな街だが、王都に比べると人口が少ない。
訪れる客が少ないせいで仕事がなくなり、フレイヤは午前中のほとんどを窓拭きに費やした。
ようやく昼食の時間が訪れると、テミスとチェルソが先に昼休憩をとることになったのだ。
「フレイ、店番をよろしくね。すぐに食べて戻ってくるわ」
「大丈夫だよ。ゆっくり食べて来て」
二人を見送ったフレイヤは、カウンターの中にある椅子に座って溜息をつく。
――チリン。
扉につけている鈴が鳴る音に、慌てて顔を上げた。すると、焦げ茶色の長い外套を纏い、フードを深く被っている人物が一人、店の中に入ってきた。
その人物がフードを下ろすと、見覚えのある端正な顔が現れる。
「シ……シルさん?」
「ああ」
パルミロの知り合いの、シルという名の青年は、王都でもそうだったようにぶっきらぼうな声で返してくれる。
「こ、こんなところで会うなんて偶然ですね。ど、どうしてここに……?」
王都の一角で出会った人物と再会するなんて予想すらしていなかったフレイヤは瞠目した。さらに驚くことに、外套を脱いだシルは艶やかな紺色の生地で作られた仕立ての良い上下とシルクの白いシャツを着ており、まるで貴族のような装いをしている。
「今日のシルさんは貴族みたいな服装……だね?」
「それは……まあ、貴族だからな」
「へぇ、貴族なんだ。どうりで似合って――えっ、貴族?!」
シルが貴族だなんて聞いていない。パルミロはどうしてそのことを教えてくれなかったのだ。
それよりも、あの時の自分は彼に、なんと言っただろうか。
真っ青になるフレイヤに、シルヴェリオは追い打ちをかけた。
「ああ、貴族だ」
「~~っ!」
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