魔王を倒すと用済みとされ、捨てられた勇者 〜2度目の転移で復讐を誓う〜

黒猫

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1章

5話 決着

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「お前、オオシマだな?今日の迷宮で問題を起こした奴」

「そうです…」

 俺はジャランと見つめ合っているのに、全く俺の存在に気付いていない。一体何故だ?

「見たことある顔立ちだが………さすがに違うか………」

「なんですか?」

 どうやら、一応俺のことは覚えているようだ
 しかし、そこまで鮮明に覚えていないのかも…

 それよりも、目の前の事に集中しなければ…ジャランのレベルは900ほどだったよな

「ジャランさんはレベル1000もあるんだ!お前じゃ勝てねぇよ!」

 男は俺を煽り、ベロを出してくる
 それを機嫌良さそうにジャランは聞いている

「そういうことだ!だが、今の俺は愚痴を吐いて、機嫌が良いんだ。チャンスをあげよう!」

「チャンス?」

 ジャランは自分が支配者だと言うように両手を広げて上げ、悪い笑みを浮かべる

「俺に勝てたら追放されないようにしてやる。だが、お前が負けたら追放+一生俺の奴隷!最高だろ?」

 ジャランは高笑いをして、悪い目付きで俺を睨む
 おそらく、ジャランは俺を奴隷商人に売り飛ばし、『はおらくういくつのだ』計画とやらに必要な金にされるだろう

 男の言う通り、今の30の勇者ではジャランには絶対敵わない
 だが、俺は3年前に世界最強と謳われ、魔王を倒した勇者だ
 ジャランの提案に俺は腹を抱えて笑ってしまう

「おい!何笑ってんだ?」

 ジャランは馬鹿にされたと思われ、怒る

「多分こいつ、追い込まれ過ぎて頭おかしくなったんじゃないっすか?だって、絶対に勝てないですもん」

 男は俺を小馬鹿にするようにチラッと見て、ニヤッと笑い、ジャランの怒りを沈める

「あははは!そうか、部外者ならではの発作か!?ははは!!なら納得だな。壊れた頭を治してやる」

「ですね!ハッハッハ!部外者はこれだから気味が悪い」

 男と女、ジャランはお腹を抱えて笑う

 そして、ジャランは持っている剣を抜かずに拳だけで俺の方に向かってくる
 そして、殴ろうとするところに俺は合わせて避け、カウンターで腹に向かって殴る

「ぐはっ!??」

 ジャランは自分のパンチが避けられたことに信じれないと言う顔をして、尻もちを着き、顔がプクッと腫れる
 ちなみに俺はこれでも手加減した方だ

「ジャランさん!何油断してんすか!?」

「お、おおう…」
(油断…確かに………俺がこんな部外者雑魚に殴り負ける訳ねぇもんな!)

「おーい!その剣は抜かなくても大丈夫~?」

 俺はジャランに向かって煽るような口調で剣を抜くよう、指摘する
 それにジャランはキレて、剣を抜き、本気で俺を殺そうとする

「後悔するじゃねぇぞ!?お前が望んだことだからよぉぉ!!!!」

 ジャランはキレ顔になる
 元勇者時代でも見たことないジャランのキレ顔だ
 俺の前では一度もそんな口調、顔、言葉使いをしたことは無かったんだがな…これが本性ってやつか

「いいから、掛かってこい」

「とりゃぁ!!!」

 ジャランは並の人間じゃ、避けれないようなスピードで剣を俺の腹に向かって横に振る
 しかし、俺にとっては全然速くない、キャッチボールをしている感覚で避けることができる
 
「なん!あいつ化け物かよ!?」
「ジャランさんの剣を避けるなんて……」

 男と女は冷や汗をかいて、目が無意識に細くなる
 ジャランはそんなのを気にせずに剣をどんどん振る
 それを全部避ける

「ハァハァハァ……………くそっ!何者だお前は!!!!!!!」

「フフ…教える義理は無いよ。ただし、もう少しで知ることになるだろうね」

「何!?!」

「そうだ、お前に勝てたら追放は免れるんだよな?なら、避けてばっかじゃ良くないな」

 俺は疲れているジャランに向かって瞬間移動で前に立つ
 それに反応したジャランはすぐさま剣を振るが、やっぱり当たらない
 そして、顔をマッハの速度で3連発殴り、壁に飛ばす

「ぐはっ!!!」

 そして、飛んだ所に向かい、瞬間移動でまたもやジャランの前に立ち、壁を壊さないように調整して3連発殴る

「ぐぁぁ!!」

「負けを認めるかい?」

「……我が剣に光を宿せ!ライトニングブレード!!!」

 ジャランは俺もよく知っている切り札の魔法を使う
 しかし、そんな物は何回も見たので何も動じずに殴る

「ぐはっ!!!おい!これは魔法だぞ!いいのか!!!」

 ジャランは顔が腫れて、誰だか分からない顔になる
 もう魔法で脅すくらいにしかできないのだろう、だから攻撃をしてこない

「まだ殴られたりないの?なら、もっと殴って殺しちゃおうかな……」

「……!!嫌だ!すいません!許してください!全部あいつらのせいで俺はおま…オオシマさんに喧嘩を売ってしまったのです! 」

 ジャランは男と女に向かって指をさして必死に訴えてくる
 その顔は非常に醜く、良い気分だった
 このまま、殺してやりたいと思ったが、それで終わりは避けたかった

「ちょっと!?ジャランさん何言ってんすか!?」

「うるせぇ!お前のせいだろうが!オオシマ様に謝れ!!!すいませんね!オオシマ様」

 ジャランは早口で作り笑顔を浮かべ、ペコペコと頭を下げて媚びを売ってくる

「そこの男と女は後で対応しよう…ジャラン、まずはお前だ」

「ひっ!?」

「この事は誰にも言うな?言ったら地獄の果てに行ってまでも殺すぞ?分かったな?」

「は、はい!!!すいません!絶対に言いません!!!誓います!!」

「…よし、その顔の事は階段から派手に転んでとでも言っておけ! 」

「はい!では、失礼します!!」

 ジャランは震えながら全力で俺から逃げて行く
 あの様子からジャランは絶対に誰にも言わないだろう、おそらく計画のためにまだ死ねないのだろう
 その計画とやらはかなり重大なようだな…ライに色々相談してみよう


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